木育ワークショップで木の素晴らしさを伝える「阿部仏壇製作所」

木に触れて、素晴らしさを知ってもらう木育活動について。

木工体験のワークショップを通して木に触れてもらい、木の素晴らしさを知ってもらう「木育」。その活動をしている「阿部仏壇製作所」の吉田さんは、「KOUGI(コウギ)」というブランドを立ち上げ、木製生活雑貨の製作なども手がけています。吉田さんに「木育」とはいったいどのようなものなのか、教えていただきました。

 

阿部仏壇製作所

吉田 達洋 Tatsuhiro Yoshida

1981年新潟市生まれ。有限会社阿部仏壇製作所社長。木地師。新潟市内のデザインプロダクションでデザイナーをやっていたが、父が倒れたことをきっかけに阿部仏壇製作所を継ぐ。趣味は音楽で、好きな木はヒノキ。

 

木をノコギリで切ったりカンナで削ったりするワークショップ。

——よろしくお願いします。今日は「木育」について色々教えて下さい。

吉田さん:こちらこそ、よろしくお願いします。あまり滑舌が良くないので、うまくしゃべれるか心配ですけど(笑)。

 

——吉田さんは木育のワークショップを開催されているんですよね?

吉田さん:はい。「木の工場体験イベント」を年2〜3回自社ショールームで開催し、その中で木工体験のワークショップを行っています。ノコギリで切ったり、カンナで削ったりしながら木材を加工し、製品を作り上げる体験ワークショップです。

 

——こちらのショールームでやっているわけですね。

吉田さん:いえ、それだけじゃなく、他に出張ワークショップもやっています。幼稚園、保育園、学童クラブ、福祉施設などいろいろなところに伺いますよ。あと、お店とかで開催するイベントなどに呼んでいただくこともあります。「木育ワークショップキット」などの販売もしていますので、それを使って子どもに木工を教えることもできます。

 

——そのキットは、どんな内容なんですか?

吉田さん:弊社で下処理した材料を使って、カスタネット、祭りの鈴、ティッシュケースを作ることができるキットになっています。ご注文をいただいてからの製作になりますので、少しお時間をいただくことになりますが、ぜひご利用いただきたいですね。

 

木育ワークショップってどんなことを学べるの?

——そもそも、なぜ木育ワークショップを開催されているのでしょうか?

吉田さん:私は木材を扱う仕事をしていて、木の素晴らしさをよく知っています。だから、子どもたちにも木に親しんでもらいたい、素晴らしさを知ってほしいという思いがあるんです。その上で木や自然環境を大切にする心も学んでほしいと思って。

 

——なるほど。それが木育ということになるんですね。

吉田さん:私が木育ワークショップをおこなう場合、木工体験をしてもらうだけではなく、必ず木の素晴らしさを伝えるようにしています。たとえば体験で使うヒノキの説明をするときは、奈良の法隆寺の話をするんです。「君たちが今から使うヒノキという木は、世界最古の木造建築物といわれる法隆寺に使われているんだ。1,300年も前に作られた建築物を支えているんだよ。」その話を聞くとほとんどの子どもはびっくりして歓声を上げますね。

 

——木育をすることで、子どもがどのように育つと考えますか?

吉田さん:木を好きになってもらうことで環境を守る心を育んだり、日本に伝わる木の文化を大切にしたり、豊かな心を持った人間になってくれることを願っています。

 

木の香りや手触りが記憶に残る体験をしてほしい。

——木工体験をすることは、どのように木育とつながるのでしょうか?

吉田さん:実際に木に触れることで、木の良さというものを体で知ってもらえると思います。目で見た記憶は忘れやすいと思うんです。でも、匂いや手触りなどの感覚は長く記憶に残ると思います。ヒノキを使った木工体験をする子ども達も、木材を切ったり研いだりする瞬間のヒノキの香りに感動して「いい香りがする!」「甘い匂いがする!」と歓声を上げます。そういう記憶が残ってくれて、将来、木のよさを思い出してくれればうれしいですね。

 

——木に触れることで親近感が持てそうですね。木工に取り組む子どもの様子はいかがですか?

