子どもの頃に欲しかったおもちゃを「値段が高いから」「買ってもすぐに飽きるから」という理由で買ってもらえなかった人も多いのではないでしょうか。新潟市秋葉区のJR新津駅前に、そんな子どもたちの心強い味方「おもちゃの国」が登場しました。なんと、無料でおもちゃのレンタルをしてくれるんです。今回はスタッフの江部さん、倉部さんのおふたりから「おもちゃの国」についていろいろなお話を聞いてきました。
DREAPYS
江部 智貴 Tomotaka Ebe
1996年新潟市江南区生まれ。保育士を5年間経験した後、2021年より「e。n(エン)」を立ち上げフリーランスのフォトグラファー、映像クリエイターとして活動する傍ら「劇団Y2(ワイツー)工房」で演劇にも取り組む。パフォーマンス集団「DREAPYS(ドリーピーズ)」にも参加し「エベソン博士」としてものづくりショーで子ども達を楽しませている。
DREAPYS
倉部 嘉子 Kako Kurabe
1997年新潟市東区生まれ。幼稚園の先生をしていたときに「シャボン玉協会 泡人(あわびと)」と出会い「シャボン玉のお姉さん かこちゃん」としてフリーのパフォーマーとなる。パフォーマンス集団「DREAPYS」のメンバーとしても、様々な場所で華麗なシャボン玉ショーを披露している。
——もっとこじんまりとした建物で、おもちゃも少ないんだろうと思っていたんですけど、思っていたよりたくさん揃っていて驚きました。このおもちゃが全て無料でレンタルできるんですか?
倉部さん:登録時だけ手数料が1,000円かかりますけど、あとは無料でご利用いただけます。そういう施設って全国でもはじめてなんじゃないでしょうか。
江部さん:ここは秋葉区を中心に全国展開しているハウスメーカー「株式会社イシカワ」の社長が慈善事業ではじめた施設なんです。元々モデルハウスでお客様におもちゃを貸し出していたんですけど、そのおもちゃをまとめて、こうしたレンタル事業をはじめたんです。
——まさか慈善事業としてやっていたとは! どうして社長さんはそんなことを?
倉部さん:おもちゃ屋さんになって、子ども達に夢を与えたいという思いがあったそうなんです。秋葉区の活性化に協力したいという気持ちもあったようですね。
——おふたりはどんないきさつで「おもちゃの国」のスタッフになったんですか?
江部さん:僕らは「DREAPYS」というパフォーマンス集団のメンバーなんです。リーダーのHIDE笹川が「株式会社イシカワ」の社長と知り合いで、「子ども達に笑顔を」というお互いの願いが合致したことから、「DREAPYS」もボランティアでお手伝いすることになりました。
——そうだったんですね。ところで「DREAPYS」というのは、どういったグループなんでしょう?
倉部さん:8人のメンバー全員が、保育士や教員の免許を持っているアーティスト集団で、保育園から小学校、イベント会場を回って子ども達に夢を与えるファミリーショーをお届けしています。
——保育系アーティストだけのパフォーマンス集団っていうのは珍しいですね。
江部さん:マジシャンのHIDE笹川をはじめ、ダンス、歌、運動、ピアノ、ギターのお姉さんやお兄さんが参加しています。倉部は「しゃぼん玉のお姉さん かこちゃん」としてしゃぼん玉パフォーマンスで楽しませていますし、僕は「エベソン博士」としてサイエンスショーやものづくりショーで盛り上げています。
——「おもちゃの国」は、ボランティアスタッフに支えられているんですね。でもアーティストとしてそれぞれのお仕事も忙しいんじゃないですか?
倉部さん:週末はイベントと重なることもありますので、そういうときは知り合いにピンチヒッターをお願いすることもあります。スタッフがひとりしか確保できないこともあって、そんなときにおもちゃの返却ラッシュと重なったりするとテンパりますね(笑)
——それは大変ですね(笑)
江部さん:おかげさまでオープンから半年で登録者が260人になったので忙しいときは大変ですけど、ルールをきちんと守ってくださるマナーのいいご利用者が多いので助かっています。
——思っていたよりも登録者が多いので驚きました。
倉部さん:子どもの成長に合わせて遊ぶおもちゃって変わりますし、大きなおもちゃは高くてなかなか買えないじゃないですか。普段なかなか手にして遊ぶことができないようなおもちゃを、いろいろ試してみることができるのは子どもにとっても嬉しいと思います。
江部さん:あと、ものを大切にする気持ちも学んでもらえます。レンタルの際にしっかりと伝えることで、次に遊ぶ子どものことを考えて大切に使ってくれるようになるし、借りたときと同じ状態で返却してくれるんです。
——いろいろな学びの場にもなるんですね。「おもちゃの国」のスタッフをやっていて嬉しいと思うことはありますか?
江部さん:「DREAPYS」のショーを見てくれた親子やファンが来てくれるんです。あと以前勤めていた保育園の子どもも来てくれるんですけど、成長した姿が見れて嬉しくなります。
倉部さん:おもちゃを手にしたときの子ども達の笑顔を見ると、こちらも幸せになれます。子どもの笑顔は親も笑顔にするし、家族みんなを幸せにすると思います。
——ところで2階は「おもちゃの国」ですけど、1階はどういったスペースなんですか?
江部さん:奥にステージを作って、ときどき僕たちがパフォーマンスショーをしています。親子連れはもちろん、地域の人達が集まれるようなコミュニティスペースになったらいいなと思っているんです。
おもちゃの国
新潟市秋葉区新津本町1-7-39
10:00-17:00(おもに土日曜)