摂田屋の発酵食品を使った「6SUBI」のおむすびや汁もの。
食べる
2022.10.11
長岡にある摂田屋というエリアは、味噌、醤油、酒の醸造蔵が集まっている「発酵の街」として有名です。その摂田屋にある「摂田屋6番街発酵ミュージアム」のなかに「6SUBI(ムスビ)」というお店がオープンしました。「6SUBI」をプロデュースしている「SUZU GROUP(スズグループ)」代表の鈴木さんにお話を聞いてきました。


SUZU GROUP
鈴木 将 Sho Suzuki
1980年長岡市生まれ。長野や大阪などで料理や店舗運営の経験を積み、2007年に長岡で「おれっちの炙屋ちぃぼう」をオープン。その後も「SUZU365」「SUZUVEL」などの店舗展開、「おむすびJAM」「ジョニーディップソース」などの商品開発を手がけ、2022年に摂田屋で「6SUBI」をオープン。食文化をテーマにしたイベントや講演にも多数関わる。
料理はデザインできると気づき、真剣に向き合いはじめる。
——鈴木さんが代表を務める「SUZU GROUP」では、こちらの「6SUBI」を含め多くのお店を展開していますよね。鈴木さんはいつから「食」に興味を持つようになったんでしょうか。
鈴木さん:ものを作ったり表現したりすることが好きだったので、高校時代はアートやデザインに関係した仕事をやりたかったんです。でも居酒屋を経営していた父からは家業を継ぐように言われていたので、とりあえず長野の飲食店で修業しました。1年だけ働いて、お金が貯まったらデザインの学校に行くつもりだったんですよ(笑)
——じゃあ仕方なく料理の仕事に就いたんですね(笑)
鈴木さん:そうなんですよ。でも大阪を旅行したときに食事したお店で、料理に対する考え方がガラッと変わったんです。そのお店では店舗デザインから料理の盛り付けに至るまで、スタイリッシュでかっこよく演出されていました。それで「料理はデザインできる」ということに気がついて、今度はそのお店で修業させてもらうことにしたんです。

——そのお店ではどんなことを学んだんですか?
鈴木さん:自分がそれまでやってきた料理の仕事と比べてレベルがはるかに上だったので、追いつくために寝る時間もなく働きましたね。地元の食材を使った料理で、最高のおもてなしをすることを学ばせてもらいました。僕が今やっていることの基本になっていると思います。
——新潟に戻ることにしたのはどうしてですか?
鈴木さん:学ぶことは学び終えたように思えたし、父が新しい事業展開をするタイミングだったので、新潟に帰って事業を手伝うことにしたんです。

生産者と関わるなかで、地元食材の魅力に気づく。
——新潟に帰ってから、まずはどんなことを?
鈴木さん:長岡で居酒屋をオープンしました。でも郊外の住宅街だったので、最初はお客様が全然来なかったんです(笑)。それまでは人口の多い都市にある飲食店で働いてきたから、当たり前のようにお客様が来ていたんですよね。人口の少ない場所で飲食店を経営するためには人を呼ぶための工夫や努力が必要だということを学びました。
——どんなふうに工夫したんですか?
鈴木さん:当時はSNSなんてなかったので、毎月雑誌に小さな広告を出していました。広告に載せる写真は今でいう「映え」にこだわって、カメラマンの真後ろに張りついて「美味しそうに撮ってくださいね」なんて、あれこれ口出ししていましたね(笑)。その努力が実ったのか、1年くらいかけてお客様が増えていきました。
——最初は苦労されたんですね。今のように地元食材にこだわったお店だったんでしょうか。
鈴木さん:最初は逆だったんです。新潟ではなかなか食べる機会のないものを提供していたんですよ。ところが、地元の生産者と関わることが増えて、地元食材の素晴らしさに気付かされたんですよね。地場産業の衰退を防ぐためにも、その魅力を消費者に伝えていこうと思いました。

——その思いが、後に携わる店舗のコンセプトにつながっていくんですね。
鈴木さん:僕がお店を立ち上げるときは、その土地にある地場産業を守るためにどんなお店にするのが効果的なのかを考えるようにしています。新潟駅に隣接した「SUZUVEL(スズベル)」では、県外の方に新潟の食材を味わってもらえるようファストフードにアレンジしたり、万代シティの「FARM TABLE SUZU(ファームテーブル スズ)」では、若者たちに地場の魅力を知ってもらうため、地元食材をお洒落に使った料理を提供しています。
——ひとつひとつのお店に、その場所での「使命」があるんですね。「SUZU GROUP」さんでは、店舗展開だけじゃなく商品開発もされていますよね。
鈴木さん:最初は長岡造形大学の学生とコラボして、お米の消費を促すために「おむすびジャム」を作りました。「ジャム」に使う食材も地場産にこだわって、加工することで長期間使ってもらえるようにしたんです。

