Things

ずっと心に残る、毎日食べても飽きないおやつ。長岡市の「おやつショップ dabo」。

空間デザインを手掛ける「Sponge」の高坂さんが「somewhere」に続き、「おやつショップ dabo」をはじめたと聞き、長岡市へ。以前は工場として使われていた建物をいかしたレトロで親しみやすい店内には、色とりどりの美味しそうなドーナツがずらり。高校の同級生だという高坂さんと店長の藤崎さんに、お店のこと、ドーナツのこと、いろいろ聞いてきました。

 

おやつショップ dabo

高坂 裕子 Yuko Takasaka

1984年長岡市生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科を卒業後、東京都内のインテリアデザイン会社に勤務。2015年に長岡市へUターンし、2016年にデザインスタジオ「Sponge」を立ち上げる。2023年にギャラリーカフェ「somewhere」、2024年に「おやつショップdabo」をオープン。

 

おやつショップ dabo

藤崎 妙子 Taeko Fujisaki

1985年長岡市出身。高校を卒業後、東京の製菓専門学校に進学。卒業後東京のタルト屋さんで働いた後、フランスに行き本場のパティスリーで経験を積む。高校の同級生である高坂さんに誘われ「おやつショップdabo」の立ち上げに携わる。趣味はお菓子とパンをつくること。

心の原風景に残るような、日常に寄り添うお店を。

――今日はよろしくお願いします。おふたりは高校の同級生なんですね。

高坂さん:そうなんです。ここを立ち上げるとき、お菓子をつくるなら専門の人が必要だなと思って。知り合いに聞いていたところ藤崎(以下:妙子ちゃん)を紹介してもらったんです。

 

藤崎さん:高校卒業以来、連絡は取っていなかったので、お話をいただいたときはびっくりしました。私もちょうど自分のお店を持ちたいと思っていたけど、やり方がイマイチわからなかったので「おやつショップ dabo(以下:dabo)」で勉強させてもらうことにしました。

 

 

――藤崎さんは次のステップアップのために、「dabo」で働くことにしたんですね。

高坂さん:妙子ちゃんはちょうど、自分のお店の準備をはじめようとしていたところだったんです。だから「1年間だけ私にくれない?」ってお願いして、1年間店長をしてもらうことにしました。ドーナツやおやつのレシピは、妙子ちゃんが考えてくれたんです。

 

――高坂さんにとって、心強いパートナーだったんですね。それにしても、なぜドーナツを販売しようと思ったのでしょうか。

高坂さん:私、ものすごくドーナツが好きなんです。昔から食べることもおやつも好きだった中で、ドーナツは別格の存在だったんですよ。

 

 

――その感じ、分かる気がします。店名にある「dabo」ってどんな意味の言葉なのでしょうか。

高坂さん:建築用語で「ダボ」っていうのがあるんです。木材同士をつなぎあわせるための棒状のもので、家具をつくるときには欠かせないパーツなんです。他に聞いたことがない、私達らしい名前がいいなと思ってこの名前にしました。この名前らしく、お店の壁には「ダボ」が差し込める箇所をたくさん作りました。

 

――聞き馴染みはないけど、とても言いやすい名前です。このお店のコンセプトを教えてください。

高坂さん:日常の中にある、町のお菓子屋さんみたいな、心の中の原風景に残るような場所にしたいんです。いつか「昔、ここにドーナツ屋さんがあって、こんな人がやっていたな」ってずっと思い出してもらえるような。子どもから大人まで親しんで食べてもらえるように、お求めやすい価格設定や、添加物を極力使わないなど、原材料にもこだわっています。

 

おからを使った、素朴だけど飽きない。毎日食べたいおやつ。

──ここで買えるドーナツには、おからが使われているんですね。

高坂さん:長岡の「吉田屋」さんのおからを使ってつくっています。私が大学のときによく食べていたのがおからドーナツで、その味が忘れられなくて。少し素朴な、毎日食べても飽きないような味を目指しました。

 

――おからを使うドーナツって、あまりないような気がします。

藤崎さん:そうですよね。私はお菓子づくりを仕事にしていましたけど、おからを使ったお菓子はつくったことがなかったんです。今まで食べていたようなものとは違いましたし。しかも、ドーナツ作りもしたことがなくて。最初はとてもハードルが高かったのを覚えていますね。

 

 

