阿賀町三川地区にある「農園キャンプ場 えちご四駆村」は、オフロードとキャンプが楽しめる自然が豊かな遊び場です。「地元の集落と関わりたい」という思いでこの施設をはじめたという代表の黒田さんに、美しい銀世界の中、この場所での遊び方や地域貢献のことなど、いろいろとお話をうかがってきました。
農園キャンプ場 えちご四駆村
黒田 篤 Atsushi Kuroda
1983年新発田市生まれ。阿賀町在住。サラリーマン経験を経て、2012年に中古車販売業をスタート。2017年「ファッション ジムニーセンター ニイガタ」を開業。2020年11月、オフロード走行も楽しめる「農園キャンプ場 えちご四駆村」を本格始動。山菜取りやキャンプなど、とにかく山遊びが大好き。
——黒田さんは、車屋さんですよね?
黒田さん:村上市でジムニーの専門店「ファッション ジムニーセンター ニイガタ」を経営しています。僕は高校を卒業してから、一度東京で就職しているんです。「給料も高いみたいだし、とりあえず東京へ行こう!」というよくあるノリで。数年勤めてから新潟にUターンをして、またしばらくはサラリーマンをしていました。ただ、「組織に属するのが向いていない……」と思いはじめて。それで会社を辞めて、2012年にひとりで中高車販売を始めたんです。
——というと、車が好きだったんですか?
黒田さん:それが、車にはさほど興味はなかったんですよ(笑)。組織で働くのは自分に合っていないと思い始めてから、ひとりでできる仕事を考えたときに、中古車販売が開業しやすかったんですよね。それで、やっているうちにだんだん「ジムニー」という車に魅了されて、2017年にジムニーの専門店を始めました。その当時から、お客さんたちといろいろな野良遊びをしていたんです。
—— 野良遊びって、何ですか?
黒田さん:簡単に説明すると、野外の遊び、ってことですね。スキーに行ったり、山菜を取りに行ったり。当時、ジムニーとかの車で野良遊びをするとなると、オフロードスポットがないから、河原や林道にちょっと行ってキャンプをする程度でした。でもそれだけだと、せっかく自慢のジムニーで集まっているのに、車を見せ合ったり語り合ったりで終わっちゃうから、オフロードの走りを楽しめなかったんですよ。それで「もっとみんなでジムニーを楽しみたい、遊びたい」と考えているうちに、この「えちご四駆村」を思いついたんです。
——ということはつまり、「えちご四駆村」ではオフロード走行が楽しめると。冬はどうされているんですか?
黒田さん:雪が積もったら、高性能の圧雪車がやってきます。この広大な敷地で、もっともっといろいろなことをできるように、雪にまつわる遊びは、全部できるようにしたいと考えています。かまくらでキャンプをしたり、スノーシューやスノーモービルの体験をしたり、とにかくできる限り冬のエンターテイメントをやってみます。
——「雪国でできる楽しいことを全部やっちゃおう!」というわけですね。
黒田さん:そんな感じです。やりたいことは、すぐに何でもやっちゃうんですよね(笑)。クラウドファンディングも活用しています。以前にも多くのご支援をいただきましたけど、実施するなかで反省点もありました。今度は、もっと支援の輪が広がるように工夫して再チャレンジして、冬の野良遊びをもっと充実させていきたいですね。
——チャレンジへの発想と行動の源はなんですか?
黒田さん:「自分が楽しむこと」がモットーなんです。「どうしたらもっと自分の好きな遊びができるか」をいつも考えていて、やりたいことをやろうとすると、同じようなことを考えている人や、応援してくれる人に巡り合ってきました。今では阿賀町の山中で遊び場を作っているけど、まぁそれも結局は「自分が楽しむため」ですね(笑)
——今は阿賀町にお住まいなんですよね。
黒田さん:僕はとにかく山遊びが好きだから、春になると山菜を採りにこの綱木(つなぎ)によく来ていました。川沿いにある集落の景観が好きで、綺麗な場所だな、いつかここに住みたいな、とずっと思っていました。
——じゃあその夢が叶ったんですね。しかも「えちご四駆村」までも作って。
黒田さん:そうですね。ただ、自分が住むのは自由だけど「えちご四駆村」を始めるためには、地元の人たちの理解が欠かせないと思っていて。住民の方へ向けた説明会を実施して、やりたいことを丁寧に伝えました。
——そのときの地元の方はどんな反応でしたか。
黒田さん:お年寄りが多いから、僕らの世代が参入することをとても喜んでもらえました。そして地元の人たちとじっくり会話をしていくうちに、この地域が獣害被害に悩んでいることが分かりました。それで、野良遊びの一環として自分でイノシシなどを狩ってやろうと、狩猟免許を取得したんです。
——おお、なんて頼もしい! 地域へ貢献したい気持ちが伝わってきますね。
黒田さん:ちなみに、農業も手伝うし、閉鎖中の温泉やスキー場の再建も計画中なんですよ。ゆくゆくは、地元のおじいちゃん達の若い頃の夢だった「ジビエ工場」を三川地区でやりたいと考えていて。イノシシやクマ、シカなどを加工して出荷できれば、害獣が商売になるし、害獣被害も減らしながら猟だって楽しめますからね。
——やりたいことが地域課題の解決にもなるなんて、うーん、すごい。いろいろ構想があるようですが「えちご四駆村」のこれからの野望みたいなものはありますか?
黒田さん:最近、ニュースでもいろいろと報道されているけれど、いずれガソリン車はなくなってしまします。法改正とかで自動運転が当たり前の時代がやってくるかもしれません。でもここに来たら、好きな車を自分で運転して、野山を駆け抜けられる、自然の中でキャンプなどの遊びもできる、そんな「えちご四駆村」だけの環境を提供したいですね。
去年の秋の暮れにゆっくりとスタートした「えちご四駆村」。それでも噂を聞きつけて大勢のジムニー好きがオフロード走行とキャンプを楽しみに、全国から訪れているそうです。残念ながら今年はいろいろなイベントが中止になっているけれど、黒田さんは自分たちの強みを生かして、小規模でも楽しめるイベントを計画中。この冬に限らず、「農園キャンプ場 えちご四駆村」が繰り広げるエンターテイメントに乞うご期待!
農園キャンプ場 えちご四駆村
〒959-4601 新潟県東蒲原郡阿賀町綱木350