発酵の街・摂田屋を世界中から人の集まる街へ
——「6SUBI」って、面白い名前ですね。
鈴木さん:「摂田屋にある6つの醸造蔵を結ぶ場所」という意味を込めました。
——なるほど! どうして摂田屋でオープンしたんでしょうか?
鈴木さん:新潟最古の酒造をはじめ、今も発酵食品を作り続けている老舗の蔵が集まった摂田屋は「発酵食品の聖地」だと思うんです。鏝絵(こてえ)が有名な「機那サフラン酒本舗」とか、歴史的な建造物も多くて、長岡有数の観光スポットでもあるんですよ。今まで訪れる方は年配の方が多かったんですけど、これからは若い人にも遊びに来てほしいんです。

——摂田屋の魅力がもっとたくさんの人に伝わるといいですね。
鈴木さん:僕が今までいろんな土地で立ち上げてきた飲食店には、人を呼ぶパワーがありました。この「6SUBI」も摂田屋に若い人たちを呼ぶきっかけになってくれたら嬉しいです。
——「6SUBI」はどんなコンセプトのお店なんでしょう?
鈴木さん:摂田屋の味噌や醤油、酒粕といった発酵食品をはじめ、地元食材の魅力を伝えるお店です。発酵食品を使ったおむすびをメインに、味噌汁やスープ、スイーツといったメニューを揃えています。「味噌汁BAR」では、摂田屋を中心とした長岡の味噌を使った味噌汁を飲み比べることができます。言葉では伝わらない、味噌の魅力を知っていただけるんじゃないでしょうか。

——利き酒の味噌汁バージョンですね(笑)。おむすびにも地元食材を使っているんですか?
鈴木さん:もちろんです。ただ地元の方にも楽しんでいただきたいので、そのまま使うんじゃなくてアレンジを加えています。
——例えばどんなアレンジを?
鈴木さん:味噌漬けは刻んでツナマヨと合わせることで、より深い味わいになっています。山古志の和牛を低温調理したローストビーフには「越のむらさき」さんの醤油を使ったソースを合わせたり、「浪花屋製菓」さんの柿の種で作った衣で揚げたエビフライの天むすだったり……老舗の味を生かしながら新しい味にアレンジしているんです。

——県外の食材を使ったおむすびもあるようですね。
鈴木さん:「47都道府県おむすびチャレンジ」を開催中なんです。全国各地の食材を使ったおむすびを食べて、コロナ禍でも旅行気分を味わってもらえたら嬉しいですね。今までは沖縄のスパム、山形の雪割納豆、秋田のいぶりがっこなどを使ったおむすびを提供しました。
——楽しい企画ですね。店内では加工品の販売もしているんですか?
鈴木さん:摂田屋にある6つの蔵の製品を使った「醸造のまちシリーズ」っていう加工品を販売しています。「長谷川酒造」さんのお酒を使ったビスコッティや「星野本店」さんの熟成味噌を使ったキャラメルナッツ、サフラン酒のクラフトコーラシロップなど、お土産にも使える商品ばかりです。

——いろんな人が摂田屋を訪れるようになるといいですね。
鈴木さん:少しずつ若い人や県外の観光客も訪れるようになってきていますよ。いつかは世界中から人が集まる場所にしていきたいですね。摂田屋はそのポテンシャルを秘めた街だと信じています。

おむすびと汁と茶 6SUBI
長岡市摂田屋4-7 摂田屋6番街発酵ミュージアム・米蔵内
0258-868-545
10:00-17:00(L.O.16:30)
火曜休
Advertisement
関連記事
食べる
居酒屋から焼きそば専門店に生まれ変わった、西蒲区巻の「YAKISOBAとも」。
2025.07.12
食べる
ビャンビャン麺をカジュアルに楽しむ
三条の「BIANG BIANG CALLING」
2026.06.03
食べる
気持ち新たに新天地へ。伝統を伝える鰻店「瓢亭」。
2020.07.03
食べる
店舗開始!キッチンカーのクレープ屋「South DINING AND CREPE BOY」。
2021.04.13
食べる
偶然の出会いからはじめた「Niigata West Diner」のキューバサンド。
2024.02.02
食べる
酒屋であり居酒屋やバーとしても楽しめる、学校町「居酒BAR 酒屋」。
2023.01.06


