新発田市の町外れに「アトリエ ケロケロ」という小さなお店がオープンしました。いったいどんなお店なのでしょうか。オーナーでイラストレーターの「ケロケロcafe」こと冨樫さんを訪ねて、イラストやお店のことについてお話を聞いてきました。
ケロケロcafe
冨樫 良子 Ryoko Togashi
1978年新潟市北区生まれ。新潟デザイン専門学校卒業後、アパレルショップ、携帯ショップで働きながらイラストレーター「ケロケロcafe」として活動。2024年に「アトリエ ケロケロ」をオープンする。お笑いが好きで、好きな芸人は「金属バット」。
——とてものどかな場所ですね。「アトリエ ケロケロ」という看板が掛かっていますけど、こちらはアトリエなんでしょうか?
冨樫さん:「ケロケロcafe」のアトリエも兼ねたお店なんです。
——ああ、カフェなんですか。
冨樫さん:そうじゃなくて雑貨店なんです(笑)
——えっ、さっき「ケロケロcafe」って言いませんでしたっけ?
冨樫さん:「ケロケロcafe」っていうのは、私のイラストレーターとしてのペンネームなんです(笑)
——あ、そうだったんですね(笑)
冨樫さん:なんだか紛らわしくってすみません(笑)
——いえいえ。じゃあ冨樫さんはイラストレーターをやりながら、このたび雑貨店をオープンしたということなんですね。昔から絵を描くのがお好きだったんでしょうか?
冨樫さん:好きでしたね。小さい頃からよく絵を描いていました。
——昔からイラストレーターになりたかったんですね。
冨樫さん:でも高校を卒業するときは、お笑い芸人になろうと思っていたんです(笑)
——それはまた、どうして?
冨樫さん:小さい頃は友達と遊ばずに休みの日も家でテレビを見ている子だったんです。当時、日曜の午後に放送していた「やすし・きよし」の漫才が面白くて、いつの間にかお笑いが大好きになっていました。
——それでお笑い芸人になろうと思ったんですね。
冨樫さん:でも家族の反対にあって、よく考えたら自分でもそんなに面白い人間じゃないと思って諦めたんです。そのかわりに何がやりたいのか考えたら、絵を描く仕事がやりたいと気づいたので、新潟のデザイン専門学校に通うことにしました。
——専門学校を出てからはどうされたんですか?
冨樫さん:学生時代にアルバイトしていたアパレルショップや携帯ショップで働きながら、イラストレーターとして活動していました。
——どのような活動をしていたんでしょうか?
冨樫さん:アートイベントやフリーマーケット、ハンドメイドマルシェに出店してイラストやグッズを販売していたんです。少しずつファンも増えていったので「これだったら頑張れる」と手応えを感じました。
——ちなみに、どんな作品を描いていたんですか?
冨樫さん:新潟で絵を売るにはどうしたらいいかを考えて、最初はもっぱら似顔絵を描いていました。グッズをお買い上げいただいたお客様には、サービスで似顔絵を描かせていただいて練習を重ねましたね。おかげで30秒で似顔絵が描けるようになりました(笑)
——似顔絵を描くのって難しそうですけどねぇ……。
冨樫さん:練習を重ねると描けるようになるんです(笑)。あとお客様から「子どもが身に付けるものを作ってほしい」というリクエストを多くいただいたので、イラストのアイロンワッペンを作ってみたら評判がよくてたくさん売れました(笑)。ただ、子ども向けのイラストとして見られることには抵抗があったので、だんだんママ向け商品から卒業したいと思うようになったんです。
——やりたいものと売れるものの折り合いを付けることって難しいんでしょうね。イラストを描くときにこだわっていることってあるんでしょうか?
冨樫さん:キャラクター以外の山や花、テーブルの脚だけ見ても私の作品だとわかってもらえるよう、線の描き方にまでオリジナリティが出せるように頑張っています(笑)。あとは描くものや内容に合わせて画材を使い分けていますね。なかでも布クレヨンはいちばんのお気に入りなんです。
——雑貨店をオープンしたいきさつを教えてください。
冨樫さん:両親が菓子店をやっていたこともあって、私もいつかお店をやってみたいという思いがあったんです。最初はカフェを考えていたんですけど、今まで飽きずに続けてきたことをやろうと思ったらグッズ製作とカエルが残りました(笑)
——カエルは今まで飽きなかったんですね(笑)
冨樫さん:中学生の頃からカエルグッズをずっとコレクションしてきたんです。
——だから、カエル雑貨のお店をオープンしたというわけですか?
冨樫さん:地代がかからない場所でやらなければ長く続けていけないだろうと思ったので、自宅の敷地に店舗を作ったんですけど、新発田の町外れまで足を運んでもらえる自信がなかったんです。ありきたりの雑貨店では人を呼ぶことは難しいだろうから、何かに突出した店にしなくてはと考えたときに思いついたのが、大好きなカエルでした(笑)
——カエルならお客さんを呼べるだろうと思ったんですね。
冨樫さん:今までも何度かカフェとコラボして、カエルグッズの販売をしてきたんですよ。そうしたところ思っていた以上にお客様が来てくださったので、世のなかには「カエラー」が多いことを知って手応えを感じていました。
——「カエラー」って何ですか?
冨樫さん:カエル好きな人たちの総称です(笑)
——な、なるほど……。えーと、カエルグッズにはどんなものがあるんでしょう?
冨樫さん:私がハンドメイドのイベントで知り合った作家さんたちの作品がほとんどです。リクエストして作ってもらった編みぐるみや粘土細工など、ここでしか手に入らない作品を販売しています。
——どれもが一点ものということですね。気が早いようですけど、今後やってみたいことってありますか?
冨樫さん:ゆくゆくはマーカーを使った気軽なイラスト教室を開いてみたいと思っています。子どもたちが絵に親しむことで、自分に自信を持ってくれるようになったら嬉しいですね。アートって敷居が高いと思われているので、誰もが気軽に触れられる場所になれたらいいなと思っています。
——そして、いつかは「カエラー」の聖地になるといいですね。
冨樫さん:頑張ります。いつか新潟の地で「かえる祭り」を開くのが夢です(笑)
アトリエ ケロケロ
新発田市豊町3-18-8
090-3447-8823
11:00-16:00
火水木曜休