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釣り魚にこだわった3種類のフィッシュバーガーが楽しめる「千魚万来」。

弥彦スカイライン入口にある「地魚バーガーのお店 千魚万来(せんぎょばんらい)」では、新鮮な釣り魚で作ったフィッシュバーガーを味わうことができます。その名も「地魚バーガー」。いったいどんな魚が使われているのでしょうか。店主の丸山さんにこだわりを聞いてきました。

 

 

地魚バーガーのお店 千魚万来

丸山 裕司 Yuji Maruyama

1963年燕市生まれ。東京の専門学校を卒業し、新潟に帰って家業の金属プレス業を手伝う。ケガを負い退職し、その後は旅館、総合商社、ホームセンター経営企業で経験を重ねる。2022年に「地魚バーガーのお店 千魚万来」をオープン。趣味と実益を兼ねてときどき沖釣りに出かけている。

 

脱サラしてはじめたフィッシュバーガーの店。

——「地魚バーガー」っていうのはユニークですね。丸山さんが「千魚万来」をはじめたいきさつを教えてください。

丸山さん:ホームセンターを展開している企業でサラリーマンをやっていたんだけど、老化が激しくてこのままじゃ定年までは働き続けられないかもと思ったの。将来のことも含めて考えたときに、自分でお店をはじめてみようかと思ったんだよね。

 

——新しいことをはじめることにされたんですね。

丸山さん:どうせ自分でやるんだったら、趣味の釣りを生かした魚のお店をやってみたいと思ったんだよ。でも居酒屋はそこらにいっぱいあるし、子どもからお年寄りまで誰もが気軽に立ち寄れるようなお店をやりたかったんだ。

 

 

——丸山さんは釣りが趣味なんですね。

丸山さん:中学生のときに、親父に寺泊へ連れていかれて船釣りしたのがデビュー。あんまり当時の記憶はないんだけど、船酔いをまったくしなかったことだけは覚えている。その後は友達とたまにするくらいだったんだけど、総合商社に勤めているときの同僚に誘われて釣りをしてからはハマって頻繁にいくようになったね。

 

——釣ったお魚を使うお店をやるにしても、どうしてフィッシュバーガーのお店にされたんですか?

丸山さん:刺身だと高くなっちゃうけど、フィッシュバーガーならお手軽価格で食べられるじゃない。そもそも美味しいフィッシュバーガーを食べたことがなかったので、自分が美味しいフィッシュバーガーを作ってやろうと思ったんだよ。

 

——料理の経験はあったんでしょうか?

丸山さん:釣った魚を捌くことはあったけど、ちゃんと勉強したことがなかったから、専門学校で勉強して調理師免許を取ったんだ。そのついでに「ふぐ処理師」の免許も取ったよ。

 

——ふぐ料理も作ることを想定していたんですか。

丸山さん:釣りをしていると結構ふぐが引っかかるんだけど、みんな捌けないから捨てちゃうんだよ。捌けるようになればお店の料理に使えると思ってね。ただ今まで「ふぐ処理師」の試験は筆記だけだったのに、俺が受ける試験からは筆記の他に実地が加わるようになったの(笑)。制限時間の20分以内にふぐを捌くんだけど緊張したね。

 

——それでメニューに「ふぐ唐揚げ」があるんですね。

丸山さん:そうなの。ふぐの毒抜き処理だけもやっているよ。平日の空いている時間だったら、待っている間にやることもできるし。

 

白、青、赤の3種類が楽しめる「地魚バーガー」。

——「地魚バーガー」のこだわりを教えてください。

丸山さん:できるだけ釣り魚にこだわりたいから、白、青、赤の3種類だけは決めてあるんだけど、魚の種類はそのときどきの仕入れで変わってくるんだよね。

 

——3種類の色は何を表しているんですか?

丸山さん:白は真鯛やヒラメといった白身魚、青はサバやイワシなんかの青魚、赤は鮭だね。いちばん人気があるのは白なんだよ。高級魚だからね(笑)

 

——なるほど(笑)。でも好みは分かれそうですよね。

丸山さん:魚好きは青を選ぶし、赤は女性に人気があるね。

 

 

——どうして釣り魚にこだわるんでしょう?

丸山さん:市場の魚はどうしても、内臓が入ったまま一日経っちゃったりするからね。釣ったばかりの魚をすぐに下処理すれば一週間くらいは保つし、むしろ熟成して美味しくなるんだよね。魚が新鮮ならそのままでも美味しいから、そんなに下味をつける必要もないの。

 

——魚本来の味を生かしているんですね。

丸山さん:下味はつけていないっていうだけで、ソースはかけてあるんだよ。魚に合わせて味は変えてあって、白身魚には甘酢、鮭には味噌ダレを使ってあるの。青魚には生臭さを消すために玉ねぎとチリソースを使っているんだ。

 

——細かいこだわりを感じます。使ってあるパンズも変わっていますね。

丸山さん:これはマフィン。普通のパンを使うと魚の味がパンの味に負けちゃうんだよ。いろいろ試してみたら、マフィンが魚の味を引き立てることがわかったの。

 

 

——この「エソボール」って何ですか?

丸山さん:これはエソっていう魚をミンチにして丸めてからフライにしたもの。エソっていうのはこの辺では大量に釣れる魚なんだけど、歯が多くて仕掛けを切ってしまうし、小骨が多くて食べにくいので釣り人から嫌われている魚なんだよ。でもミンチにすることで小骨は気にならなくなるし、味もいいので「エソボール」としてメニューに入れているの。

 

——へぇ〜、食べやすい形になっているのもいいですね。ところで、こちらの壁一面は魚図鑑みたいになっていますね(笑)

丸山さん:これは、今までうちのお店のメニューに使ってきた魚たち。

 

——こんなに使ってきたんですか。

丸山さん:なかにはとても珍しい魚もいるんだよ。もちろん「地魚バーガー」に使うだけではなく、入荷した魚に合わせた限定メニューも作っているからね。「ふぐの白子」や「真鱈の胃」といった珍味が並ぶこともあるよ。

 

店主が抱えている大きな悩み。

——お店をやってきて、大変だと思うことがあったら教えてください。

丸山さん:今いちばん困っているのは、魚が入ってこないこと。うちは釣り魚を買い取って料理に使っていることで、新鮮な魚を使ったメニューを低価格で提供しているんだけど、最近釣り魚の供給が少なくなってきているんだよね。

 

——それは大変じゃないですか。

丸山さん:少し前まではレギュラーで魚を売りにきてくれる釣り人がいたんだよ。でもひとりはケガ、ひとりは就職をしてしまったので、どちらも釣りができなくなってしまったんだよね。おまけに冬は海が時化るから釣り人も海に出ないんだよ。

 

——じゃあ、今はかなり仕入れが大変なんですね。

丸山さん:そう。もう商売は考えずに、趣味の店としてやっていこうかと思っている(笑)。とにかくエソはもちろんのこと、クサフグでもマメアジでもいいから売りにきてほしいね。

 

 

 

地魚バーガーのお店 千魚万来

新潟市西蒲原郡弥彦村弥彦711−59

090-2884-9746

10:00-17:00

日曜祝日の翌平日休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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