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季節の美味しいものを、若い人にも。古町「割烹本陣」の4代目に聞く。

新潟の繁華街として古くから栄えてきた古町通の中でも、古町9番町周辺は料亭や割烹も多く「大人の街」というイメージがあります。その街で長い間料理を提供してきた「割烹本陣」。今回は4代目店主の髙橋さんに、古町への思いや料理のこだわりを聞いてきました。

 

 

割烹本陣

髙橋 照夫 Teruo Takahashi

1968年胎内市(旧黒川村)生まれ。中学校を卒業後「割烹本陣」で修行を始め、4代目店主になる現在までお店の味を守ってきた。山菜採りや磯釣りが趣味で、プライベートでも自然の中の美味しいものに親しんでいる。

 

中学を卒業して以来ずっと「割烹本陣」で料理に携わる。

——今日はいろいろお聞きしますので、よろしくお願いします。

髙橋さん:いやぁ……私、あんまりしゃべるの上手じゃないから……。

 

——お聞きしたことに、正直にお答えいただければ大丈夫ですので(笑)

髙橋さん:まぁ、頑張ってみます(笑)

 

——「割烹本陣」はいつから続いているお店なんですか?

髙橋さん:昭和38年に創業したって聞いてます。初代の店主は新潟で「割烹本陣」を始めるまで、東京の有名店で料理人として働いていたそうです。ただ昔のことはあんまり聞いてないんですよ。

 

——髙橋さんは何代目の店主になるんですか?

髙橋さん:私は4代目になりますね。地元の中学校を卒業して、勉強が嫌いだったから高校には行きたくなくって就職することにしたんです。中学校の校長先生が酒屋と知り合いで、その酒屋から「割烹本陣」が人手不足で料理人を探しているっていう話を聞いて、私のことを紹介してもらったんですよ。それから今までずっと「割烹本陣」で働いてきました。

 

 

——中学校を卒業してからずっとってかなり長いですね。そもそも料理はお好きだったんですか?

髙橋さん:私の母親はあんまり料理が得意じゃなかったんですよ。だから私が家で食べる昼飯は自分で作っていたんです。そのおかげで料理には慣れてましたね。

 

——ところで料理人の修行っていうのは、最初はどんなことをするんですか?

髙橋さん:「割烹本陣」に入ったばかりの頃は鍋洗いや出前がほとんどで、あとは時々、野菜の皮剥きをする「剥きもの」をやらせてもらってました。

 

——出前もしなくちゃいけないんですね。

髙橋さん:この辺りには古町芸妓と遊ぶための待合茶屋がいくつかあったんですよ。私が勤め始めた当時でも6軒くらいあったんじゃないかな……。そういうところに料理を出前するんです。まぁ、今ではほとんどなくなりましたけどね。

 

——長く勤めている間、辞めたいって思ったことはなかったんですか?

髙橋さん:ありましたよ。「鍋洗いばっかで何にも面白くねー。辞めてー!」って(笑)。あと他の店で働いてみたいって思ったこともあって、親方に相談したこともありました。でも人手が足りないから続けてくれって頼まれたんで、辞められなかったんですよね。

 

「割烹本陣」の看板を守るために4代目を継ぐ。

——料理はいつ頃から任されるようになったんですか?

髙橋さん:修行を始めて2年くらいした頃に、当時の親方だった2代目店主が病気で倒れたんです。それ以来、2代目の息子の3代目と一緒に料理を作るようになって、お店を続けてきました。

 

——3代目店主は2代目の息子さんだったんですね。髙橋さんが4代目店主としてお店を継いだのは……。

髙橋さん:6年前に3代目が病気で急に亡くなったんです。3代目の身内からはお店を閉めていいという話もあったんですが、長く勤めてきたお店の看板を消したくなかったので、私が跡を継がせてもらうことにしたんです。継いだばかりの頃はいろいろわからないこともあって大変でしたが、なんとかやってこれました。

 

——急に継ぐことになるっていうのは大変でしょうね。ところでお客さんはどんな人が多いんですか?

髙橋さん:昔は会社関係の人が接待に使うことが多かったですね。私が働き始めた頃はバブル景気の真っ只中でしたし、古町にも活気がありましたよね。週末の夜なんかは人で溢れてましたもんね。当時は接待もしょっちゅうおこなわれてましたけど、今ではめっきり減りましたよね。

 

自分で食材を選んで、季節感や彩りを大切に作っている料理。

——料理を作るときはどんなことにこだわってるんですか?

髙橋さん:一番大切にしてるのは季節感ですね。そのために毎朝市場に行って、自分の目で旬の食材を選ぶようにしてます。でも市場に行くといろいろ美味しそうなものが並んでるから、目移りしちゃって余計なものまで買っちゃうんですよ。だから、献立を決めてから仕入れに行くっていうよりは、市場で仕入れてきたものを元に献立を決めることが多いですね。

 

——そっちの方が、その時々の美味しいものをお客さんに出せますよね。ちなみに、これから冬にかけて髙橋さんがお薦めしたい食材ってありますか?

髙橋さん:これからは美味しい魚が多くなってきますよね。中でも私のお薦めはあんこうです。鍋にすることが多いけど、蒸し物でもから揚げでも美味しく食べることができますよ。あと真だらも美味しいですね。とくに白子を使った料理をお出しすることが多いです。

 

 

——お話を聞いてるだけで食べたくなってきますね(笑)。季節感の他に料理のこだわりはありますか?

髙橋さん:見た目も味のうちだと思ってますので、料理の彩りには気を使ってますね。あと常連さんの場合はその方の好みに合わせた料理を作るように心掛けてますね。常連の方になってくると好みもわかってくるんですよ。

 

割烹は入りにくいかもしれないけれど、若者が気軽に楽しめる店を目指したい。

——最近、古町9番町ってどんな感じででしょうか。

髙橋さん:やっぱり週末でも昔に比べて歩いてる人が減りましたね。追い討ちをかけるみたいに新型ウィルス感染症の緊急事態宣言が出されたときなんて、人がまったくいなくなって映画の中の光景みたいでしたよ。最近は少しずつ、少人数で飲みに出る人も増えてきたようです。あと若者向けの店が増えてきたような気がしますね。

 

——では今後、どんなふうにお店をやっていこうと思いますか?

髙橋さん:割烹って入りにくい雰囲気があるっていわれるんですよ。だから若い人にも気軽に入ってもらえるような店にしていきたいですね。そのためにも、本格的な日本料理だけじゃなくて、気軽に楽しめる料理も提供していきたいと思ってます。

 

 

飾らない実直な人柄の髙橋さんが作る料理をいただいてみて、人柄がそのまま味になっているような気がしました。「大人の街」っていうイメージの古町9番町ですが、若者向けのお店ができたり、いろいろ変わりつつあるようです。「割烹本陣」もまた、若者が入りやすいお店として変わっていこうとしています。古町を訪れた際にはぜひ気軽に立ち寄ってみてください。くつろいだ雰囲気の中で本格的な日本料理が楽しめますよ。

 

 

割烹本陣

〒951-8065 新潟県新潟市中央区東堀通1403

025-222-8469

11:30-14:00/17:00-22:00

日曜祝日休

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