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歴史ある店で極上和牛のすき焼きを味わえる「すき焼八木」。

とっても気になる木造建築のすき焼き専門店。

新発田の飲食店街に、一際目立つ古い木造家屋があります。「八木」と記された看板が老舗であることを匂わせているこちらのお店。これまでも前を通るたびにずっと気になっていました。何屋さんだろう…実は、老舗のすき焼き専門店だったんです。今回は女将さんの作るすき焼きをいただきながら、「すき焼八木」の歴史やすき焼きについてのこだわりを聞いてきました。

 

 

すき焼八木

八木 キイ Kii Yagi

1942年胎内市生まれ。農家で生まれ育ち地元企業に就職したのち、八木家へ嫁入りする。以後、すき焼八木の三代目女将としてすき焼きを提供してきた。趣味は読書で会津八一の古書を収集している。

 

こだわり抜いた牛肉や野菜を使ったすき焼き。

——今日はよろしくお願いします。「すき焼八木」さんにはお品書きがないんですね。

八木さん:うん。うちはすき焼きしか出さないからね。あとは予算に応じて材料をお出しするくらい。

 

——肉以外の材料が運ばれてきましたね。白菜は入らないんですか?

八木さん:前は入れてたの。でも水分が多くて味が薄くなっちゃうのよ。今は玉ねぎ、長ねぎ、春菊、えのき茸、椎茸、豆腐、しらたきを入れて作ってるの。特に長ねぎや玉ねぎは50〜60年間ずっと同じ農家で作ってもらってるもので、そこらで売ってるねぎと比べると甘みが全く違うんだわ。あと、しらたきも特別にうち用で作ってもらってるんだて。普通のしらたきは冷凍してから戻すと水ぽくなっちゃうんだけど、うちのしらたきは水っぽくならないし食感がいいの。

 

——肉は別皿で来るんですね。うわっ!サシが入ってとっても美味しそうな肉ですね。しかも大きい!

八木さん:すき焼きの主役だから牛肉にはとにかくこだわってるのよ。うちではA5ランクの和牛を使ってるからね。牛肉には毎日触ってきたから、目をつぶっててもいい肉かどうかわかるの。だから、ごまかそうと思ってもごまかせねんだわね(笑)。

 

 

——このタレはどうやって作っているんですか?

八木さん:それはこの家の女将にだけ代々伝えられている秘伝だから、残念だけど教えてやらんないのよ。

 

——そうなんですね。すき焼きはどうやって作ればいいんですか?

八木さん:お客さんは何もしなくていいのよ。うちは一つの鍋に店の者が必ず一人ついてお世話するから。お客さんには作らせないようにしてるの。やっぱり味が変わっちゃうし、入れる順番や見た目にもこだわりがあるからね。

 

——入れる順番って結構大事だったりするんですか?

八木さん:大事。野菜は先に入れて、肉は一番最後に入れた方がいいわね。そうしないと、肉のうま味が逃げちゃうからね。うちは野菜とかの上に蓋するみたいに乗せるのよ。

 

——だいぶできてきましたね。美味しい食べ方っていうのはあるんですか?

八木さん:それはお客さんが好きなものを好きなように食べてもらえばいいのよ。すき焼きって卵つけて食べるでしょ?牛肉と卵の相性がいいからなんだけど、具の温度を下げるためでもあるの。勉強になったでしょ(笑)

 

韓国からの観光客から有名人まで。いろんな人が訪れる店。

——こちらのお店は建物も趣がありますね。かなり歴史は古いんですか?

八木さん:すき焼きを始める前は明治8年から家畜商をやってたんだって。大阪あたりから牛を仕入れて、農耕牛として農家に売ってたらしいの。そのついでに肉屋もやってたのよ。なんでも新潟県で最初の肉屋だったらしいのね。でも、だんだん農機具が普及し始めて家畜が廃れていったから、昭和35年に家畜商は廃業したんだわね。

 

——すき焼店はいつ頃から始めたんですか?

八木さん:昭和9年に新発田大火があって1300軒も建物が焼けちゃったの。うちも焼けちゃって、昭和10年に建物を新築した時に「すき焼八木」を始めることになったのよ。私が嫁に来てからは旦那がカメラ屋をやって、私は三代目女将として「すき焼八木」をやることになったの。建物はその頃のままだから、開業してからもう84年経ってるんだね。

 

——そうとう歴史のあるお店なんですね。どんなお客さんが多いんですか?

八木さん:もう、いろんな人が来るわ。家族連れ、友達同士、会社の同僚同士、観光客…。韓国からの観光客もよく来る。タクシーの運転手さんがうちの店を紹介してくれるらしいのよ。お互いに言葉は通じないんだけど、スマホの通訳アプリを使って受け答えしてくれるのね。どんな仕事をしているのか聞いてみると「高級サラリーマン」って答えるのよ(笑)。おかしいね。

 

——長い歴史の中で印象に残っている出来事ってありますか?

八木さん:じつはこのお店に、長嶋茂雄さんが来たことがあるのよ。そのときはすき焼き食べに来たんじゃなくて、あいさつに来たんだけどね。あと有名な人だと作詞家のたかたかしさん、料理研究家の服部幸應さん。たかたかしさんは仲良くしてもらってて、たかさんがやっていた加治川の堤防に桜を植える運動に協力して、何本分も寄付したのよ。だから、加治川の堤防には私の桜が何本も植えてあるの。

 

——有名な人がいっぱい来てるんですね。

八木さん:あと、私の娘がCD何枚か出してるのよ。演歌歌手の村上幸子さんのお母さんに作曲家の先生を紹介してもらって、娘の詞に曲をつけてもらったのね。「八木雪子」っていう名前で「しばた台輪」「あゝ堀部安兵衛」っていう曲を歌ってCDにしたの。向かいにある「スナックぼたん」っていうお店をやってて、そこでたまに歌ってるわ。

 

——いろんなことやってるんですね。今まで、お店をやってきて大変だったことはありますか?

八木さん:飲食業は人が休んでいるときに働くのが仕事みたいなもんだから、大変っていえば大変だけどねぇ…。朝早くから働いて、夜遅くまで働くから、子育てしながらやってた頃は大変だったね。その頃はお店を手伝ってくれる人もいなくて、私とおばあちゃんだけだったし。でも、お客さんがわざわざ足を運んでくれるから、ありがたいよね。待ってても来てくれるっていうのは本当うれしいわよ。

 

——今後やってみたいことってありますか?

八木さん:とにかくこのお店を無事に次の代に渡したいわね。それから、お友達を集めてお店をやってみたいかな。人を集めて振舞うのが好きなのよ。だからいつも損しちゃうんだよね(笑)

 

 

思いがけず、すき焼きを食べながらの贅沢な取材となりました。手馴れた手つきですき焼きを作ってしまう女将さんは、すき焼きだけじゃなくお話もサービス満点。本やCDなど、お話に出てくるいろいろなものを持ってきては見せてくれました。そんな人柄の女将さんに作ってもらうすき焼きを味わいに、新発田の「すき焼八木」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。きっと身も心もポカポカになると思いますよ。

 

すき焼八木

〒957-0053 新潟県新発田市中央町3-11-10

0254-22-2233

17:00-22:00

日曜休

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