――それはたくさん苦労されたでしょうね……。

藤崎さん:おからはもちろん、小麦や砂糖もこれを使ってほしいっていうリクエストが裕子さん(高坂さん)からあって(笑)。ドーナツの正解を知っているのも彼女だったので、試作を繰り返して理想に近づけていきました。

 

高坂さん:でも3回目くらいで「これこれ!」っていうものができたんですよ。他のときもそうですけど、私が「こんなのが食べたい」ってリクエストしたものを、3日後には試作して持ってきてくれて。それも私のイメージしていたものにかなり近いんです。彼女のお菓子作りのセンスがあったからこそ、いまの「dabo」の味があると思っています。

 

――お店に並んでいるドーナツはどれも美味しそうで、選ぶのに迷っちゃいますね。

藤崎さん:ドーナツ以外のおやつも含めて、だいたい15種類くらいご用意しています。 今まで働いていたところでの経験を活かして、ここでも季節ごとのメニューをご用意しています。

 

 

――おふたりのオススメを教えてください。

高坂さん:「キャラメル味噌ナッツ」ですね。これは長岡の「摂田屋」で行われた「HAKKO trip」というイベント限定で出していたものなんですけど、くせになる美味しさでレギュラー化したものです。キャラメルナッツはよくありますけど、味噌をかけ合わせるものは珍しいと思うんです。これも妙子ちゃんが考えてくれました。

 

藤崎さん:ドーナツにおからを使っているからか、日本の食材とよく合うんです。あんことか、酒粕とか、塩昆布とか……。「dabo」のドーナツには、和の雰囲気を持つものが多い気がします。

 

――甘じょっぱいものが好きな人には「キャラメル味噌ナッツ」はたまらないですね。藤崎さんはいかがでしょう。

藤崎さん:私は揚げたての「プレーン」が大好きです。おからと卵の香りがふわっと広がってやわらかくて、空気みたいな食感が大好きですね。揚げたてを10分置くと、素材の味が馴染んできて冷めた状態でいちばん美味しく食べられるんです。私はこれを「冷めたて」って言ってるんですけど(笑)

 

高坂さん:「冷めたて」って新しい言葉だね(笑)。そうそう、ここでは揚げたてもご用意しているんです。揚げたても、「冷めたて」も楽しめるのは、うちならではかもしれないですね。

 

これからお店を持ちたい人と出会い、背中を押せる場所。

――「dabo」はこれからどんなお店になっていくのでしょうか。

高坂さん:店名のあたまに「おやつショップ」とつけたのは、ドーナツも含めて「おやつ屋さん」として町にひらいたお店にしたかったからなんです。そこに加えて、これからお店をやってみたい人がチャレンジできる場としての可能性もあると思っています。

 

――と、いいますと?

高坂さん:今販売しているスコーンやチュロスの他にも、妙子ちゃんが「Tarco」としてはじめたタルトも販売していて。彼女にはいま店長として「dabo」で活躍してもらいつつ、自分のお店のオープンに向けての準備や、自身の商品販売の経験をここで積んでもらっています。

 

藤崎さん:厨房や調理器具をひとりで用意しようと思うと大変なので、ここを使わせてもらえているのはすごくありがたいんです。こうやってお店のスペースを借りて、自分が作ったものを販売できて、しかもお客さんから直接感想が聞けて。こんな最高な環境はないなって感じています。

 

 

――働きながら、自分のお店のオープンに向けての準備ができると。

高坂さん:これからお店を出したい人が、一歩進めるような場所になるといいなと思っていて。いままで私は店舗設計をメインにしていたんですけど、「dabo」をつくってから、お店をつくることに加えて、その先にある運営もセットで考えるようになったんです。

 

――藤崎さんのような自分のお店を立ち上げたい人の、背中を押す存在になりたいと思ったんですね。そんなおふたりのこれからの目標を教えてください。

高坂さん:私自身、お店の運営は「somewhere」に続いて「dabo」が2店舗目になるのですが、まだまだ手探り状態です。これから平日に事業者さん向けの配達サービスや通販もはじめて。より運営を強化していけたらなと思っています。

 

藤崎さん:私はこれから自分のお店を出すことが目標ですね。それに向けて「dabo」でフィンガータルトを販売したり、開業に向けた具体的な事業の計画を立てていきたいなと思います。

 

――これからが楽しみです。ありがとうございました!

 

 

 

おやつショップdabo

10:00-16:00

月曜定休

長岡市大島本町 1-8-11 金型ビル1F

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
  • 部屋と人
  • She
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。


TOP