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「Soil Works」が企画する、地元カルチャーに触れるフェス「南魚沼収穫祭」。

「南魚沼収穫祭」というカルチャーフェスティバルが、10月21日に石打丸山スキー場で開催されました。アーティストのライブ、県内各地から集まったショップのブース、テントサウナやスケートランプなど盛りだくさんの内容でした。こちらを企画制作しているのが、魚沼と東京の2拠点で活動するクリエイティブチーム「Soil Works(ソイルワークス)」。お米農家を営みながら「Soil Works」を主宰する貝瀬さんに、「収穫祭」開催前後でお話を聞いてきました。

 

 

Soil Works

貝瀬 智大 Tomohiro Kaise

1991年南魚沼市生まれ。地元の高校を卒業後、新潟市内の簿記会計の専門学校に進学。卒業後は信用組合に就職。2年働いた後、東京にあるライブ・コンサートの企画会社や野外フェスの企画会社を経て、2021年2月に新潟へ戻る。2020年6月「Soil Works」を立ち上げる。趣味は川釣り、キャンプ、スノーボード。

 

お米からはじまった、「Soil Works」の活動。

――「Soil Works」って、いったいどういうチームなんでしょう?

貝瀬さん:新潟出身のクリエイターが集まったクリエイティブチームです。メンバーは8人いて、デザイナーや映像ディレクター、カメラマン兼編集者、WEBエンジニア、ビートメイカー、イラストが描ける子がいます。全員新潟出身で、東京に3人、県内に5人の2拠点で活動しています。

 

――貝瀬さんはどんな立場で関わっているんですか?

貝瀬さん:僕はプロデューサーというか、営業みたいな感じですね。クライアントワークのときは間に僕がいて、企画を持ち込んで提案して、それをみんなで磨き上げていく感じですね。

 

――これまではどんなものを作ってきたんでしょうか。

貝瀬さん:今だとPR映像を作ったり、農家さんのお米のパッケージから自社のロゴまでブランディングしたりしています。

 

 

――そもそも「Soil Works」を立ち上げることになったのはどうして?

貝瀬さん:きっかけは完全にコロナ禍ですね。イベント業界にいたんですけどコロナ禍になって、仕事がなくなっちゃったんです。会場キャンセルの連絡を受けるか、なくなったイベントをどう調整するかしかなくて暇だったんですよ。

 

――コロナ禍でイベント業界は大打撃でしたよね……。

貝瀬さん:そうなったときに「地元が好きだし、地元に貢献できる何かをしたいな」って考えました。それに周りにデザイナーや映像を作っている友達がいたので、「みんなで集まったら面白いことができそうだよね」ってなって。それでまずは、自分たちで作ったお米で「然然(しかじか)」というブランドをはじめて、そのお米を販売するポップアップを東京でやりました。

 

――どうして「然然」という名前にしたんでしょう?

貝瀬さん:「かくかくしかじか」の「しがじか」なんです。南魚沼産コシヒカリの中でも塩沢産の米は特に美味しいと昔からいわれているんですけど、その美味しい理由はあんまり明確になっていないんですよね。それがいわゆる「しかじか」で、その省略されている部分をはっきり見せていきたいという思いで立ち上げました。フリーペーパーを作ったり、米農家の1年間を追いかけるドキュメンタリーを撮ったりしています。

 

魚沼のカルチャーを発信するフェスティバル「南魚沼収穫祭」。

――「南魚沼収穫祭」というフェスティバルイベントも企画されていますよね。

貝瀬さん:「地元の文化で若者を熱狂させる、ローカル・カルチャー・フェスティバル」です。魚沼の地酒や新米のおにぎり、横乗りカルチャーに音楽やアートを掛け合わせて、若者が盛り上がる空間を作ろうというもので、今年で2回目です。

 

――「ローカル・カルチャー・フェスティバル」って、ワクワクする響きですね。

貝瀬さん:会場は石打丸山スキー場さんにご協力いただいて、駐車場エリアと、ゴンドラで上がった先のエリアのツーエリアです。メインアクト7組のライブは、上のエリアでやります。

