彌彦神社の前に建つ古民家カフェ「社彩庵」のルーツとは。

1階はおみやげ店、2階は和カフェの古民家。

弥彦温泉街のつきあたりに建つ彌彦神社一の鳥居。その前にひときわ目を引くべんがら色をした古民家があります。1階はおみやげ店、2階は和カフェ。この古民家はいったいどんな建物なのか、彌彦神社の真ん前で和カフェを始めた理由は何か、和カフェ「社彩庵(しゃさいあん)」の店長早福さんに話を聞いてきました。

 

社彩庵

早福 百合 Yuri Soufuku

1980年弥彦村生まれ。社彩庵店長。大阪製菓専門学校で1年間お菓子づくりを学び、奈良の甘味処で2年間修行したのち、食べ歩きと試食で自分の甘味メニューを編み出す。2003年、地元弥彦のおみやげ店「ひらしお」2階に「社彩庵」をオープンする。趣味は一人飲みと布袋寅泰のライブ。最近、シベリア犬のサモエドを飼い始め、やんちゃさに手を焼いている。

 

彌彦の神様から塩づくりを伝授された先祖?

——今日はよろしくお願いします。1階が「ひらしお」というおみやげ店、2階が「社彩庵」という和カフェになっているんですね。

早福さん:おみやげ店は2〜3代前から始めたようです。2003年にその2階を使って、私が和カフェ「社彩庵」をオープンしました。「社彩庵」というのは、神社(社)を彩る庵(いおり)という意味で名付けました。

 

——鳥居の真ん前でいい場所ですもんね。「社彩庵」の意味はわかりましたが、「ひらしお」というのはどういう意味なんですか?

早福さん:母方の実家の姓が「平塩(ひらしお)」なんです。はるか昔、彌彦の神様が海を渡ってきて間瀬に上陸した際、野積周辺の人たちに米や塩のつくり方などを教えたそうなんですね。そのとき塩づくりを教わったのが母方の先祖で、それから塩づくりに携わり「平塩」姓をいただいたようです。その後は、社家(しゃけ)として彌彦神社の神主を代々務めてきました。社家っていうのは、代々神社の神職を世襲してきた家のことです。母の代で53代目になります。

 

宮大工が建てた建物を、ドイツ人建築デザイナーが改築。

——すごく由緒正しいんですね…。ところで、建物も立派ですが、こちらも由来がありそうですね。

早福さん:そうですね。元々は彌彦神社の境内にあった建物で、社家の母屋として使っていたものです。160年くらい前の江戸時代後期、彌彦神社を建てた宮大工の棟梁によって建てられたものです。今の場所に移築してからしばらくは住居として使っていました。

 

——2階の和カフェは少し洋風なテイストも感じられますが、かなり改装したんでしょうか?

早福さん:「社彩庵」を始めるとき新しい建物にしようかとも思ったんですが、思い入れもありましたので建物を使って改築することにしたんです。改築にあたっては、ドイツ人建築デザイナーのカール・ベンクスさんにおまかせしました。カールさんは日本の古民家再生に多く携わり、新潟県でもたくさんの古民家を生まれ変わらせています。カールさんが改装を手掛けてくれたおかげで、和洋折衷なテイストのおしゃれなお店になったと思います。

 

——古民家を使った店舗のメリットとデメリットを教えてください。

早福さん:メリットは落ち着けることかな。お客さんからもゆっくり休めるといってもらえます。私も仕事をしながら落ち着けるんです(笑)。著名なカールさんが手がけてくれたこともあって、建物を見学にくるお客さんもいます。古い建物のよさを実感して帰られるお客さんも多いです。デメリットは建物の柱がじゃまになるということですかね。元は宮大工が建てた建物なので、クギを使っていないんです。そのため梁を支えるための柱があちこちに建っていて動かすことができないので、部屋の中のレイアウトに制限ができてしまうんですよね。

 

彌彦神社の前で和カフェをはじめた理由。

——早福さんはなぜ和カフェをやろうと思ったんですか?

早福さん:私は子どもの頃から、おみやげ屋の手伝いでこんにゃくを売ったりしていたんです。そのとき、お客さんからよく聞かれたのが、休む場所はどこかにないかということでした。当時の彌彦神社周辺って休める場所があまりなかったんですよ。ですので、彌彦神社に来た人たちに休める場所を提供したいという思いがありました。

 

——なるほど。そこで甘味を提供することになったのは、どんないきさつがあるんですか?

