村上駅前に「Titto bakka(チットバッカ)」というカフェがあります。緑いっぱいの店内は、室内であることを忘れてしまいそう。この時期におすすめのメニュー「ももパフェ」をいただきながら、オーナーの中西さんにお話を聞いてきました。
Titto bakka
中西 ゆみこ Yumiko Nakanishi
村上市在住。喫茶店で経験を積み、2011年に「Titto bakka」をオープン。2016年に村上駅前に移転オープン。植物や犬、猫、金魚に囲まれて暮らしている。
——店内のあちらこちらに植物があって、屋内とは思えませんね。
中西さん:ここにある植物はいただきものがほとんどなんですよ。それぞれに名前をつけて可愛がっています。
——それぞれに名前、ですか。中西さんはとっても植物がお好きなんですね。
中西さん:私は昔から人見知りなんです。植物と動物さえいれば生きていけると思っているほどです(笑)
——ちなみに、今まではどんなお仕事をされてきたんですか?
中西さん:アルバイトも含めて飲食店が多かったですね。なかでも喫茶店は長い間働いていたんですよ。4人目の子を産んだ後も、お店のみんなに協力して育ててもらいながら、カウンターのなかで働いていました(笑)
——それじゃあ、カフェはお手のもの、という感じですね。独立して「Titto bakka」をオープンしたのはどうしてなんですか?
中西さん:最初は、発達障がいのある私の娘が働ける場所としてはじめたんです。結局、カフェの仕事は合わなくて、今はホームセンターで働いていますが。
——そうだったんですね。以前は別な場所で営業していたんですよね?
中西さん:はい、以前は居酒屋だった物件を居抜きで使っていたんです。当時は古民家を使った「和カフェ」がブームになっていたので「和カフェ Titto bakka」としてオープンしました。カウンターから小上がりまである広いお店だったので、幅広い年代のお客様にご利用いただけてけっこう繁盛したんです。
——「Titto bakka」という店名には、どんな意味があるんですか?
中西さん:方言で「少しばかり」っていう意味です。「大げさなことはできないけど、少しばかりのサービスに心を込めておもてなしする」っていう思いを込めました。お料理やスイーツのボリュームを見たお客様からは「ぜんぜんちっとばっかじゃない」と言われていましたね(笑)。年配の方には親しみやすさを感じていただけたようで「店名が面白いから来てみた」というお客様もいらっしゃいました。
——移転リニューアルをしたのは?
中西さん:あまりに忙しかったことと、スタッフを使うことに疲れてしまったので、前のお店を閉めることにしたんです。ギリギリの告知になってしまったせいか、最終日には多くのお客様が殺到してくださって、夜の8時までランチが終わらなかったんですよ(笑)
——夜の8時までランチが続くってすごいですね(笑)
中西さん:今度は小さな店舗で、無理せずにやりたいと思ったんです。それでお洒落なカフェというよりも、喫茶店のイメージに寄せたお店にしています。村上には長い間喫茶店のなかった時代があって、お茶を飲みに行く文化がないので、そういう文化を支えられるようなお店にしたいんです。
——よく見ると、いろんな雰囲気の席があるんですね。これは意図的にやっているんでしょうか。
中西さん:そうですね。鎌倉に憧れて、よく行ってお店めぐりをしていたんです。そのときに見かけた、不揃いな調度をお洒落に置いているお店を参考にしているんですよ。特にソファ席は絶対に作りたかったんです。
——それぞれに雰囲気があって、座る場所で気分が変わりそうですね。ではそろそろ、おすすめのメニューを教えてください。
中西さん:「大人の給食」をコンセプトにしているランチでしょうか。母が自家栽培した野菜と、父が作ったお米をたっぷり使っているんです。母は元々ほうれん草とジャガイモくらいしか作っていなかったんですけど、最近は私のリクエストに応じて、ズッキーニやパプリカといった、今まで作ったことのない野菜まで作ってくれるようになりました(笑)
——いろいろな野菜が使われているので、カラフルで食欲をそそられますね。
中西さん:それから、夏の時期は「ももパフェ」がおすすめです。サイズによって3種類から好きなものをお選びいただけます。田上町と山形県東根市の契約農家さんから仕入れた桃を使っていて、7月から9月末くらいまで提供しています。「贅沢ももパフェ」は1.5個分の桃を、その名の通り贅沢に使っているんですよ。
——なかなかのボリュームですね。
中西さん:そうなんです。だから、なかにはパフェをひとつだけ頼んで数人でシェアしようとするお客様もいるんですけど、おひとり様ワンオーダーでお願いしています。子どもの頃の私にとって「パフェ」っていうのは、なかなか食べる機会のない特別なものだったんです。だから私はパフェに夢を込めていて、盛り付けにも力を入れているんです。そのパフェをグシャッと取り分けられてしまうのは、とっても悲しい気持ちになってしまうんです。
——なるほど、美味しい見た目のまま食べてほしいという思いがあるわけですね。ところでこのお店に来るのは、どんなお客さんが多いんでしょうか。
中西さん:近くにある公民館帰りの奥様方がよく来てくださいます。ほとんどのお客様が、食事やデザートを完食してくださるのはありがたいですね。「自分の食生活に野菜不足を感じたときは来るようにしている」と言ってくださる方や、予約をしてまで来てくださる方もいて、本当にありがたいと思っています。私、人生で今がいちばん幸せなんです。
Titto bakka
村上市田端町1-25
0254-53-5150
11:00-14:00/15:00-18:00
日水曜、第2・4土曜休