「発酵・醸造の街」として酒蔵や醸造所がたくさん存在する長岡市に、発酵食材やスパイスを使ったメニューを提供する「a-sun kitchen(アーサン・キッチン)」というカフェがオープンしました。「KAKIGAWA LIVING PARK」という複合施設のなかで営業している「a-sun kitchen」にお邪魔して、オーナーの伊藤さんからお店のこだわりを聞いてきました。
a-sun kitchen
伊藤 亜砂美 Asami Ito
1975年長岡市(旧栃尾市)生まれ。医療専門学校を卒業し、歯科衛生士として歯科医院に勤務。その後、居酒屋やカフェレストランで経験を積み、2024年に「a-sun kitchen」をオープンする。ネコちゃんを愛でることが何よりの癒しで、将来はペット用のヘルスフードを作ったり、ドッグカフェをやってみたいという夢がある。
——こちらの建物にはいろいろなお店が入っているんですね。
伊藤さん:ビルの1階と2階をリノベーションした「KAKIGAWA LIVING PARK」という複合施設で、「暮らしを整える」ことをテーマに身だしなみやインテリア、食に関わるお店が集まっているんです。
——そうなんですね。ところで、伊藤さんはずっと飲食業に携わってきたんですか?
伊藤さん:最初は歯科衛生士として歯医者さんで働いていたんですけど、静かな職場が自分には合わないと思っていたので、大きな声で元気に接客できる居酒屋に転職したんです。それが私の飲食店デビューでした。
——それじゃあ、最初はホールサービスを担当していたんですか?
伊藤さん:そうなんです。でも、次に働きはじめたカフェレストランでは調理を担当することになりました。そこでは多くのことを学ばせてもらって、なかでもスタッフの間で行われる「料理提案会」はいい勉強になりましたね。
——「料理提案会」っていうのは、どんなことをするんでしょうか?
伊藤さん:社長からいただいたお題の食材を使って、テーマに沿ったメニューを提案するんです。そのときに考案したメニューが「a-sun kitchen」のベースになっているんですよ。
——例えばどんなメニューなんでしょう?
伊藤さん:コロナ禍の影響を受けて健康への意識が強くなっていたので、身体の内側から健康になれるような、デトックス効果の期待できる発酵食材やスパイスを使って、誰もが美味しく食べられるような味付けのメニューを考えました。
——それがきっかけで「a-sun kitchen」のオープンを考えたんでしょうか?
伊藤さん:そうしたメニューを提供することで、心も身体もデトックスできるようなお店をはじめてみたいと思うようになりましたね。
——その夢が具体的になったきっかけはあったんですか?
伊藤さん:この「KAKIGAWA LIVING PARK」で出店するテナントを募集していたので、どんなところなのか見に来たんです。そのとき目の前に広がる柿川や平和の森公園のロケーションにひと目惚れしてしまい、「自分がやりたいお店をオープンするならここしかない!」と思いました。
——確かに癒されるロケーションですね。
伊藤さん:眺めているだけで心のデトックスができそうだと思いました。あとは居心地のいい空間やメニューを用意すれば、コンセプトの「心も身体もデトックスできるようなお店」が実現できると感じたんです。
——基本的にワンプレート料理になっているんですね。
伊藤さん:そうなんです。なかでも看板メニューになっているのが「バターチキンカレープレート」です。鶏もも肉を塩麹、スパイス、ヨーグルトにひと晩漬け込み、スパイスの他に甘酒や味噌、バターと一緒に煮込んで作るんです。ライスには雑穀米を使っていて、サラダには自家製ドレッシングをかけてあります。
——発酵食材やスパイスにこだわった料理というのがよくわかります(笑)。健康への意識が高い、特に女性に喜ばれそうなメニューですね。
伊藤さん:ありがとうございます。さらに黒板に書かれた日替わりメニューのなかから、お好みでデリを2品を選んでいただくこともできるので、毎回違った料理がお楽しみいただけます。
——日替わりメニューには、野菜を使ったものが多いんですね。
伊藤さん:私の義母がやっている家庭菜園で採れた、そのときどきの旬な野菜を使っているんです。写真がなくても内容が伝わって、キャッチーな品名をつけるように工夫しています。
——季節感があって楽しいですね。
伊藤さん:「季節感」といえば、期間限定のドリンクメニューもご用意しています。今の時期は「ブルーハーブ シソジュース」や「ブルーハーブ レモネード」を提供していますので、味はもちろん見た目も楽しんでいただけると思います。
——なるほど。それにしても早い時間から営業しているんですね。
伊藤さん:ランチだけじゃなくモーニングもやっているんですよ。トーストにサラダやドリンクがついたセットになっているんですが、それだけでは物足りない方のためにキーマカレーやヨーグルト、レモンシロップをオプションでつけることができます。
——いろいろと細やかな心配りが感じられますね。お店をオープンしてみて大変だと感じることはありますか?
伊藤さん:お店の存在をお客様に知っていただき、足を運んでいただくことが難しいと感じますね。Instagramやご近所へのポスティングくらいしか宣伝をしていないんですけど、最近は少しずつご来店くださるお客様が増えてきました。足を運んでくださったお客様が、また来たいと思ってくれるようなお店作りをしていきたいですね。
——最後に「a-sun kitchen」をどんな場所にしていきたいですか?
伊藤さん:現代社会で生活している以上、どうしても身体に影響を及ぼしかねない食品を摂取する機会もあると思うんです。食事には気をつけていたとしても、ストレスを抱えていても身体に影響を与えることになりかねません。そうした身体や心に溜まったものを、発酵食材とスパイスを使った料理や、サービス、ロケーションで癒していただき、デトックスしていただけたらと思っています。
a-sun kitchen
長岡市中島4-12-5
070-5081-0315
9:30-16:00
日月曜休