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地元に根ざした小さな食堂、北区「お食事処 やなぎ亭」を守る夫婦。

新潟市北区に「お食事処 やなぎ亭」という小さな食堂があります。40年以上続いてきたこの食堂は、今まさに次の代へと世代交代するタイミングを迎えているんです。今回は二代目店主としてお店を受け継ぐ久住智一さんと奈緒さんご夫婦に、いろいろお話を聞いてきました。

 

 

お食事処 やなぎ亭

久住 智一 Tomokazu Kusumi

1981年新潟市中央区生まれ。「日本アニメ・マンガ専門学校」卒業。働いていたガソリンスタンドで奈緒さんと出会い結婚。2008年より「お食事処 やなぎ亭」で働きはじめる。主に調理を担当している。

 

お食事処 やなぎ亭

久住 奈緒 Nao Kusumi

1979年新潟市北区生まれ。ガソリンスタンドで智一さんと出会い結婚。2004年より家業の「お食事処 やなぎ亭」で働きはじめる。主に接客を担当している。最近はじめたお店のTwitterへの投稿に励んでいる。

 

通ってくれるお客さんのために、お店を守ろうと決心。

——「やなぎ亭」って、いつから続いているお店なんですか?

奈緒さん:私の両親が昭和54年にはじめたお店なんです。私の父は東京の洋食店でコックをしていたんですが、独立をするために新潟に戻ってきて「やなぎ亭」をはじめました。最初はハンバーグとかスパゲッティとかの洋食をメインにしたお店だったんですけど、お客様のニーズに合わせながら、ラーメンや定食のお店に変わっていったんです。

 

——そうだったんですね。「やなぎ亭」っていう店名の由来は、どこからきているんですか?

奈緒さん:昔はこのあたりに柳の木がいっぱいあって、「柳原」っていう地名だったんです。そこから「やなぎ亭」になったみたいですね。今では柳の木なんて1本もなくなっちゃいましたけどね(笑)

 

 

——へ〜、地名からきた店名だったんですね。今は何人でお店をやっているんですか?

奈緒さん:両親と私たち夫婦の4人でやっていますけど、そろそろ世代交代のタイミングなのかなと思っているんです。

 

——奈緒さんは最初からお店を継ごうと思っていたんですか?

奈緒さん:10代の頃からお店の手伝いはしていたんですけど、はっきりお店を継ごうと考えたことはなかったですね。でも20代になって「やなぎ亭」に通ってくれているお客様のことを考えたときに、親からお店を受け継いで守っていこうと決心しました。それで勤めていたガソリンスタンドを辞めて「やなぎ亭」で働きはじめたんです。

 

——智一さんも一緒に「やなぎ亭」で働きはじめたんですか?

智一さん:僕が「やなぎ亭」で働くようになったのは、奈緒が働きはじめた4年くらい後ですね。それまでお義母さんがやっていた麺打ちの仕事を担当するようになったんです。その後もお義父さんから教わりながら、お店の味を覚えていきました。

 

常連客のことを考えると、メニューは削れない。

——メニューを見るとラーメンと丼がメインのようですね。人気があるのは?

智一さん:ラーメンとかつ重がセットになった定食は人気がありますね。お得感があるので単品より注文が多いんですよ。そのなかでも「ネギミソラーメン定食」は一番人気ですね。濃厚な辛味噌とネギの相性がとってもいいんですよ。

 

 

——たしかに、普通だったらラーメン一杯分の値段ですよね、これ。

智一さん:何とか頑張って続けています(笑)。単品では「つけめん」が人気ですね。お義父さんが東京の修業時代に食べた「大勝軒」のもりそばにインスパイアされて作ったメニューなんですが、うちのは麺もスープも冷たいので「ざるラーメン」に近いんですよ。

 

——スープも冷たいつけめんって気になりますね。智一さんは料理を作るときって、どんなことにこだわっているんですか?

智一さん:うーん……作っているときは身体が勝手に動いてるから……。ただ、できるだけ自家製の材料で作るようにしています。あと地元の食材にもこだわりたいと思っていますね。特にご飯にはこだわっていて、精米してから4〜5日以内の地元産コシヒカリをを使って、ガス火で炊くようにしています。

 

奈緒さん:新潟の人はお米の味にうるさいですから、美味しくないお米は出せないんですよ(笑)

 

——お米県ならではのこだわりですね(笑)。常連のお客さんって多いんでしょうか?

奈緒さん:うちはほとんどが常連さんですね。平日は会社員、週末はファミリーというふうに客層がガラッと変わるんです。コロナ禍で苦戦する飲食店が多いなかで、常連のお客様方には本当に助けられました。もう感謝しかないですね。

 

智一さん:常連のお客様って食べるものが決まっているんですよ。だから入ってくるなり「いつもの」って注文する人もいるし、「たまには他のもの頼んでみようか」って言ってメニューを見るんだけど、結局いつもの料理を頼んじゃう人もいます(笑)。だから注文する人が少ないメニューでも、毎回頼んでくれる常連さんがいるとなくすわけにいかないんですよ。

 

——確かに難しいところですね(笑)。奈緒さんは接客を担当されているんですよね。普段気をつけていることってあるんですか?

奈緒さん:お客様の身になって考えるようにしていますね。特にお子様連れのお客様には気を使うようにしています。お子様には楽しく、お父さんお母さんにはゆっくり食事してほしいんですよ。でも日々反省することも多いですね(笑)。あのときはこういえばよかったとか、こうやればもっと上手くいったんじゃないかとか……。

 

家族連れや子どもたちに親しまれる食堂を目指す。

——世代交代という話がありましたよね。自分たちの代になって、変えようと思っていることってあるんですか?

奈緒さん:もう変わりつつあるんですけど、より家族連れに来ていただけるお店を目指したいと思っています。そのために、お子様が楽しめるおもちゃもたくさんご用意していますし、くじ引きのサービスもおこなっています。

 

 

——子どもが来たくなるお店、ということですね。

奈緒さん:私は「やなぎ亭」で働いて18年が経つんです。その間に、最初は両親に連れられてミニラーメンやミニかつ重しか食べられなかった子どもが、いつの間にか大人用のメニューを食べるようになって、やがてお友達と食べに来るようになったと思ったら、結婚して自分の子どもを連れて来てくれるのを見てきました。世代を受け継いで愛されるお店でいられることに幸せを感じますね。

 

智一さん:ときどき地元の小学生が、授業の一環で職場見学に来るんです。そのときにいた小学生が「このお店、食べにきたことがある!」って言ってくれると嬉しいですね。その職場見学に参加していた子どもが、自分の家族と食べにきてくれるともっと嬉しいです(笑)

 

 

——地元に根ざしたお店ならではのエピソードですね。

奈緒さん:家族連れのお客様のためにスーパーボールのくじ引きをやっているんです。それが近所の小学生の一部で話題になっていて、くじ引きを目的に来る小学生もいるんですよ(笑)

 

——もはや駄菓子屋じゃないですか(笑)。これからの「やなぎ亭」が楽しみですね。

智一さん:ラーメン屋さんはいっぱいあるけど、うちのような食堂ってどんどん少なくなっていってると思うんです。だからこそ地元に根ざした食堂というものを守っていきたいですね。

 

 

 

お食事処 やなぎ亭

新潟市北区木崎1103

025-386-9548

11:00-20:00

木曜休

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