皆さんは何か「ものづくり」を楽しんでいますか? 世の中にはDIYや手芸など、いろいろな「ものづくり」がありますよね。今回ご紹介するギャラリーを兼ねたカフェ「茶房・創作屋 雨霽(うせい)」のオーナー・葛引さんは、様々な「ものづくり」を楽しんでいる女性です。そんな葛引さんから創作活動とカフェのこと、いろいろお話を聞いてきました。
茶房・創作屋 雨霽
葛引 久子 Hisako Kuzuhiki
1954年長岡市(旧栃尾市)生まれ。幼稚園や保育園で教員や保育士として働いた後、ご主人の建設会社を手伝いながら「しつらい工房」を立ち上げ創作活動に励み、2013年「茶房・創作屋 雨霽」をオープン。機織りや陶芸、染色などの創作活動に意欲的に取り組んでいる。
——思っていたよりも大きな建物なんですね。
葛引さん:ここは妹夫婦が住居にするつもりで購入したモデルハウスなんですが、現在は私が管理しているんです。父が大工をやっていて、私も小さいときから建築現場に連れて行ってもらっていたので、昔から古民家が大好きなんですよ。
——ご自宅用で購入したのに、カフェをはじめることになったのはどうしてなんでしょうか?
葛引さん:私はもの作りが好きなので、「しつらい工房」という工房を立ち上げて、機織り、陶芸、和紙漉き、型染めと、いろいろな創作活動をしているんです。そのお友達と一緒に作品を展示する場所がほしかったので、この建物をギャラリーとして使うことにしたんですよ。そしたらお友達から「ギャラリーだけじゃもったいないから、お茶くらい出してみれば?」ってアドバイスがあったので、カフェをやってみようかと思ったんです。
——だから、いろいろな作品が展示されていたり、販売されていたりするんですね。
葛引さん:はい。和紙でできた照明のシェードや、型染めのカレンダーなんかも私の作品です。あとお座敷のテーブルは、ダイニングとキッチンを隔てていた引戸を使ったものなんですよ。他の作家さんの作品も販売していて、2ヵ月ごとに内容が変わります。
——へ〜、意外なものまで手作りでびっくりしました(笑)。手先が器用というだけじゃなくて、葛引さんはセンスがいいんでしょうね。料理の器なんかもお洒落ですし……。
葛引さん:実はこの器も私が作ったものなんです(笑)。お店に出勤する前に陶芸の先生の元でこつこつ製作しているんですよ。コーヒーカップだけは安定感が心配なので、先生に作っていただいているんですけどね(笑)
——器まで葛引さんの作品だったとは驚きました。
葛引さん:料理やスイーツのメニューを決めるときは、いつも器優先なんです(笑)。メニューを決めたら器を先に作って、それに合わせた料理を作っているんです。だから器ができるまでメニューの開発ができなくて、ご提供をはじめるまで時間がかかっちゃうんですよ。
——ところで、店名の「雨霽」というのはどういう意味の言葉なんですか?
葛引さん:「雨が上がって晴れる」という意味の言葉なんです。お友達がお店をやろうとして用意していた店名なんですが、結局お店をはじめることができなかったので、私が譲り受けたんです。心のわだかまりを取り除いて、晴れ晴れした気持ちになっていただけるような場所になれたらいいなと思ってつけました。オープン日もちょうど梅雨明けの頃でしたね。
——こちらではどんなお料理がおすすめなんですか?
葛引さん:人気があるのは「ビーフシチュー」ですね。牛肉が柔らかくなるまで、長時間かけてよく煮込んで作っています。最後にコーヒー用のクリームを回し入れることで、見た目も綺麗になりますし、隠し味としてコクも出るんです。ごはんかパンのお好きな方を選んでいただけます。
——とても写真映えして、見た目だけでも美味しそうですよね。
葛引さん:ありがとうございます。コーヒーも人気がありますよ。オーダーをいただいてから豆を挽くので、新鮮な香りや味わいを楽しんでいただけますし、シフォンケーキがセットになっているので「得した気分になる」って言われます。
——居心地がいいので、コーヒーやケーキをいただきながらゆっくり過ごせそうですね。
葛引さん:お客様にはゆったりした時間を過ごしていってほしいと思って営業しています。ときどき早くお帰りになるお客様がいると、何かこちらに不手際があったんじゃないかと心配になったりするんですよ(笑)。だから「いつ頃席が空くか」というお問い合わせにはお返事ができなくて、お断りさせていただくこともあるんです。申し訳ない思いでいっぱいなんですけど、ずっとお待ちいただくのは申し訳ないので……。
——予約してから伺った方が良さそうですね。貸切みたいな利用もできるんですか?
葛引さん: 3階に「すぺーす蘭生(らんせい)」というレンタルスペースもご用意していて、教室や講座、趣味の集まり、作品展、お食事会にご利用いただいています。受験勉強のためにレンタルした子もいて、後日合格を報告に来てくれたこともありました(笑)。今後は一緒に機織を楽しめる企画なんかも行っていきたいです。
——いただいた名刺の裏には、カフェや工房と並んで「古物商」が載っていますね。
葛引さん:この秋から1階のガレージを使って、古民具や骨董の販売を始める予定で準備を進めているんです。私自身、古民具が大好きで、中越地震の際も倒壊した家主の方から依頼をお受けして、瓦礫のなかから古民具を引き取ったりしていたんです。
——じゃあ、これからますます忙しくなりそうですね。
葛引さん:好きなことを楽しみながらやっているので、忙しいとか大変とか思ったことはないですね。むしろ、いろいろな方とお話ができるので、自分の知らなかった世界が広がって楽しく過ごせています。
茶房・創作屋 雨霽
見附市熱田町312-3
0258-62-0100
11:00-17:00
木曜休