ベトナムの味を新潟で。「Vui × gioia」のバインミー。
食べる
2021.07.05
バターやパテを塗って、肉や魚、野菜、ハーブなどをたっぷりパンに挟んだベトナムのファストフード「バインミーサンドイッチ(通称バインミー)」。現地では、工夫を凝らしたバインミーを提供しているお店がたくさんあるそうです。今回は、そんなバインミーサンドの専門店「Vui × gioia(ヴーィ・ジョイア)の石崎さんにインタビュー。日本人に合わせて調理されたバインミーの秘密やこだわり、いろいろ聞いてきました。

新潟バインミーサンドイッチ Vui × gioia
石崎 亨 Tooru Ishizaki
1969年南蒲原郡田上町生まれ。モーグルスキー、サーフィン、サッカーなど、さまざまなスポーツを経験。大手電機メーカーで15年間働き、2021年に「新潟バインミーサンドイッチ Vui × gioia」をオープン。サッカチームのコーチ歴もある。
ベトナムのファストフード「バインミー」について聞いてみた。
――まずは、バインミーについて教えてください。どんなサンドイッチなんですか?
石崎さん:バインミーはベトナムで食べられているファストフードで、フランスパンに具材を挟んだサンドイッチのことです。一般的にはパンにバターやレバーペーストを塗って、野菜の甘酢漬け(なます)、キュウリやパクチーなどの野菜をサンドしていて、肉や魚を挟んであるお店もあります。
――なるほど。フランスパンを使ったサンドイッチなんですね。
石崎さん:ベトナムがフランスの植民地だった頃からの食べ物なんですよ。だからフランスパンを使って、野菜の甘酢漬けやパクチーなどのベトナム要素が合わさっているんでしょうね。

――長い歴史から誕生したサンドイッチなんですね。ふむふむ。現地ではポピュラーな食べ物なんですか?
石崎さん:日本だと、おにぎりみたいな存在ですね。バインミーを売っているキッチンカーはどこにでもあって、それぞれに特徴があるから、ベトナムの人たちは気分に合わせてセレクトして楽しんでいます。
――現地で食べたことは?
石崎さん:ありますね。数年前にベトナムに行く機会があって、そこで初めて食べてから好きになりました。開業に向けて準備をしていたときは、東京にあるバインミー専門店をとにかく巡ったし、今までにいろんなバインミーを食べてきましたね。

食べる瞬間、最も美味しいテイクアウトを目指して。
――石崎さんは、どうしてバインミーの専門店をやろうと思ったんですか?
石崎さん:昔、サッカーチームのコーチをしていたことがあって、そのつながりで、この店舗の大家さんと知り合いだったんです。あるとき、「テナントが空いているんだけど、何かに使えないかな」って相談を受けて。それで、「カジュアルな専門店がいいな……、ホットサンド……スーパーフードのスムージー……、いや、インパクトがないかな……」って考えていたら、現在のコロナ禍に徐々にシフトしはじめて、テイクアウトの需要が伸びてきてテイクアウト専門の何かをしようと考えたんです。だから、はじめからバインミーの専門店をやろうとは思っていなかったんですよね(笑)
――そうだったんですね(笑)。でも、どうして「テイクアウト」から「バインミー」につながったんですか?
石崎さん:僕、ピザが好きなんですよ。でもピザって、どう考えても焼きたてが一番美味しいじゃないですか。テイクアウトをして、食卓に上がる頃には……。この状態が残念で仕方なくてね。テイクアウトの店をするなら、冷めても、温かくても、どんなシチュエーションでも美味しくて、さらには新潟で珍しい食べ物を専門にやろうと考えたんです。で、その答えが「バインミー」だったんですよ。

――ちょ、ちょっと待ってください。バインミーってサンドイッチですよね? 温かい状態で食べることもあるんですか?
石崎さん:あるんですよ。そのままでも食べられるけど、カリっと焼くと……、めちゃくちゃ美味しくなるんです。だから「Vui × gioia」では、焼かない状態でお渡しして、食べる前にトースターで焼き上げてから、ベストの状態で食べてもらっています。テイクアウトの1歩手前、みたいな感覚ですね。食べてみます?
――では遠慮なく、いただきまーす! ガブリ……もぐもぐ……。んーー、サックサクのパン生地に、あっさりとした野菜の酢漬け。めちゃくちゃ美味しいですね。あれ、これってもしかして焼いてくれました?
石崎さん:今、トースターで焼き上げました。すぐ食べられる人には、トースターで焼いてからお渡ししているんですよ。だからサックサクのバインミーを味わってもらえます。
――家に帰らなくても、テイクアウトしてすぐに食べられるんですね。……サクサク、もぐもぐ、ごっくん……。ふー、美味しくて止まらないですね。食べ終わるまで待っててください(笑)

サクッとした歯切れ。想像したのはカレーパン。
――ご馳走さまでした。お待たせしてすみません(笑)。ではでは、インタビューを再開しましょう。バインミーって、フランスパンを使って作るんですよね? どうして、こんなに歯切れがいいんですか? 嚙みちぎるイメージがあるんですけど……。
石崎さん:パン自体のうま味がしっかりとしているんです。あと、しっとりとした食感、そして焼いたときに小麦の香りがフワッとする。パンを嚙みちぎるんじゃなくて、カレーパンみたいにサクッした歯切れをしている。そんなパンを求めて、いろんなパン屋さんにお願いをして、ようやくたどり着いたのがこのパンなんです。だから、そのまま食べればしっとり感があるし、焼くと驚くほどにサックサクに仕上がっているんですよ。
――なるほど。理想を追い求めてたどり着いたパンなんですね。だからこんなに美味しいのか、納得です。「Vui × gioia」では、どんな種類のバインミーが楽しめるんですか?
石崎さん:ベトナムっぽくて人気なのは、ナンプラーなどでアジアンテイストを加えた「ガーリックジンジャーチキン」ですね。現地では蒸し鶏を使うことが多いけど、日本人は焼いた方が馴染み深いから、ちょっとアレンジしてあります。あとは、サバペーストとクリームチーズをベースにした「サバとチーズ」も売れ筋です。サバの独特な風味、そしてチーズのうま味がクセになるんですよね。

――「サバとチーズ」が気になりますね。サバとチーズがサックサクのパンに合わさって……。うん、絶対美味しいやつじゃないですか。食べたばかりなのに、お腹が空いてきちゃいました(笑)。それでは最後に、これから新潟でバインミーをどう展開していきたいか聞かせてください。
石崎さん:新潟でどう展開していくかよりも、「新潟に行けばバインミーが食べられる」と思ってもらえるぐらいに、新潟でバインミーをはじめとした東南アジア料理が盛んになってくれたら嬉しいですね。……とは言いつつ、今はバインミーを知ってもらって、食べてもらえたら十分かな。

新潟バインミーサンドイッチ Vui × gioia
新潟県新潟市中央区花園1-2-2 2F
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