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酒屋であり居酒屋やバーとしても楽しめる、学校町「居酒BAR 酒屋」。

新潟高校や新潟中央高校などがあり、平日はたくさんの学生が行き来する学校町通に「大倉酒店」という酒屋さんがあります。一見したところ普通の酒屋さんですが、お店のなかに足を踏み入れてみると……。今回はちょっと変わった酒屋さんにお邪魔していろいろとお話を聞いてきました。

 

 

居酒BAR 酒屋

大倉 一浩 Kazuhiro Okura

1967年新潟市中央区生まれ。新潟市内の食品製造販売会社で修業した後、福島県の工業機器部品メーカーで営業として働く。2000年に家業である「大倉酒店」に就業し三代目店主となる。2007年頃より酒屋のかたわら「居酒BAR 酒屋」をはじめる。

 

どうして酒屋のかたわら、バーをはじめたのか。

——外見は「地元の酒屋さん」なのに、なかに入ると居酒屋さんというか、バーのような店内ですね。もとは普通の酒屋さんだったんですか?

大倉さん:はい、戦後間もなくからお酒と一緒に醤油や味噌の量り売りをはじめて、現在まで75年間続いてきた酒屋です。私で三代目になりますね。

 

 

——大倉さんはお店を継がれるまではどんなことを?

大倉さん:修業の意味で、ジャムや缶詰などの食品の製造や販売をしている会社で働きました。そこの物流センターにいた頃はとにかく忙しくて、朝7時から夜中の3時まで働いて、シャワーを浴びて仮眠するためだけに帰宅するような生活でしたね。その後しばらくしてストア勤務になったおかげで仕事が楽になりましたが、同じ会社でこんなに高低差があるのかと驚きました。

 

——それは大変でしたね。それからは「大倉酒店」で働きはじめたんでしょうか。

大倉さん:そうなんですけど、すぐに父と喧嘩して店を飛び出したんです(笑)。当時はコンビニができはじめた頃で、朝から夜遅くまで営業する店が増えていたんですよ。そこで「大倉酒店」を24時間営業にしようと思ったんですけど、「そこまでしても需要がない」と反対する父と衝突したんですよね。

 

——また他のところで働くことになったわけですか?

大倉さん:福島県の郡山にある工業機械の部品メーカーで営業をやりました。新潟が勤務地だと思っていたら福島だったんですよ(笑)。3年間働いたんですが、父が体調を崩して店に立てなくなったので、新潟に戻って再び「大倉酒店」で働きはじめました。

 

——三代目として「大倉酒店」を受け継いだわけですね。ところで、「居酒BAR 酒屋」をはじめたのはどうしてなんですか?

大倉さん:ディスカウントストアが増えてきた影響で、お客様が減って酒屋が暇になったんですよね。そこでアルバイトも兼ねてもっとお酒の勉強をしようと思って、西堀にある老舗のバーで4年半ほど修業をしたんです。

 

 

——えっ、酒屋はどうされたんですか?

大倉さん:昼間は酒屋の仕事をして、夜9時から朝7時までバーの仕事をしていました。暇な日は早く上がることができたんですけど、結局そのまま飲みに行って朝帰りをしていたので、どちらでも変わらなかったんですよね(笑)。ふたつの仕事を掛け持ちしていたので寝る時間もなかったんですけど、おかげでお酒の知識はもちろん、料理やカクテルの作り方も勉強することができました。その経験がきっかけになって、「自分でもバーをやってみたい」と思うようになったんです。

 

——でも、酒屋をやりながらバーをやるのって大変じゃないですか?

大倉さん:そうなんですよ。最初は古町でお店をやりたいと思っていたんですけど、自分の身体はひとつしかないですからね。そこで酒屋を改装して飲食スペースを作って、一緒に営業するスタイルにしたんです。今でこそ酒屋でお酒が飲める「角打ち」は一般的になりましたけど、当時はまだ馴染みがなかったので、同業者には呆れられましたね(笑)

 

品揃えにこだわる酒屋と、料理にこだわるバー。

——「居酒BAR 酒屋」さんのユニークなところは、「大倉酒店」の商品として売っているお酒やお菓子、缶詰もお店で飲食できるっていうことですよね。

大倉さん:最初は酒屋の営業とバーの営業を分けていたんです。でも、お客様が勝手に商品を持ってきて飲んだり食べたりしちゃうので、いつの間にかそういうスタイルになってしまいました(笑)

 

——さすがに酒屋さんだけあってお酒の種類がずいぶん多いですね。

大倉さん:私はまだまだ少ないと思っているんですけどね(笑)。ただ、酒屋のメリットとして、普通の飲食店だったら取引のあるメーカーの生ビールしか置いていないのに対して、うちではいろんなメーカーの生ビールが飲めるんです。あとシェーカーを使って作ったカクテルをお出しすることもできます。酒屋の販売も、定番のお酒はもちろん、蔵元から直接仕入れる日本酒や各国の輸入ビールなんかの、コンビニやスーパーでは手に入らないような、ちょっと珍しいお酒を置くようにして差別化を図っています。

 

 

——なかでも珍しいお酒ってあるんですか?

大倉さん:修道院で作られている「タラピストビール」や、果汁を使って香りを楽しめる「フレーバービール」は珍しいんじゃないでしょうか。「フレーバービール」はビールの苦みが苦手な人にもオススメです。

 

——そうしたお酒のお供には、どんなフードメニューが楽しめるんですか?

大倉さん:カレーは人気ですね。ランチメニューとして提供していた頃はご飯に合うように作っていたんですけど、今はお酒に合うよう少し辛めに味付けしています。あとパングラタンも人気がありますね。以前は百貨店に入っているチェーン店で仕入れたパンを使っていたんですけど、今は応援の気持ちを込めて、頑張っている個人店から仕入れるようにしています。

 

 

——こちらのピザも美味しそうですね。

大倉さん:ピザは生地やソースを手作りしています。ピザに限らず、できるだけ既製品や化学調味料を使わずに手作りすることにこだわっているんです。あとワンオペでやっているので、できるだけお客様を待たせずに料理を提供できるよう、常に早く作れる工夫をしています。

 

 

——失礼ですけど酒屋の片手間でやっていると思っていたら、こだわりを持ったお料理ばかりで驚きました。他にも大変なことがあったら教えてください。

大倉さん:う〜ん……。これはどこもそうだと思うんですけど、やっぱりコロナ禍でお客様が減ったことですね。「まん防」の際に飲食店の営業時間が規制されて以来、「早く家に帰るのが当り前」という風潮になってしまったので、うちのように二次会や三次会で利用されることが多い店にはお客様が流れてこなくなったんです。忘年会や新年会もなくなったことで、なおさらお客様が来なくなってしまいました。

 

——飲食店にとっては厳しい時代ですよね。

大倉さん:リモート飲みや宅飲みが主流になりつつあるようですけど、人と接して飲むお酒は全然違うものだと思うし、人と会ってこそ伝わることは多いと思うんですよね。そういったコミュニケーションを取れる時代がまた戻ってきてくれるといいですね。

 

 

 

居酒BAR 酒屋

新潟市中央区学校町通2番町568-30

025-222-3753

17:00-5:00(日祝日は3:00まで)

無休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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