規格外野菜をメインに提供する
移動販売の八百屋さん「野菜バッカ」
食べる
2026.03.26
傷がついていたり、サイズが小さかったりなどの理由で、大きさや形、色が規格に適合せず市場に流通できない「規格外農産物」。味や食感は変わらないのに、廃棄されてしまう野菜って実はたくさんあるんです。今回紹介するのはそんな規格外農産物を移動販売している「野菜バッカ」。どうして移動販売の八百屋をはじめたのか。大谷さんからお話を聞くため、出店先のこども園にお邪魔しました。
大谷 道一
Michikazu Otani(野菜バッカ)
1994年阿賀野市生まれ。専門学校卒業後、保育士として11年間働き、2025年から移動野菜販売「野菜バッカ」をスタート。小学生の頃からサッカーを続けてきて、現在も社会人チームに所属している。
保育士から移動販売の八百屋へ
転職した思い。
――こども園での出店だけあって、保育士さんや保護者の方々が次々と買い物に来ていますね。
大谷さん:こちらのこども園は、実は僕が以前働いていた職場なんです。
――えっ、じゃあ大谷さんも保育士さんだったんですか?
大谷さん:11年間、保育士として子どもたちと関わってきました。昨年受け持った子どもたちの卒園を見届けてから、僕も卒園したって感じなんです。
――そうだったんですか。11年も保育士さんを続けてきたのに、どうして八百屋さんに転職を?
大谷さん:僕の実家は農業をやっているんですけど、廃棄野菜があまりに目立つので何とか減らせないかと思っていたんです。秋田や福島、沖縄といった各地の農家を回ってみたんですけど、やっぱりどこの農家でも多くの廃棄野菜を目にして。それで少しでも廃棄野菜を無くす取り組みがしたいと考えて、規格外野菜を安く売る八百屋をはじめることにしました。
――でも、八百屋さんの経営って難しいんじゃないですか?
大谷さん:そうなんですよ。商品単価が安いから利益も少ないし、商売としては厳しいと周りから反対されたので、それなら自分なりに新しいスタイルの八百屋をやってみようと模索しました。そこで、足の不自由なお年寄りや小さな子どもを抱えたお母さんなどのために、移動販売の八百屋をはじめてみようと思ったんです。

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セレクトショップをイメージした
お洒落な八百屋を目指す。
――まったく経験のないことをはじめるのは大変だったでしょう。
大谷さん:そうですねぇ。知識も経験も人脈もありませんでしたから……。規格外野菜は農家から直接仕入れているんですけど、ツテが無いので飛び込みで開拓しました。断られることもありますが、「ありがとう」「助かる」と感謝していただけることが多いんです。
――そうでしょうね。
大谷さん:最初は農業や野菜の知識がまったくなかったんですけど、取引先の農家さんからいろいろなことを教えていただきました。そうした野菜にまつわるストーリーを、お客様にもしっかりと伝えるようにしているんです。
――生産者と消費者をつなぐ役割を意識しているんですね。それにしても、移動販売に使っているワーゲンのワゴンも含めて、ちょっとお洒落な感じがします。
大谷さん:今までの八百屋とは違ったイメージにしたくて、セレクトショップみたいな八百屋を目指しています(笑)。色味のバランスを考えながら、野菜のレイアウトにもこだわっているんですよ。
――インスタグラムに投稿されている写真もお洒落でした。
大谷さん:ありがとうございます。オリジナルTシャツまでつくって販売していますからね(笑)。それについては「何がやりたいのかわからない」と賛否両論あるんですけど、僕はお洒落に楽しみながら野菜と触れ合える店にしていきたいと思っているんです。
――野菜に興味の無い人からも興味を持ってもらえそうですね。
大谷さん:そのせいかはわかりませんが、大学生をはじめひとり暮らしの若い人も来てくれるようになりましたね。あと、小学生にも野菜やフードロス問題に興味を持ってもらいたくて、小学校にお邪魔して授業をおこなっているんですよ。

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応援しているつもりのお客様から
実は応援してもらっている。
――はじめてから1年が経つなかで、苦労していることはありますか?
大谷さん:イベントや定期販売の出店場所を確保することでしょうかね。
――どんな場所で定期販売をおこなっているんですか?
大谷さん:現在は保育園、銭湯、老人ホームにお邪魔しています。皆さん応援してくださっているので、僕も応援していただいた分を還元できたらと思っているんです。妻の友達も毎回買いに来て応援してくれています。
――大谷さんの取り組みを応援している人は、たくさんいるんでしょうね。配達の際はどのように注文があるんでしょう?
大谷さん:インスタグラムのダイレクトメッセージやお電話でご注文いただいています。飲食店やご高齢のお客様の元への配達が多いですね。
――近所に食料品店がない上に、足腰の不自由な高齢者にとっては有り難いことですよね。
大谷さん:「人の役に立ちたい」という思いではじめたんですけど、むしろ「頑張っているから買ってあげたい」という気持ちで応援してくださるお客様が多くて、毎回ひとりでは食べきれないような量の野菜を買ってくださるんです。本当に有り難いですね。
――お互いにいい関係なんですね。最後になりますが、これからはどんなことに挑戦してみようと思っていますか?
大谷さん:廃棄される規格外農産物を使った、加工品の製造販売をしてみたいと思っています。今考えているのはフルーツポンチですね。そうすることで、今後は企画外農産物の加工方法の提案もしていけたらと考えているんです。それから、今でも母子家庭へ野菜の無料配布をおこなっているんですけど、こちらも続けていきたいと思っています。

野菜バッカ
080-2676-5338
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