子どもの頃、保育園や幼稚園で押した手形に、大人になった今の自分の手を重ねてしみじみすること、ありませんか。成長の記録としての手形を、アートに仕上げてくれる「手形アート作家」が新潟市にいます。その中のひとり、「Tim」の野澤さんは子どもだけではなく、ママやパパに負担のないかたちで作品をつくっています。今回は制作現場にお邪魔して、お話を聞いてきました。
Tim
野澤 望 Nozomi Nozawa
1991年新潟市出身。高校を卒業後、介護士として働く。子育てをしていく中で手形アートに出会い、制作をはじめる。2022年に「Tim」としてイベントを中心に制作を行っている。
――野澤さんは介護士としても働かれていますね。
野澤さん:一緒に住んでいる祖母の面倒を見たくて、介護士になりました。早く経験を積みたくて、高校を卒業した後は専門学校には進まず、すぐに働くことにしたんです。今も本業は介護士で、副業として手形アートの制作をしています。
――野澤さんが手形アートをはじめたきっかけは、どんなものだったのでしょうか。
野澤さん:上の子どもが小学校に上がったタイミングで、学校に行きづらくなってしまって。家にいる子どもとの時間をつくるために、介護の仕事を一度休憩することにしました。一緒に何かつくれるものがないかな、と探していたときに、以前から知っていた手形アートをはじめてみたんです。
――手形アートを選んだ理由はどんなものだったのでしょうか。
野澤さん:子どもと一緒でも簡単にできるのはもちろん、ママさんにも喜んでもらえるかなと思ったんです。私自身、子どもを出産した後に、落ち込んだリ塞ぎ込んだりすることが多くて。家から出るのが難しかったんです。
――ふむふむ。
野澤さん:手形アートなら、イベントだけではなく、ご自宅で手形や足形をとって制作することができるので、いろんな事情で外に出るのが難しいママさんにも、気軽に試してもらえると思ってはじめました。
――はじめた当初からイベントに出店されていたのでしょうか。
野澤さん:最初はイベントではなく、お子さま向けの撮影プランのオプションとしてはじめました。知り合いのカメラマンにお願いして、1年間くらいさせていただきました。その後イベントに出店しはじめましたね。私は人見知りなので、はじめた当初、お客さまと1対1でお話するのはとても緊張しました(笑)
──野澤さんのつくる手形アートは保育園や幼稚園でする手形とは違いますね。
野澤さん:可愛くて記念になるのはもちろん、作品として家に飾れるようにつくっています。私の手形アートは直接手や足の形をとらなくても、制作できるものなんですよ。
――ん、それはどうやって制作するのでしょう、詳しく教えてください。
野澤さん:写真のデータを頂ければ、編集して実寸で作品をつくることができるんです。人見知りのお子さんとか、対面で形をとるのが難しい子でも対応できます。生まれたときにとった足形も、何年経っていても作品に仕上げることができますよ。
――手形アートのモチーフには、可愛い動物が多いですね。
野澤さん: アザラシとかウサギとか、動物のモチーフが多いですね。シンプルなものだと「LOVE」の「V」を足形で作ったりもしています。
――モチーフは野澤さんが考えているのでしょうか。
野澤さん:他の作家さんが作っていないモチーフは、絵本やイラストをもとに私が考えているものもあります。ゴリラとか、ブタは個性的なものが好きな方にオススメですよ。
――手形アートをしていて、難しいと感じるのはどんなことでしょうか。
野澤さん:他の作家さんがやっていないようなことを考えるのが難しいなと思います。デザインや色がまったく同じというわけではないのですが、私しかやっていないアートができないかなと常に考えています。
――制作の中で工夫していることを教えてください。
野澤さん:季節にあわせたデザインをつくっています。ひな祭りやハロウィーン、クリスマス仕様のデザインを用意しています。お子さまの成長を一緒に季節も楽しんでもらえるので、リピーターさんにも人気ですよ。
――これなら子どもの成長も、写真のように楽しめますね。
野澤さん:動物の顔や文字を、私が描くようにしています。お客さまに描いてもらう作家さんもいますが、イベントに来てもらったのであれば、他のブースを見てゆっくりしてもらいたいと思ったので。
――ママさんも安心ですね。「Tim」のアートはどんな方にオススメなのでしょうか。
野澤さん:お子さんの成長記録としてはもちろん、プレゼントにもオススメです。この前はお孫さんへのプレゼントにオーダーしてくれた方もいらっしゃいました。お子さまが大きくなったときに、何か残せるものを探している方は、ぜひ一度試していただきたいですね。写真さえあればつくれるので、自分の生まれたときの足形でアートをつくって、結婚式に置いたり、自分の子どもが生まれたときに、手形アートをつくって自分のと比較したり、いろんな方法で楽しんでもらえると嬉しいです。
──野澤さんのこれからの目標を教えてください。
野澤さん:高齢者に向けたアートもつくってみたいですね。お孫さんと一緒に手形をとってアートにすれば、ご本人だけじゃなくてパパやママも嬉しいと思うんです。介護士をしているのもあって、福祉につながるアートが作れたらいいなと思っています。
──子供だけではなく家族に向けたアートは、野澤さんならではの視点ですね。
野澤さん:今はイベント出店が主ですが、いつか場所を借りてゆっくりアートが制作できる機会をつくりたいですね。子育てを頑張っていて、なかなか外に出られないママさんも喜んでもらえるようなことをしていきたいと思います。
──読者の方にひとこと、お願いします!
野澤さん:オーダーしていただかなくてもいいので、気軽に遊びに来てくれたら嬉しいですね。こんなことがしたい!っていうものがあれば、お問い合わせだけでもOKですよ。
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