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丁寧に手入れされた11匹の猫ちゃんがお出迎え。ねこカフェ「猫鳴館」。

愛らしい11匹の猫たちがゲストをお出迎えしてくれる、江南区のねこカフェ「猫鳴館(ねこめいかん)」。店内は「本当に猫がいるの?」と不思議に思ってしまうくらい、ピカピカに保たれています。特に驚いたのはソファのカバーがまったく破れていないこと。あらゆるところで爪とぎをする猫を飼っていると、壁紙やソファがボロボロになってしまうことが多いのですが、「猫鳴館」さんの室内にはその形跡がないんです。今回は館長の木村さんに、お店のことや猫のお手入れについてなどいろいろとお話を聞いてきました。

 

猫鳴館

木村 隆志 Takashi Kimura

1981年小千谷市生まれ。長岡市の調理師専門学校を卒業後、新潟市内のレストランや居酒屋などで料理人として働く。30歳になる頃ねこカフェを経営しようと思い立ち、ペットショップのスタッフに転身。2018年にねこカフェ「猫鳴館」をはじめる。

 

料理人だった館長。将来を悩んだとき、奥さんの一言で「ねこカフェ」を目指す。

——木村さんは、「猫鳴館」をはじめるまでどんなことをされていたんですか?

木村さん:学生時代は調理師になりたかったので、調理の専門学校へ進学しました。社会に出てから10年ほど料理の仕事をしていたんですよ。若い頃は「いずれは自分の店を出したい」って理想を持っていたんですけど、だんだんと情熱がなくなっていったというか、調理師として続けていく自信がなくなってきて。そんなとき、たまたま妻とねこカフェにデートに行ったんです。帰りに喫茶店に寄って撮影した猫の写真や動画を見ていたら、妻に「そんなに猫が好きなら、自分でねこカフェでもやってみたら?」と言われたんです。それで、「ねこカフェを経営するのもありだな」って考えるようになりました。

 

 

——「ねこカフェをやってみたら?」って、面白い投げかけですね。

木村さん:ちょうど「この先どうしようか」と悩んでいた頃でもあったので、妻の言葉がすごく響いたんです。まったく考えていない選択肢だったけど「なるほど。そういう道もあるか」って。

 

——それからはどうされたんですか?

木村さん:ずっと飲食業しかやってこなかったので、ねこカフェを開くための知識やノウハウを得ようとペットショップで経験を積みました。4年弱かけて、ペット用品の業者さんだとかブリーダーさんとかとのつながりを持つことができました。

 

成長とともに性格が変わる、11匹の主役たち。

——その後、2018年に「猫鳴館」さんをオープンされたんですね。

木村さん:いよいよ自分のねこカフェをはじめられると思うとすごくワクワクしましたね。オープン当初は、猫たちが生後半年のやんちゃ盛りだったのでずっと走り回っていたんですよ。それで途中でバテちゃう(笑)。最初の頃は休憩時間を設けて、猫たちを休ませるようにしていました。

 

——キャストの猫ちゃんたちは、ゲストがいるかどうかで様子が変わるものですか?

木村さん:それは猫の性格や年齢にもよりますね。でも人には馴れているので、お客さまがいてもいなくても自由に動いていることが多いですよ。

 

 

——オープンしてからこれまでの間で、猫たちはどう成長したんでしょう?

木村さん:オープン当初はまだ小さかったけど、今は3、4歳になりました。どんどん性格が変わっていくので、店内のプロフィールはこまめに更新しています。これからもまたいろいろな面を見せてくれると思います。

 

——猫ちゃんの紹介もお願いします。

木村さん:ぜんぶブランド猫と呼ばれる品種で、11匹のキャストがいます。看板猫は最年長の「はつね」でミヌエットという品種の女の子です。珍しいのはスフィンクスという無毛猫の「ルナ」。毛がないからか、いつも暖かい場所に居座ることが多いです。

 

——猫ちゃんたちが1日をどんなふうに過ごしているかも知りたいです。

木村さん:午前中は起きていますけど、12時過ぎるとお昼寝をはじめるので店内は静かになりますね。夕方から夜にかけては、元気に走り回っています。営業後にゲージに戻ってからは、みんな静かにしていますよ。

 

毎日の丁寧なメンテナンスで、ソファも傷知らず。

——「猫鳴館」さんの特徴についても教えてください。

木村さん:レトロな建物がポイントだと思っています。もともと長く続いた喫茶店を改装してスタートしました。生きものを扱うのだから、何かあったときにすぐに駆けつけられるようにしたくて、住まいの近くを選んだんです。「家の近くでよかった」と思ったことはこれまでに何回もありました。

 

——とても素敵な建物ですよね。店内の清潔感にも驚きました。

木村さん:ねこカフェに限らずお客さまをお迎えするのであれば、どこでも清潔感は必要じゃないですか。キレイにしているのは当然だと思いますよ。ただ店内に入って猫の匂いがするのは絶対に嫌だと思っていまして、そこには特に気を配っています。

 

 

——お店をはじめてから、ピンチに遭遇したことはありませんでした?

木村さん:強い台風が来たとき、雨漏りに苦労したことでしょうか。建物の経年劣化で雨が室内に染み出してきてしまって大変でした。あとは地震が起きたとき、猫たちがパニックになっているんじゃないかと心配で、急いで家を飛び出して来たこともありましたね。でもゲージを覗いたらいつも通りシーンとしていました。「こんな夜中に何しに来たの?」っていう目で見られましたよ(笑)

 

——なんていい子たちなんでしょう。それにどの猫もすごく美しい。

木村さん:お客さまから「かわいい」と言ってもらえることはもちろん光栄なんですけど、それよりも猫たちの手入れについて感想を言われるとすごく嬉しいんです。こだわり過ぎだと自覚はしているんですけど、毎朝の爪切り、耳掃除、ブラッシングに時間をかけちゃう性分なんです。それだけ尽くしている手入れに気がついてくださるお客さまには励まされます。

 

——ずっと感じていた違和感の正体が分かりました! 猫がいることを感じさせないんですよ、「猫鳴館」さんは。

木村さん:それはありがとうございます(笑)。どうしても毛は落ちますし、しょうがないところはあるんですけど、お気に入りのソファがキレイに保てていることには満足しています。「すぐにボロボロになるんじゃないか」と心配していましたけど、毎日の爪切りと各々自分で爪研ぎをすることで満足してくれているみたいです。ソファで爪研ぎをすることもあるんですけど、しっかり爪切りしているので引っかかることはないんです。

 

——毎日の丁寧なメンテナンスの結果ですね。

木村さん:定休日にもお手入れをするし、ご飯をあげなくちゃいけないし、掃除に買い出しにと、休みの日の方が忙しいくらいです。でも営業中は受付とドリンクの用意くらいしか私には仕事がありません(笑)。毎日の手入れくらいしかやることはないんですよ。主役は猫たちですから。

 

——さて、最後に今後の目標を教えてください。

木村さん:この子たちも年を重ねていきますし、いつかは世代交代のときが来ますから、そしたらどうなるのかは分かりませんけど、細く長く「猫鳴館」を続けていきたいです。猫から得られる幸せホルモン「オキシトシン」のおかげもあるんでしょうけど、仕事をする上でのストレスはほとんどないんですよ。儲かりはしませんが幸せです。

 

 

 

ねこカフェ 猫鳴館

新潟市江南区亀田緑町1-1-6

<TEL> 0250-47-8788

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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