カジュアルな雰囲気のカフェで、本格的な和食料理が食べられるお店が燕市にあります。その名は「和食カフェ えん」。旬の素材を使った色とりどりの料理が並べられた和食ランチと、和食によく合うブレンドのコーヒーが人気のお店です。今回は、作務衣に身を包んで現れた代表・伊藤さんに、和食とコーヒーのお話を聞いてきました。
和食カフェ えん
伊藤 裕基 Hiroki Itou
1989年燕市生まれ。新潟市の調理師専門学校で調理を学んだ後、和食割烹店で8年間修行する。2019年地元燕市に「和食カフェ えん」をオープン。とにかく料理が好きで、休みの日もプライベートで料理を楽しんでいる。
——カフェと和食って、なかなかない取り合わせですよね。まずは伊藤さんのキャリアから聞かせてください。
伊藤さん:高校を卒業するとき、将来何をやろうか迷っていたんです。実家が料理屋をやっていたこともあって、とりあえず新潟市にある調理師専門学校に通いました。1年間でいろんなジャンルの料理を学んだんですけど、ひと通り学んだ中でも和食が一番難しく感じたんですね。それで、「極めてみたい」という気持ちになったんです。あと和食が一番自分の舌にあっていたというのも、和食を選んだ理由かな。
——進路を和食に決めてからは、どこかで修行したんですか?
伊藤さん:割烹店で8年間修行しました。修行はきつかったけど、その分料理に対する知識や技術、仕事に対する姿勢を学ばせてもらいました。それで和食の修行をしているうちに、自分の店を持ちたいという思いがだんだん強くなっていったんです。
——で、最初に戻りますけど、和食料理とカフェの組み合せはどうして生まれたんですか?
伊藤さん:もともとコーヒーに興味があったので、コーヒーのことを深く知りたいと思ってカフェ巡りをしていたんです。それで新潟市江南区にある「KONA SNOW Coffee Roasters(コナスノウカフェロースターズ)」と出会ったんですね。このコーヒーをぜひ自分の店で出してみたいと思ったのが、カフェをはじめるきっかけだったんです。それで、2019年に燕市の両親がやっている割烹の隣にカフェをオープンしたんです。
——和食を学んだけど、コーヒーが好きでカフェを開いた、と。
伊藤さん:カフェ巡りしているとき、ランチメニューに自分が食べたいと思うものがあまりなかったんです。それで、美味しい和食のランチが食べられて、ゆっくりとコーヒーを楽しめる店を作ろうと思ったんですよ。和食料理の店ってちょっと敷居が高く感じるじゃないですか。でもうちは、どんな年齢層のお客さんでも気軽に入れて、落ち着ける店にしようと思ったんです。
——なるほど、そうだったんですね。「和食カフェ えん」の料理はどんなところにこだわってるんですか?
伊藤さん:自分がおいしいと思うものを出すようにしてます。それから新潟産コシヒカリ、朝採り野菜、新鮮な魚介といった素材には、もちろんこだわってます。いろいろな色を料理に入れるようにして、料理の彩りにも気を配ってますね。見た目でも料理を味わってもらえたらうれしいです。
——たしかに見た目にも美味しそうな料理ですね。ところで、これ(冒頭の写真)はなんというメニューですか?
伊藤さん:「おまかせ えんランチ」です。お刺身、焼き物、小鉢、サラダ、ご飯、味噌汁がついていてます。季節の旬な素材を使っているから、月ごとに料理の内容が変わります。ちなみにサラダ、ご飯、味噌汁はおかわり無料です。ご飯も「白米」と「燕産紫宝米」から選ぶことができるんです。紫宝米っていうのは古代米で、甘味が強くて酸味が少ないという特徴があるんです。
——ご飯と味噌汁だけじゃなくてサラダも無料っていうのはうれしいですね。けっこうな品数ですよね。
伊藤さん:7〜8品くらい入ってると思いますよ。うちのランチは「とんかつ定食」とか「ハンバーグランチ」とかみたいにメインになっている料理がないんです。言ってみれば、すべてがメイン。いろんな料理を少しずつ楽しんでほしいって思ってます。このほか「料理長おすすめ えん御膳」や「1日10食限定ランチプレート」は女性や年配の方に人気がありますね。男性にも満足していただける丼メニューやお子様ランチもご用意してますよ。
——インスタ映えもするし、ちょっとずつ何種類も食べれるっていうのは、たしかに女性にはうれしいですね。カフェメニューにはどんなものがあるんですか?
伊藤さん:「KONA SNOW Coffee Roasters」の焙煎士の方にお願いして、料理の味を邪魔しないような、和食に合うあっさりしたコーヒーをブレンドしてもらってます。「えんブレンド」は30種類以上のコーヒー豆から厳選してブレンドしてもらったんですよ。あとは甘過ぎない中に味のアクセントを効かせたパフェもおすすめです。
——カフェで食べるもの、というと甘いものってイメージが強いですけど、和食とは意外性がありますよね。
伊藤さん:でも実は俺、酒が飲めないから甘いもの大好きなんですよ。人からはよく酒飲みだと思われてるんですけど(笑)。だから自分が食べたいと思うケーキを売るケーキ屋さんをいつかこの燕市でやってみたいんです。自分でケーキを作りたいというわけじゃなくて、オーナーとしてそんな店を経営したいんですよね。
——次はまさかのケーキ屋ですか(笑)。あの、最後に気になっていたことをお聞きしたいんですが…。店名の「えん」ってどういう意味でつけたものなんでしょうか?
伊藤さん:ひとつは燕市の「燕」を音読みで「えん」と読んだものです。もうひとつは人と人との縁を大切にしたいという思いを込めました。これからも人との縁を大切にしながらお店をやっていきたいと思いますね。
和食とカフェが一緒になったことで、しっかりした美味しい和食を気軽に味わえ、食事の後にゆっくりとコーヒーを楽しめる「和食カフェ えん」。季節の旬にこだわった食材を使っている料理は、彩り豊かで見た目でも楽しむことができます。気軽に和食を楽しみたい方はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。