夜の弥彦温泉街を支え続ける
老舗飲食店「ラーメンやまだ」。
食べる
2026.05.02
ゴールデンウイークを迎え、お出かけ中の方も多いと思います。パワースポットとして人気の彌彦神社をはじめ、新緑が鮮やかな弥彦エリアを訪れる方もいるのではないでしょうか。近年は新しい店も増え、ますます賑わいを見せているこのエリアですが、古くから続いている老舗も負けてはいません。彌彦神社前にある「ラーメンやまだ」もそのひとつ。営業前の空き時間にお邪魔して、店主の山田さんからお話を聞いてきました。
山田 宏喜
Hiroki Yamada(ラーメンやまだ)
1985年弥彦村生まれ。調理師専門学校卒業後、新潟市の料亭やフレンチラストランで修業し、2008年より家業の「みますや旅館」「ラーメンやまだ」に就業する。メジャーリーグで活躍する日本人選手を応援するのが日々のルーティーン。
彌彦神社前にある「みますや旅館」と
「ラーメンやまだ」の歴史。
――今日の彌彦神社周辺は、多くの人で賑わっていますね。
山田さん:天気がいいので、たくさん訪れているみたいですね。
――さっそくですが、まずは「ラーメンやまだ」と「みますや旅館」の歴史について教えてください。
山田さん:「みますや旅館」はもともとは弥彦にあった「ますや」という旅館の分家だったんです。といっても、祖父も祖母も養子なので血縁は途切れているんですけどね。祖父母の代から、旅館のかたわらでランチタイムに食堂をはじめたんですよ。
――あれ? 今って夜営業ですよね。
山田さん:岩室温泉で修業をしていた父が戻ってきてから、温泉街に宿泊しているお客様のために夜営業をはじめたんです。40〜50年前からはラーメンをメインにするようになったので「ラーメンやまだ」という店名に変わりました。
――なるほど。旅館と飲食店の兼業って大変じゃないですか?
山田さん:父が亡くなってからは僕と母のふたりだけになったので、「みますや旅館」と「ラーメンやまだ」のどちらかに絞って営業することになったんです。常連のお客様のために「ラーメンやまだ」を続けることになり、「みますや旅館」では宴会だけ受け付けて宿泊は休業することになりました。

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家業の仕事をはじめた3年後、
父親が他界したことで店を受け継ぐ。
――山田さんは最初から「みますや旅館」を継ぐつもりだったんですか?
山田さん:はい、継ぐつもりだったので調理師専門学校で料理を学んで、その後は古町にある料亭で住み込み修業をしました。当時は店の奥にある部屋の二段ベッドで、先輩とふたりで寝泊まりしていたので窮屈さを感じましたね(笑)
――修業中に教わったことで、今でも心掛けていることがあったら教えてください。
山田さん:近所の青果店へ食材を買いに行ったとき、値引きシールのついた商品を買って帰って叱られたことがありました。「お代をいただいてお客様に食べていただく料理に使うんだから、できるだけいい食材を選ぶようにしろ」と言われたんです。叱られたことで、自分がお客様のために料理を作っていることを、改めて意識するようになりましたね。
――料亭ではどのくらいの期間、修業していたんでしょう?
山田さん:3年間です。25歳までには「みますや旅館」に戻ろうと予定していたので、日本料理の基礎をある程度学んだところで退職して、フレンチレストランでアルバイトをはじめたんです。
――どうして、日本料理からフランス料理に?
山田さん:いろんなスキルを身につけておきたかったんですよ。和食も洋食もできれば、どこかで役に立つんじゃないかと思いました。ただ毎晩遅くなる上に、新潟から弥彦まで帰るのは大変だったので、23歳のときに家業の「みますや旅館」へ戻ることにしたんです。
――料理の幅を広げようと考えたわけですね。予定よりも早めに実家に戻られたんじゃないですか?
山田さん:もう少し外の世界で経験を積みたい気持ちもありましたね。でも僕が26歳のときに父が他界したので、その前に数年でも一緒に働くことができたおかげで、旅館や店の営業をなんとか引き継ぐことができたんです。

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細麺の食べやすいラーメンと
充実したおつまみメニュー。
――こちらのラーメンには、どんな特徴があるんでしょうか?
山田さん:ラーメンはもちろん、味噌ラーメンにも細麺を使っているので、食べやすくて、スープとの絡みもいいんですよ。お酒を飲んだ後の〆にもぴったりだと思います。
――食堂で味わった記憶のある、懐かしい感じのラーメンですね。優しい味噌スープが細麺によく合います。
山田さん:ありがとうございます。ラーメン店ではあるんですけど、もっと幅広く料理を提供する思いで営業しています。温泉街ということでお酒を飲みに寄る方も多いので、おつまみも充実しているんです。
――では、人気のあるメニューを教えてください。
山田さん:まずは玉子焼き。紅生姜、チーズ、あさりの3種類があるんです。サイズの大きい餃子も人気がありますね。餃子の後にラーメンを食べようと思っていたお客様が、お腹いっぱいになってラーメンまで食べられなかったこともありました。
――それほどまでに大きいんですね(笑)
山田さん:大きいみたいです(笑)。軽くつまめる「ピスタチオのくんせい」や「チーズとかまぼこのくんせい」もよく注文をいただきますし、夏には「弥彦むすめ」をはじめとした地元の枝豆も喜ばれています。


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弥彦の町を盛り上げるために
いつかは旅館業も再開したい。
――地元のお客さんと観光客ではどちらが多いんでしょう?
山田さん:時期にもよるかもしれませんね。初詣や菊まつりのシーズンには参拝や観光のお客様が増えます。夏休みシーズンには、家族連れのお客様も来てくれることが多いですね。
――付き合いの長い常連のお客さんも多いんじゃないですか?
山田さん:父の代から来てくださっているお客様もいます。昼に営業している店は多いんですけど夜に営業している店は少ないので、自分たちは夜の町を支えようと頑張っています。近所の飲食店や土産店のご主人も、店を閉めた後に飲みに来てくれることがあるんですよ。
――最後に、将来の夢があったら教えてください。
山田さん:僕と母のふたりだけ回しているので、「ラーメンやまだ」は観光シーズンを除いて夜しか営業していませんし、「みますや旅館」は宴会しか対応できない状態なんです。人手不足でもスタッフを雇う余裕はないんですよ。もしも子ども達が大人になってから手伝ってくれるのなら、旅館の宿泊も再開できるし飲食店も昼夜営業することができるのかなと期待しています(笑)
――私も期待しています。
山田さん:ありがとうございます。弥彦の町を盛り上げるお手伝いができるよう、地元の皆さんと一緒に頑張っていきたいですね。
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