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野菜の魅力を伝え、農業体験も楽しめるカフェ「tsugu」。

都会の生活に憧れて上京する若者は多いと思いますが、今回ご紹介する橋本さんは、その逆、高校生の頃から田舎暮らしや農業に憧れて、ついには小千谷に移住してカフェまではじめてしまいました。いったいどんなカフェなのか、シェアスペースのなかで営業している「tsugu(ツグ)」に橋本さんを訪ねました。

 

 

tsugu

橋本 実樹 Miki Hashimoto

1993年東京都生まれ。大学時代に住み込みの農業アルバイトを経験し、そのまま農業法人に就職。その後は地域おこし協力隊として小千谷に移住する。任期終了を迎えた2021年に「やまもとやまCAFE 本」「tsugu」をオープン。趣味はひとり旅で、ヒッチハイクをしながら大阪までたこ焼きを食べに行ったこともあるバイタリティーの持ち主。

 

田舎暮らしと農業に憧れる女子が、小千谷にやってきた。

——橋本さんは東京のご出身ということですが、どうして新潟に来ることになったんですか?

橋本さん:高校生の頃から田舎暮らしに憧れていて、大学時代はいろいろな土地を訪れて住み込みの農業アルバイトをやっていたんです。大学を卒業してからは、アルバイト先だった三重の農業法人にそのまま就職したんですが、もっといろいろな土地を見て回りたいと思って、地域おこし協力隊として小千谷に来ました。

 

——田舎暮らしに憧れたきっかけはあったんですか?

橋本さん:私のおばあちゃんは秋田で農業をやっていたので、子どもの頃からよく手伝いに行っていたんです。そのときの楽しかった記憶がずっと残っていたんだと思います。

 

——よっぽどその体験が楽しかったんですね。農業のアルバイトではどんな土地に行かれたんですか?

橋本さん:群馬ではキャベツの収穫、広島では観光農園での接客や加工品の袋詰めをしました。三重の農業法人では20種類くらいの野菜を作っていたので、その植えつけや出荷作業をやっていたんです。どの仕事も大変でしたけど、楽しく働くことができましたね。地域おこし協力隊として小千谷に来たのは、一生に一度は雪国での暮らしを体験してみたかったからなんです。

 

 

——雪国に住んでいる者からすると、もの好きとしか思えません(笑)。地域おこし協力隊として小千谷に来てからは、どんなことをしてきたんですか?

橋本さん:カリフラワーや雪下にんじんといった作物の農業支援、山本山の山頂でブルーベリーを作る観光農園の企画や手入れをやっていたんです。3年間の任期が終わることになったので、小千谷にそのまま残るか、他の地域に行くか、今後の身の振り方を考えました。

 

——その結果、小千谷に残ることにしたんですね。

橋本さん:はい。せっかくいろいろな人たちとご縁もできたので、そのまま小千谷で暮らしてみようと思いました。

 

——小千谷で暮らしてみてどうでしたか?

橋本さん:自然豊かなので四季がはっきりわかるのが素敵だと思いますね。それから人と人の距離がとても近く感じました。ご近所さんから野菜のおすそ分けをいただけたりして、とても温かい人づきあいをさせていただいています。仲良くなったおばあちゃんからは味噌作りも教えてもらいました。

 

——じゃあ、小千谷は好印象だったんですね。雪には慣れましたか?

橋本さん:最初の2シーズンは暖冬で雪が積もらなかったんです。でも今年はかなりの大雪だったじゃないですか。田んぼの中の一本道でホワイトアウトを経験して、車で雪の壁に突っ込んじゃいました。でも憧れだったかまくらを初めて作れたのは楽しかったですね(笑)

 

農家や野菜と、みんなを「継ぐ」カフェ。

——橋本さんは前から自分で飲食店をやってみたいっていう夢があったんですか?

橋本さん:実はまったくなかったんです(笑)。私はお皿を割っちゃうようなタイプだから、飲食店の仕事は自分に向いていないと思って今まで避けて生きてきたんです。

 

——それなのに、どうしてカフェを始めたんですか?

橋本さん:ちょっと話は戻りますが、地域おこし協力隊をやっていたときに、3ヶ月間限定でカフェを営業してみたことがあったんです。山本山の山頂に、放置されているスキー場の休憩所だった建物があって、せっかく周りに素敵な景色が広がっているにもったいないと思っていたんですよね。多くの方にその景色を楽しんもらいたいと思って、期間限定のお試しカフェをやってみたんです。

 

 

——お店をやりたかったというより、自然豊かな山本山の魅力を知ってほしかったんですね。

橋本さん:そうなんですけど、期限が過ぎて山本山のカフェを閉めてからも、また別に「シェアスペースひらく」を借りて、ときどき不定期にカフェを営業していたんです。そのうち毎週木曜から土曜にスペースをお借りできることになったので「tsugu」をオープンしました。山本山のカフェも復活して「やまもとやまCAFE本」として営業しているので、今はふたつのカフェを掛け持ち営業しているんです。

 

 

——それはすごいですね。大変じゃないんですか?

橋本さん:やりたいことが多くて選べないんですよね。「やまもとやまCAFE本」は素敵な景色のなかでのんびり過ごしてほしくてはじめたカフェだし、「tsugu」は農家とお客様をつなぎたいという思いではじめたカフェなんです。

 

 

——あ、それで「tsugu」っていう名前なんですか?

橋本さん:畑を通して農家と皆さんを、食を通して野菜と皆さんを「継ぐ」という意味なんですよ。だからカフェと並行して体験農園も開催しているんです。

 

——体験農園って、どんなことをしているんですか?

橋本さん:知り合いの農家さんに協力していただいて、ミニトマト、枝豆、じゃがいも、さつまいもの収穫や植えつけを体験していただくものです。子どもを土に触れさせたいという親子連れの方々がたくさん参加してくれています。リピーターになってくださる方も多いので嬉しいですね。

 

——自分たちで収穫した野菜を料理して食べても楽しそうですね。

橋本さん:今は新型コロナウィルス感染症予防のために実現できませんけど、いずれはそういうこともやっていきたいですね。あと自分たちで収穫した野菜を使った料理教室とか、自分たちで作った大豆を使った味噌作り体験なんかもやってみたいんです。

 

 

——いろいろな体験を予定しているんですね。カフェとしては、どんな料理やスイーツを提供しているんでしょうか。

橋本さん:知り合いの農家さんから直接仕入れた新鮮な地元野菜やフルーツを使って、手作り調味料やスパイスを使った身体に優しいお料理を作っています。夏は枝豆、冬はレンコンというように、旬の地元野菜を味わっていただきたいですね。

 

——まさに野菜とみんなを「継ぐ」カフェですね。

橋本さん:今後も「tsugu」の農業体験や料理を通じて、食の魅力を伝えていきたいですね。

 

 

移り住んだ小千谷の素敵な風景や、周辺地域で作られている野菜の魅力を多くの人に伝えるため、ふたつのカフェをはじめた橋本さん。「tsugu」では植え付けや収穫といった農業体験を通じて、より野菜の素晴らしさに触れることができます。さらにこれからキッチンカーで全国を回ったり、小千谷にゲストハウスを作ったりもしてみたいという橋本さん。その活躍がますます楽しみです。

 

 

tsugu

長岡市中島5-8-6

11:00-17:00

日〜水曜休

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