今はまだ1月ですが、もう少しして暖かくなってくると入学シーズンを迎えます。そこで今回は、中学入学からスタートする学生服のお話を。3年間の学校生活を充実したものにするためにも、学生服選びはしっかりやりたいものですが、学生服を買うのが初めてのことで、どうしたらいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。そんな親子の心強い味方が新潟市の本町商店街にある「バロンハヤカワ」。豊富な品揃えと長い経験を持つ学生服専門店です。今回は専務の早川さんに、学生服についてのお話をいろいろと聞いてきました。
バロンハヤカワ
早川 直希 Naoki Hayakawa
1972年新潟市中央区生まれ。秋田の大学で法律を学んだ後、家業の「バロンハヤカワ」に入社し、村上支店でスーツやカジュアル衣料を販売する。一時退社しアルバイト生活を送っていたが、父親の要請で再度「バロンハヤカワ」に戻り、現在は専務としてお店のやりくりをしている。趣味はバイク、DIYのほか、昔の時代劇や刑事ドラマが好き。
——私が学生だった頃、制服関係の店で有名だったのは「バロンハヤカワ」や「ベンクーガーショップ」でした。「バロンハヤカワ」さんはいつから営業しているんですか?
早川さん: 戦後間もなくの昭和25年に祖父が始めたお店なんです。最初はスーツやカジュアル衣料を販売する紳士服店として創業しました。
——最初は紳士服店だったんですね。じゃあ学生服はいつ頃から取り扱うようになったんですか?
早川さん: 2代目の父親の頃からですね。うちの店は5階建てのビルで、1階がスーツ、2階がカジュアル衣料、3階が学生服の売り場だったんです。ところが時代とともにカジュアル衣料の需要が減ってきたので、カジュアル衣料をやめて学生服を2階に下ろしたんです。その後、スーツも下火になってきたのでやめることになって、学生服を1階に下ろしてメインにすることになりました。
——早川さんは3代目にあたるわけですね。最初から家業を手伝っていたんですか?
早川さん: 私は秋田の大学で法律の勉強をしていたんです。卒業する頃にタイミング悪くバブル景気が弾けて、世の中が不景気になったしまったんですよ(笑)。そこで仕方なく家業を手伝うことになったんですが、自分の経験不足を感じたので「バロンハヤカワ」を退社して、世間を見たくて3年ほどアルバイト生活を送っていたんです。でも26歳のとき「バロンハヤカワ」が人手不足になったので、父親から頼まれて再び戻ることになりました。
——「バロンハヤカワ」って私のイメージでは、やんちゃな学生が着る「長ラン」「短ラン」とか「ボンタン」を売っていた記憶があるんですが……。
早川さん: お父さん世代はとくにそういうイメージを持っている方も多いみたいですね。時々コスプレ目的で探しにくるお客様もいらっしゃいますが、そういう商品は当時の売れ残りしかないんですよ。時代に合わなくなってきて需要がないので、メーカーでも作っていないんです。当時流行ったボタンの裏止めも、今では作る職人さんがいないので在庫限りになっています。
——確かにお店の中を見渡しても、やんちゃ系の制服は見当たりませんね……。
早川さん: 最近では男子も女子もきちんとした制服を着ていますね。今はきれいめなファッションが主流なので、あまり崩さずに着る子が多いんですよ。
——時代の流行に合わせて制服を取り扱っているわけですね。
早川さん: もちろんです。我が子をよりかっこよく、よりかわいく見せたいという親御さんの思いを受けて、流行もふまえたかっこいい制服を扱うよう心掛けています。
——ちなみに、どんな品揃えになっているんですか?
早川さん: メーカーの定番ものにこだわらずに、学生服のスタイルを見てかっこいいものをセレクトしています。細身の制服が主流になってきたときには、メーカーとコラボしてオリジナル学生服を共同開発したりもしました。学校の規定範囲内で、できるだけかっこいい学生服を作ることを目指しましたね。製品によっては利益率が低くなってしまうんですが、こだわりを持って学生服を扱うようにしてますね。
——今まで学生服を扱ってきて、印象に残っているエピソードはありますか?
早川さん:中学校に入学する男の子とそのお母さんが学生服を買いにきたんです。お母さんにしてみれば初めて中学校に上げる子どもだったようです。仕上げを見てもらうためにフィッティングルームのカーテンを開けた瞬間、中にいた学生服姿の我が子を見て、お母さん、泣き出しちゃったんです。今まで苦労して育ててきた子の大人びた姿を見て、思わず感極まってしまったんでしょうね。その様子を見て私も胸に迫るものがありました。中学校進学っていうのは、子育ての中でもひとつのターニングポイントになる出来事だと思うんです。そのお手伝いができるのはうれしいことですし、人に感動を与えることができるのは誇りを持てる仕事だと思いましたね。
——そう考えると学生服って、ひとつ大人になるための重要なステップって気がしますね。
早川さん:今の子どもの中には、ズボンのベルトやワイシャツのボタンが初めてっていう子も多いんです。女の子の中にはスカートが初めてっていう子さえいます。そういう子たちが学生服を着ることで、社会に出るための身だしなみを覚えることができるんです。
——なるほど。そういう意味でも大人へのステップになるわけですね。学生服を扱う際に気をつけていることってありますか?
早川さん:中学生の学生服は採寸が難しいんです。成長が早い時期ですから、学生服を大きめに準備したりするんですけど、大きければいいものじゃないと思うんです。学生服が身体に合うまでの間、大きめに着ていてもかっこよく見える学生服をお奨めしてます。うちは紳士服をやっていた頃の工房がまだ残っているので、いろんなお直しに対応することもできるんですよ
——今は特にどんなことに力を入れているんですか?
早川さん:もともと紳士服店だったので、以前は男子用の学生服しかなかったんです。でも最近は女子用の学生服にも力を入れてるんです。ブティック感覚で好きな形を選べるように、4種類の学生服をご用意しています。ひとつの店で4種類の制服を扱っているのは珍しいと思いますよ。ちなみに男子用の学生服も、新潟県内で一番種類が多いんです。
——これから入学シーズンを迎えて、だんだん忙しくなりますね。
早川さん:我が子にかっこいい制服、かわいい制服を着せたい親御さんにはぜひ来てほしいですね。スタッフ全員知識が豊富ですので、きっとご希望に応えられると思います。
親子にとって大切な制服選び。そのサポートをしてきた早川さんから、学生服に対するこだわりをいろいろとお聞きすることができました。今年中学に進学するお子さんがいる方は、ぜひ、「バロンハヤカワ」で素敵な学生服を作ってみてはいかがでしょうか。
バロンハヤカワ
〒951-8067 新潟県新潟市中央区本町通6番町1104
025-229-3185
10:30-19:00
水曜休