「若者の力で三条市を持ち上げて元気にしたい」という想いから、若者(実行委員会)と行政(三条市)がタッグを組んでスタートしたフェス「三条楽音祭」。例年、下田地域の「中浦ヒメサユリ森林公園」で実施してきましたが、12回目を迎える今年は新型コロナウイルスの影響もあって、オンラインによる開催と決定しました。今回は実行委員長の大橋さんに、「三条楽音祭」の裏話や、初のオンライン開催への意気込みを聞いてきました。
三条楽音祭実行委員会
大橋 賢太 Kenta Ohashi
1983年燕市生まれ。日本大学芸術学部中退。Webデザイナーとして東京、新潟で活躍した後、三条市にあるアウトドア製品会社「村の鍛冶屋」でネットショップの運営・管理を担当。「三条楽音祭」には立ち上げから関り、2016年から実行委員長を務める。ボブ・マーリー、ジミ・ヘンドリックスが好き。
――まずは「三条楽音祭」について教えてください。どんなフェスなんですか?
大橋さん:「三条楽音祭」は、「若者の力で三条市を持ち上げて元気にしたい」という想いから、若者と三条市が力を合わせてスタートした野外フェスです。大人だけじゃなくて、学生や子どもも気軽に参加できるように、毎年、入場無料にこだわり続けて下田地域の「中浦ヒメサユリ森林公園」で開催しています。
――え? 入場無料??
大橋さん:はい。燕三条地域は、正直、新潟市内と比べると田舎です。さらに「三条楽音祭」を開催している下田地域はもっと田舎。いうなれば過疎地です。でも、そんな場所でもめちゃくちゃ楽しいことがあって、年に1回、山奥にハッピーな遊び場が現れたら、この地域の魅力って増すじゃないですか。でも、それにお金がなくて参加できない学生や子どもたちがいたら、結局はこの地域から離れていってしまします。だからこそ、誰でも気軽に参加できるように「無料フェス」として開催し続けています。
――おお、素晴らしいですね。これまでに、どんなアーティストが参加されていましたか?
大橋さん:「鎮座DOPENESS」「奇妙礼太郎」「韻シスト」「思い出野郎Aチーム」「bonobos」「犬式 a.k.a. Dogggystyle」「こだま和文」「Nabowa」とか。まぁ、全体的にはそこそこマニアックなラインナップですね(笑)
――確かにマニアックなラインナップ。Mステには登場しませんね(笑)。ブッキングのセレクト基準ってあるんですか?
大橋さん:開催当初はレゲエが中心だったけど、その気持ちも引き継ぎながら現在は、ヒップホップやラップ、ロック、ソウル、インストゥルメンタルなどをセレクトしています。大きな基準は、「野外で聴いたら気持ちがいい音楽」という点ですね。ゆるゆるとしたり、時には飛び跳ねたり、とにかくイイ音楽とお酒で最高の時間が過ごせたらOK。
――今年で何年目になるフェスなんですか?
大橋さん:今年の開催で12回目になります。本来であれば、例年通りに「中浦ヒメサユリ森林公園」で開催する予定だったんだけど、新型コロナウイルスの影響もあって一度は中止も考えました。それで三条市長に相談したところ、「この状況だけど、タダでは転ぶな」と激励を受けて、どうにか何かできないかと考えて、野外での開催はせずに「三条楽音祭Presents楽音祭Online」として、初となるオンライン開催を決めました。
――なるほど。YouTubeなどを活用するんですか?
大橋さん:まずは開催当日まで、InstagramやTwitterでキャンペーンを開催します。「#プレイバック楽音祭」「#三条楽音祭」のハッシュタグで投稿してくれた方の中から抽選で、燕三条地域を代表する有名メーカーのダッチオーブンやハンマー、包丁などの地場産品が当たります。当日は、東京で撮りおろした収録映像と新潟の生中継ライブをミックスした映像配信をYouTubeLiveで行います。
――生配信ということですね。緊張しますね…。
大橋さん:そうなんですよ…。マジで怖いです(笑)。規模も立場も違うから一概には言えないけれど、0から1を作ってくれた先代の実行委員会メンバーから引き継いで、1から10にはしてきたつもりです。でも、0から1を作り上げることは初めてなので…。しかも生配信というハードルの高さ。プレッシャーはあるけれど、DIYで作り上げてきたフェスだからこそ、実行委員会のメンバーも楽しみながら前のめりでチェレンジしてくれているから、とにかく楽しいし、当日もしっかり楽しみたいですね。
――ちなみに実行委員会というのは、どんな人たちが参加しているんですか?
大橋さん:ローカルなこの場所で働くサラリーマンばかりですよ。みんな働きながらのボランティアスタッフなんです。僕も含めて。でも「力を合わせればこんなフェスが開催できるんだ」ということをしっかりと次世代に見せて、自分もやってみたいという気持ちになってくれたら嬉しいですね。
――「楽音祭Online」のラインナップを教えてください。
大橋さん:まずは東京組からご紹介します。ブラスロッカーズ・サウンドを掲げ、刺激的な音楽を作り上げ、日々の喜びに変える迫力のホーン隊ジャムバンド「RIDDIMATES」。ダブやルーツロックレゲエ、ソウル、R&Bなど多彩な音楽性と最先端のシティポップを混ぜ合わせたハイセンスなバンド「TAMTAM」。レゲエやロック、ジャズ、ヒップホップ、民族音楽などのバックボーンの異なる5人組が奏でる雑食音楽集団「SAIRU」。この3組は、事前に無観客で収録したライブ映像やショートムービーを流します。
大橋さん:そして新潟からは、ヒップホップやソウル、R&Bといった多彩な音楽性を持ち合わせ、ほどよく和ませてくれるチルなサウンドのジャムバンド「Good Trip Express」。それと以前にThingsでも紹介されていた平均年齢19歳、ブラックミュージックを中心に様々な音楽要素を取り入れ「FUJI ROCK FESTIVAL’19 ROOKIE A GO-GO」にも出場したスリーピースバンド「E.scene」。この2組は当日の生演奏を生中継でお届けします。
――面白そうなラインナップになっていますね。しっかりチェックしないと。野外で行っていたときみたいに、ライブ以外のイベントはあるんですか?
大橋さん:もちろんです。三条市にあるダンススクール「studio f」に所属しているキッズダンサーがパフォーマンスしてくれます。あとMCはラジオパーソナリティーやMC、そしてラッパーも務める「SWAMP」が出演します。きっとMステみたいに盛り上げてくれると思いますよ(笑)。それとアウトドア用品専門店「WEST」全店舗でも、パブリックビューイングをしてもらえることになっています。
――オンライン開催とはいえ、いろんなコンテンツが詰まっていますね。楽しみです。それでは最後に、意気込みを一言お願いします。
大橋さん:「中浦ヒメサユリ森林公園」で開催できないと意味がないから、一時は中止の方向へハンドルを切ろうと思っていました。でも、やらないことで忘れられるのも嫌だったし、11年間続けてきたフェスを12年目でやらないという選択肢は最終的になくなったんです。だって、このままの状況が2年、3年…と続いていったらずっとやらないままだから。カタチを変えてでも何かを継続させる大切さ。これをしっかり伝えていきたいです。それに「三条楽音祭」がないと、自分も面白くないから(笑)
開催日時/2020年9月13日(日) 15:00~20:00(予定)
視聴料/無料
特設サイト/ https://online.rakuonsai.com/
電話/三条市市民部生涯学習課 0256-32-4811
メール/三条楽音祭実行委員会 sanjorakuonsai@gmail.com