吉田さん:もの作りには子ども達の性格が出ますよね(笑)。早く作りたくて慌てて危ない作業をする子。優しく丁寧に木材を扱い着実に作業をする子。「僕にやらせて!」と順番を割り込んでくる子。様々な個性を見極めることができます。

 

——木工を教える際に心がけていることはありますか?

吉田さん:できるだけ自分の手で作業してもらうことです。年齢によっては難しい作業もあるし、中には不器用な子もいます。でも、できないからといって私がすべてやってあげるのではなく、手を添えてあげて一緒に作業をするようにしています。「自分で作っている」という実感をしてもらいたいんです。

 

——「自分で作っている実感」についてもう少し具体的にお聞きしたいのですが。

吉田さん:たとえば紙ヤスリをかける作業をしているとしますよね。作業が終わると木がツルツルになるわけです。それを見ながら「ザラザラだった木がこんなにツルツルになったのは、君が一生懸命紙ヤスリで磨いたからだよ。」と話すんです。自分が何をやって、その結果どうなったのかということを教えるようにしています。

 

毎日使いたくなるもの。一生使いたくなるもの。

——ショールームには木製雑貨が色々展示されてますね。

吉田さん:2011年に「KOUGI(コウギ)」という木製品のブランドを立ち上げたんです。木の耐久性や肌触り、見た目のあたたかさなどを生かした木製生活雑貨をデザインし、製造販売しています。箸置き、コースター、おしぼりトレー、鍋敷き、ティッシュケースなど生活の中で身近にあるものを製品化しています。

 

 

——KOUGI製品のコンセプトを教えてください。

吉田さん:まず機能的なもの。毎日使いたくなるもの。一生使いたくなるものを目指しています。そのため木の風合いを生かした、シンプルで飽きのこないデザインを心がけているんです。

 

 

——生活の中で身近なものを製品化しているのはなぜでしょうか?

吉田さん:弊社は「阿部仏壇製作所」という仏壇を作っている会社なんです。仏壇というものは、なかなか人目につく機会が少ないですよね。その点、身近にある生活雑貨だったら人目にふれる機会も多くなると思ったんです。KOUGIの生活雑貨製品を見た人が仏壇にも興味を持ってくれたら…という思いもありました。

 

伝統的なものや新感覚のものまで。いろいろな仏壇を作っている会社です。

——ちなみに、どんな仏壇を作っているんですか?

吉田さん:金箔を使った蒔絵で装飾した、伝統的な金仏壇の製作をしています。ですが、近年では需要がどんどん減ってきているんです。仏間が常に家の中にある時代とは違って、和室すら少なくなってきた現代のライフスタイルに、金仏壇が合わなくなってきているんだと思います。でも、亡くなった家族を思う気持ちは、いつの時代でも変わらないですよね。そこで「シンプル仏壇」「手元供養台」なども作っているんです。

 

——なるほど、その「シンプル仏壇」や「手元供養台」というのはどんな製品でしょうか?

吉田さん:「シンプル仏壇」というのは、その名の通り、シンプルな仏壇です。蒔絵などの装飾をなくし、木の風合いを生かしたデザインになっています。一見仏壇には見えない、ちょっとクローゼットのようにも見える仏壇です。フローリングの床が多い現代のライフスタイルにも違和感なく馴染みます。「手元供養台」は「nenrin®(ねんりん)」の名で登録商標を取った弊社のオリジナル供養台です。小型の供養台ですのでちょっとしたスペースにお供えすることができ、アパートやマンションなどにお住まいの方にご提案したい製品ですね。

 

——なるほど。新しい形の仏壇なども提案しているんですね。

吉田さん:はい。時代を作ることはできませんが、時代に合わせることはできると思っています。

 

 

 

伝統的な仏壇製作で培った木工技術を生かし、現代のライフスタイルに通用する生活雑貨ブランド「 KOUGI」を展開している吉田さん。同時に木工体験ワークショップを通して、子ども達に「木育」として、木の魅力を伝えています。そのお話をお聞きして、木に触れること、木を学ぶことの大切さや、木工製品のよさを改めて感じることができました。

 

 

阿部仏壇製作所

〒950-0807 新潟県新潟市東区木工新町372-10

025-275-7801

平日10:00-17:00/土日祝日 13:00-17:00

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