早福さん:もともとお菓子が好きだったので、お菓子づくりを仕事にしたかったんです。ただ、和菓子にしようか洋菓子にしようか迷っていました。大阪製菓専門学校でお菓子づくりを1年間学び、奈良の甘味処で2年間修行したんですよ。その頃京都のお店を巡って食べ歩きをしていて、甘味処であんみつ、ぜんざいなどを食べたときに、自分もこういうお店をやりたいと思ったんです。その後も食べ歩きと試作を繰り返して、2003年、弥彦に戻って「社彩庵」をオープンしました。

 

——甘味処は場所柄ぴったりですよね。繁盛して1年中忙しいんじゃないですか?

早福さん:おかげさまで、春は花見からゴールデンウィーク、夏は夏休みシーズンで人が多いですし、秋は紅葉に始まって菊まつりでピークになります。大晦日は深夜3時まで営業して、元旦は彌彦神社の初詣客でとにかくいそがしいですね。だいたい1年中弥彦のイベントに合わせてバタバタしてますが、冬だけはヒマになります(笑)そうそう、令和元年をむかえた初日も、彌彦神社の御朱印目当ての参拝客ですごく混みましたよ。

 

——1年中ほとんど忙しそうですね。そんな中で印象に残っていることってありますか?

早福さん:男性がパフェとかの甘味、女性がコーヒーとかの飲み物だけを注文するカップルがなぜか多いんです。うちの店だけなんでしょうかね? 甘味の甘さを控えめにしているので、男性でも食べやすいというのはあるかもしれません。あと、インスタグラムなどのSNSに写真を投稿する人が増えてますよね。ぬいぐるみを使って撮影する「ぬい撮り」をするお客さんもいます。中には大きなぬいぐるみを抱えて来店され、ぬいぐるみに甘味を食べさせたりしながら撮影するお客さんもいたんです。ところがお客さんの帰ったあと、席にはそのぬいぐるみだけがポツンと置いてけぼりになっていたんです(笑)。しばらくしてあわてて迎えに来てくれたので、無事お返しすることができましたけどね。

 

抹茶やチーズを使った和スイーツ。伊彌彦米のソフトクリーム。

——カフェのおすすめ甘味を教えてください。

早福さん:まず「白玉クリームあんみつ」ですね。あずき、寒天、白玉はすべて手づくりしています。あずきには大粒の丹波大納言小豆、寒天には丹波糸寒天、白玉には新潟米を100%使っています。抹茶アイスは最高級の宇治茶を贅沢に使っていて、配合を指示して業者さんに作ってもらっているオリジナルアイスです。同じ抹茶系ですけど「抹茶栗ぜんざい」もおすすめ。冷たいのと温かいのでえらんでいただくんですが、冷たいのには白玉、温かいのには餅が入っています。餅は弥彦の切り餅を使っていて、他の餅にはないおいしさを味わえます。「ごまのチーズケーキ」も人気です。ごまの軽い風味や歯ごたえを楽しむことができ、クリームチーズをたっぷりと使ったなめらかなケーキを味わえます。セットにするとコーヒーか紅茶のどちらかがついてきます。

 

——全部おいしそうですね(笑)。1階の「ひらしお」でも飲食メニューを提供しているんですか?

早福さん:「ひらしお」の売店では「伊彌彦米(いやひこまい)ソフトクリーム」を提供しています。ガンジー牛乳、伊彌彦米、塩で作られたソフトクリームです。伊彌彦米はペーストして混ぜ込んであるほか、ポン菓子にして上からかけてあります。神様から塩づくりを教わったという平塩家のルーツにちなんで塩を使っていますが、ソフトクリームにヒヤッとした冷たい食感を与えてます。

 

弥彦散策のお供になるようなテイクアウトメニューを。

——今後「社彩庵」で提供してみたいメニューはありますか?

早福さん:じつはオープン当初から、かき氷の提供を考えていて、かき氷機も用意してシロップの試作もしていたんです。いそがしくてなかなか実現することができずにいるので、近いうちになんとか実現したいと思っています。あと、食べ歩きできるようなテイクアウトメニューもやってみたいです。ドリンクやフロート、あんみつなんかを食べながら弥彦散策できるといいですよね。

 

 

彌彦の神様から塩づくりを教わり、塩づくりに携わるようになったことから「平塩」と名乗るようになったというルーツを持つ早福さん。弥彦の町に休む場所を作りたいという思いから、おみやげ店の2階に和カフェ「社彩庵」をオープンし、京都で出会ったあんみつ、ぜんざいなどの甘味や飲み物を提供しています。彌彦神社参拝の折には、ゆったり一の鳥居を眺めながら甘味を味わってみてはいかがでしょうか。

 

 

白玉クリームあんみつ(抹茶アイス) 780円

抹茶栗ぜんざい(温/冷) 730円

ゴマのチーズケーキセット 730円

抹茶シフォンケーキセット 580円

 

 

社彩庵

〒959-0323 新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦1240-1

0256-94-2162

10:00-18:00

木曜定休


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