 

――アーティストのライブもあるんですね。「収穫祭」を開催することになったきっかけってなんだったんでしょうか。

貝瀬さん:以前、苗場の雪山でフェスを制作したことがあって、そのときに「もうちょっと地元のカルチャーを結びつけて何かできるな」と感じました。地酒や食もそうですけど、実は魚沼エリアには横乗りカルチャーが根付いているんです。そういうことも県内の人は知っていても、県外の人は知らないかなと思って、相乗効果で街としても盛り上がれるイベントをやりたくて「収穫祭」をはじめました。

 

――ちなみに入場無料だと聞いたんですけど……いいんですか?

貝瀬さん:いろいろなイベントをやってきたなかで、いきなり有料のイベントを開催するのってかなりハードル高いなと思ったんです。赤字になる可能性が高いんですよね。だから、コロナ時期だったのもあって、まずは無料で開催してイベントの認知を広げていって、3年目くらいから有料の券売制にしようと考えました。今年はその実証段階の2回目なんです。

 

 

――今年の「収穫祭」の見どころを教えてください。

貝瀬さん:やっぱり、「MCバトル」じゃないですかね。ただ、ディスり合うMCバトルじゃないんですよ。「ほろ酔い口説きMCバトル」といって、地酒を飲んだMCが酒の味について喋りつつ、口説かれガールを口説いて、「一緒にお酒が飲みたい」と思わせたら勝ちっていう(笑)

 

――めちゃくちゃ面白そう(笑)

貝瀬さん:あとはスケートランプもありますし、「サウナキャラバン」という別イベントを同時開催するので、テントサウナも楽しめます。それから僕らの他に、キュレーターとして「上古町の百年長屋SAN」や「わたご酒店」、「GOOD MELLOW CAMP」に入ってもらって、それぞれに出展者をもちよってもらうので、今年はマーケットエリアが充実します。普段地元では見ないキッチンカーが来るので、地元の人たちも楽しいと思いますよ。

 

 

――逆に、魚沼の外から来た人たちにおすすめしたい楽しみ方はありますか?

貝瀬さん:「ROOTS AREA」というエリアを作っていて。魚沼エリアに横ノリカルチャーがある理由のひとつに、古着屋さんやアパレルショップがあると思うんです。そこへ行った若い子が、店内で流れていたヒップホップを好きになったり、店主の影響でスノーボードやスケートボードをはじめたり、そうやってどんどんカルチャーが広まっているのを感じていて。いわゆるこの街のルーツであるお店をたくさん呼んで、そこを入り口に地元のカルチャーに触れてほしいですね。

 

――盛りだくさんで楽しみですね。では、また開催後にお話を聞かせてください。

 

今年の「収穫祭」を終えて思うことと、「Soil Works」が目指すこと。

――「収穫祭」、お疲れさまでした! 開催されてみていかがでしたか?

貝瀬さん:想定以上の悪天候により正直寿命が縮むくらい大変な開催でした。山の素晴らしい景色の裏側には途方もない天候リスクがあることを、身をもって知りました。大きな事故もなく無事終えられたのは関わってくださった皆さまのおかげです。山に雪が降るほどの寒さと荒天の中、本当にありがとうございました。

 

――来年も開催する予定なんでしょうか?

貝瀬さん:まだ分かりませんが、開催する場合は突風対策を徹底して臨みたいです。それから、地元に根ざしたカルチャーの打ち出し方を磨き上げていきたいです。その部分が他のフェスとの差別化にもつながると思っています。

 

――最後に、「Soil Works」が目指すゴールを教えてください。

貝瀬さん:最終的に、若い子たちが魚沼にUターンして来てくれたら嬉しいです。「面白いイベントがあるし、帰ろう」って。そうでなくても、イベントがあるときに帰って来てくれたり、この街のことを気にしてくれたりすれば、人口は減ってしまっても街としては持続していくんじゃないかなと思います。僕らの活動をきっかけに、魚沼の関係人口が増えたらいいですね。

 

 

 

Soil Works

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