フォルクスワーゲン、アウディの販売から修理、カスタム、レストアまでをメインに行う車屋さんが新潟市西区にあります。その名は「84BASE Motor Works(ハチヨンベースモーターワークス)」。今回はフォルクスワーゲンが大好きなオーナーの佐久間さんに、VWの魅力や好きになったキッカケなど、お話をいろいろ聞いてきました。
84BASE Motor Works
佐久間 隆洋 Takahiro Sakuma
1971年阿賀野市生まれ。県内唯一のフォルクスワーゲン大好き店を自負する「84BASE Motor Works」を2011年にオープン。ゴルフⅡを愛してやまないレース好き。
――今日はよろしくお願いします。まずは、どんな車屋さんか教えてください。
佐久間さん:フォルクスワーゲン(以下:VW)とアウディをメインに、販売や修理、板金、カスタム、レストアなどを行う自称「県内唯一のVW大好き店」の車屋です。取り扱いの90%はVWとアウディだけど、それ以外の外車や国産車も対応していますよ。
――VWが大好きなんですね。佐久間さんは、どんなキッカケで車が好きになったんですか?
佐久間さん:レースと名の付くものがとにかく好きで。中学生はラジコンレース、高校生からは50㏄のミニバイクレースからはじまって250㏄のロードレースまで。20歳まではプロのレーサーを目指していたけど、レース用バイクのタイヤやオイル、修理などを保持するのに借金が膨らんで…夢破れました。
――レースが好きだったんですね。車への興味はどうして?
佐久間さん:車が大好きな兄がいて、乗り換えるタイミングで彼が乗っていたVWのゴルフⅡをくれたんです。何の気なしにそれに乗っていたら、たまたま新発田のVW専門店の前を通って…ゴルフⅡのレースカーを発見したんですよ。「今乗っているVWでもレースができるじゃん」って、車に興味が湧きました。
――それで車を仕事にしようと思ったんですか?
佐久間さん:興味本位でそのワーゲン専門店に通っていたら、新潟に移転すると話を聞いて。雇ってもらえるようにお願いしたら、なんとOK。これを機に車屋としての人生がスタートしました。それで、古い車(特にVW)を専門に扱いたいと思って、2011年に「84BASE Motor Works」をオープンしました。
――おお! レース好きが高じて今の人生が開けたんですね。車のレースにはチャレンジしたんですか?
佐久間さん:もちろん。昔は「職業がレーサーで、趣味は仕事」って言ってました(笑)。今でも定期的にレースに参加していますよ。
――車のレースって、どんな種類があるんですか?
佐久間さん:1周2㎞のコースを50周して、誰が一番速く走り切れるかを競ったり、2名のドライバーで6時間走り続けたりする耐久レース。距離を短くして10周走るスプリットレースなんかもあります。
――耐久レースは過酷そうですね。やっぱり最高時速が速い車が有利なんですか?
佐久間さん:速く走ろうとするとガソリンがどんどん減って、給油の回数が増えます。そうなると追い越されてしまうから、最高時速だけで勝敗は決まらないかな。だから速く走れて、給油の回数をどれだけ少なくできるかが重要。そのためにエンジンをはじめとした各パーツをコンマ単位で調整して、レースに参加する車を仕上げていくんです。
――めちゃくちゃ奥が深いですね。もちろんレースに参加するときはVWで?
佐久間さん:最新技術を積んだ国産車も多いけど、やっぱりVWがいいよね。発売から約50年経って、ゴルフはⅦシリーズまで発売されています。カスタムを重ねてゴルフⅡでⅥまでは勝つことができました。古い車で新しい車にレースで勝つ。ロマンがあるよね。ちなみにⅦにはまだ勝てていないんだけどね。今は(笑)
――ちなみにVWでレースに参加する人は多いんですか?
佐久間さん:ん~…そもそもVW(Volkswagen)は直訳すると大衆車なの。だからレースをする車ではないんだよね。でも、ポテンシャルは凄いんです。それを引き出すのが腕の見せ所。
――ポテンシャルというと?
佐久間さん:ゴルフⅡは本来88馬力なんです。でも、0.1㎜の単位でエンジンパーツを調整して、トライ&エラーを重ねて10年で200馬力まで到達しました。誰でも乗れるように作られた車だからこそ、潜在能力が凄いんだろうね。
――トヨタやベンツなど、たくさんの車メーカーがある中でも愛してやまないVW。そこまで惹かれる魅力は何ですか?
佐久間さん:食べ物に例えてもいいですか?
――はい(笑)
佐久間さん:見た目がそんなに美味しそうじゃなくても、一度食べたらまた食べたくなる。どんなトッピングを付けても美味しくて、食べ方のゴールがない。正解がないから終わりがないのが最大の魅力ですね。それに宝探しと一緒で、隠れている良さがたくさんあってワクワクします。
――これだけVWが好きでも、まだ見つけられていない良さもあるんですか?
佐久間さん:VWから離れた人たちは「乗らなくなったときにVWの良さが一番分かる」と、口々に言います。きっとVWの良さは乗ることをやめた瞬間まで見つけきれないんです。VWが好き過ぎて現在まで至っているからこそ、WVが好きな人たちにもっともっと大好きになってもらえるお手伝いができたら幸せですね。もちろんアウディも。
取材の最後に、「大きな事故を起こしても無事に生還したのも、レストアや部品加工ができる仲間に巡り合えたのも、いろんなタイミングで運がやってきてくれたから。僕は運だけで生きている」と語ってくれた佐久間さん。「今が最高のときなんだ」と、嬉しそうに話す穏やかな笑顔に、佐久間さんのVWへの愛、そして人を惹きつける素敵な人柄を感じました。
84BASE Motor Works
新潟県新潟市西区寺尾台2-8-4
025-269-8484