新しい趣味と出会える、三条市の雑貨店「一TOKI 趣味を楽しむお店」。
ものづくり
2024.03.18
日々仕事に追われていたり子育てで忙しかったりすると、自分のための時間を作ることってなくなってしまいがち。そんな人たちに、自分ひとりのための時間を作る大切さを広めようとオープンしたのが「一TOKI(ひととき) 趣味を楽しむお店」という雑貨屋さんです。「三条ものづくり学校」の2階にある店舗にお邪魔して、店主の堀江さんに「趣味を楽しむお店」をはじめたきっかけについてお話を聞いてきました。


一TOKI 趣味を楽しむお店
堀江 夏綺 Natsuki Horie
1994年三条市生まれ。長岡造形大学を卒業後、事務職などを経験。2023年12月に「三条ものづくり学校」内で「一TOKI 趣味を楽しむお店」をオープン。趣味は解説系動画を見ること。犬が好きでバセットハウンドを飼っている。
趣味をきっかけに「自分のための時間を作る」、その価値観を広めたい。
──こちらはどういう雑貨屋さんなんでしょうか。
堀江さん:県内外の作家さんの作品や燕三条産のものを扱っていて、来た人に発見や趣味を見つけてもらうきっかけがある雑貨店です。
──店名にも「趣味を楽しむお店」って入っていますよね。どうしてそういったコンセプトのお店をやろうと?
堀江さん:もともとアートが好きで、作品を見ることが好きだったっていうのもあるんですけど、いちばんは趣味をきっかけに「自分のための時間を作る」っていう価値観を広めたくて。そのツールとしての「趣味」なんです。プロフェッショナルでもある作家さんと一緒になって趣味を提供していければ、いい循環ができるんじゃないかなと思いました。

──「自分のための時間を作る」という価値観が大切だと思うようになったのには、きっかけがあったんですか?
堀江さん:学生時代に親と喧嘩をして、お互いストレスが溜まって、よくない方向に行ってしまったことがあるんです。私も鬱っぽくなってしまって。でもそのままじゃダメだと思って、親とは別居して暮らすようになったら時間が経って回復しました。今では仲良く一緒に暮らしています。
――ご両親と一度距離を置いて、自分の時間を作ったことがよかったんですね。
堀江さん:そういう経験もありつつ、学生を卒業して社会に出ると、子育てでいっぱいいっぱいなのに旦那さんが何もしてくれないっていう方とか、介護で大変な方とか、家族のことで悩んでいる方の話を聞くことがあったんです。

――毎日一緒にいる家族だからこそ、悩むことも多いでしょうね。
堀江さん:そういう方たちって、あまり自分のための時間が作られていないというのが共通点としてあるんですよね。だから「自分のための時間を作る」っていう感覚をどうにか広められないかなと思って考えだしたのが、この場所をはじめたきっかけです。
――ご自身の経験から、同じように悩む方の助けになる場所を作ろうと「一TOKI」をはじめられたんですね。
堀江さん:あと、学生時代にひとりで旅行をして、ひとりだからこそ地元の人がいっぱい喋りかけてくれたんですよね。フラッと寄ったお店で、店員のおばちゃんがお店での苦労話を聞かせてくれたり、ゲストハウスで一緒だった留学生と話をしたり。そういう経験があったので、自分のための時間を別な場所に作ることで、人との出会いで刺激を受けて、そこからまた選択肢が広がることを知って。そういう意味でも、自分の時間を作る大切さを広めたいと思いました。
──「一TOKI」の構想は、いつからあったんでしょうか。
堀江さん:1〜2年くらい前からですかね。最初はお店ではなくてコワーキングスペースのようなものを考えていたんです。場所を貸して、そこで趣味とか自分のための時間を過ごしてもらおうって考えていたんですけど、コワーキングスペースの認知度が少ないっていう課題もあって。もうちょっと分かりやすいものがいいかなと思って、雑貨店をはじめることにしました。

ちょっと珍しいけど、普段の生活にも取り入れやすいアイテム。
──お店に置くものは、どういうポイントで選んでいるんでしょう?
堀江さん:こだわりを感じる作家さんとか、活動をはじめたてで、これから作品のクオリティを上げていこうとしている方とかを見つけて声をかけさせてもらっています。作家さんに自分の作品をアピールする場としても使ってもらいたいんです。あとは来た方の発見につながるような、ちょっと珍しいけど普段の生活にも取り入れやすいようなものを選ぶようにしています。
――いろんな作品の中でも、堀江さんが注目しているものってありますか?
堀江さん:迷いますね……県内の方だと、金工作家の三上洸希さんの作品ですね。犬、猫やおばけのブローチとかもあって、すごくかわいいんです。私もひとつ持っています。

――いろんなモチーフのブローチがあってかわいいですね。
堀江さん:あと、これからの季節を考えるとシュシュがおすすめです。オーガンジーっていう透けた布にミシンで刺繡がされているんですけど、オーガンジーって縫うのが難しい生地で、刺繍するにも技術が必要なんです。このデザインもなかなかないし、綺麗なのでこれからの季節にピッタリだと思います。

――ワークショップも開催されているそうですね。どんな体験ができるんでしょうか。
堀江さん:3月だと「スカンディアモス」っていう生きた苔を使ってモスツリーを作るワークショップがあります。あとはマッサージ系ですね。骨盤矯正とか、そういうリラクゼーション系の体験もできるようにしています。月に1回は作家さんと一緒にワークショップを開いて、そこで趣味を作ってもらえたらいいなって。

目指すのは、新潟でいちばん面白い雑貨店。
――これからどんなお店を目指していきたいですか?
堀江さん:大きい夢でいうと、クリエイティブな方が集まってお互いに切磋琢磨できるような場所にしたくて。例えば、ここに来た方がめちゃくちゃ成功して大企業の社長になったときに「実は昔、若いときはここで過ごして、そこでの経験が生かされているんだ」とか「ここでひと休みできたことが助けになった」とか、そう言われる場所になりたいですね(笑)
――この場所があることが、誰かの支えになったらいいなと思われているんですね。
堀江さん:他の雑貨店と違って、体験や発見のある場所でありたいので「おしゃれ」と言われるよりは「面白かった」って言われる方が嬉しいんです。「県内で一番面白い雑貨店になる」っていう気持ちでいます(笑)。作家さんとか企業さんと一緒になってお客様に趣味を提供したいです。かつ、「これからどうすればいいんだろう」と悩んでいる作家さんも、どんどんステップアップしてもらえるようにしたいですね。

一TOKI 趣味を楽しむお店
三条市桜木町12-38 三条ものづくり学校 210号室
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