毎日の暮らしで使い続ける家具だから、多少値段は張っても長く快適に使えるものを選びたいですよね。そんな家具にこだわって販売しているのが、新潟市秋葉区にある「インテリアショップ ボー・デコール」です。上質なインテリアに囲まれた心地よい空間で、インテリアコーディネーターの中野さんにインテリアについての強いこだわりを聞いてきました。
BDコーポレーション株式会社
中野 里美 Satomi Nakano
1984年阿賀野市生まれ。アパレルショップで働きながらインテリアコーディネーターの資格を取得。デザイン事務所を経て、2010年に「インテリアショップ ボー・デコール」に就職。趣味は多いが飽きやすく、現在は読書にハマっている。
——ずいぶんたくさんの家具やインテリア雑貨がありますね。どれがお部屋に合うか考えると迷っちゃいそうです(笑)
中野さん:そうですよね。私もインテリアコーディネーターの知識や今までの経験はあるものの、いまだにお客様と一緒に悩んでいます。
——インテリアコーディネーターの資格は、いつ取得されたんですか?
中野さん:アパレルショップで働いていた頃です。何か資格を取りたかったので、同じビルにあったヒューマンアカデミーで相談してみたら、「絵を描くことが好き」「接客の仕事をしたい」という条件からインテリアコーディネーターの資格を薦めていただきました。そこでアパレルショップの仕事をやりながらインテリアコーディネーターの勉強をして、3年かかって資格を取得したんですよ。
——働きながら勉強するのって大変ですよね。では「インテリアショップ ボー・デコール」で働くことになったいきさつを教えてください。
中野さん:インテリアコーディネーターの資格を生かせる仕事をしたいと思って、東京にあるインテリアショップの求人募集に応募したんです。でもお返事をいただくまでに時間がかかったので、新潟市のハローワークでも求人情報を探していたんですよ。そのときに見つけた「ボー・デコール」の面接を受けたら、すぐに採用が決まってしまったんです(笑)
——資格を取ったとはいえ、実際にインテリアの仕事をするのは初めてだったんですよね。最初は大変だったんじゃないですか?
中野さん:最初は失敗もありましたね。ご夫婦にテーブルセットをお買い上げいただいたんですけど、私がお薦めしたテーブルとイスの高さがお客様の暮らし方に合っていなかったんですよ。お客様は喜んでくださったものの、ご自身で高さを調節して使ってくださっていることを知って、大変申し訳なく思いました。
——そんな失敗も経験しているんですね。
中野さん:上質な家具になれば価格もそれなりですし、気軽に買えるものではないんです。お客様のなかには「一生に一度のお買い物」という思い入れで購入される方もいらっしゃいます。そのお客様に残念な思いをさせてしまったことが申し訳なかったし、自分の力不足を感じて悔しかったんですよ。それからは、ひとつの家具を販売するにも責任を持って、お客様の暮らしを考えてご提案するようになりましたね。
——なるほど。失敗の経験をその後のお仕事に生かしているんですね。商品販売の他には、どんなお仕事をされているんですか?
中野さん:商品の選定から仕入れまで携わっています。あと、3年前からはオンラインショップにも関わっているんですよ。
——「ボー・デコール」では、どんな思いでインテリアを提案しているんですか?
中野さん:高級さやデザインだけで選ぶのではなく、「造り」「健康」「環境」にこだわった上質なインテリアのご提案をしています。
——「上質なインテリア」というのは、どんなものなんでしょう?
中野さん:見た目のかっこよさよりも、しっかりした質の良い材料を使ったものです。木だったら木目の美しさや手触りの良さ、経年で変化する色合いに質の良さが表れますね。リネンのカーテンにも、ポリエステル素材にはない上品な光の漏れ具合が感じられます。
——材料が変わるだけで、インテリアの雰囲気もガラッと変わるんですね。
中野さん:そうなんですよ。それから健康に対しても配慮しています。今から20年以上前に新入学のお子さんが使う机を探しにきたお母さんから「アレルギーの子どもでも使える机がないか」と相談されたことから、塗装材や接着剤に健康を損なう恐れのある有機化合物が含まれていることがあると知りました。それ以来「ボー・デコール」では健康に配慮したインテリアのご提案を心がけています。
——日常生活のなかにあるものだから、健康的なものを使いたいですよね。ところで、お店が力を入れているインテリアってあるんですか?
中野さん:絨毯ですね。特にイランの遊牧民が羊毛を草木染めして手織りした「アートギャッベ®」には力を入れています。その他に「ハグみじゅうたん」っていうオリジナルの絨毯も作っているんですよ。
——オリジナル絨毯まで作っちゃってるんですか?
中野さん:長年「アートギャッベ®」を扱ってきたなかで、お客様から「もっと日本の生活空間に合うシンプルなデザインの絨毯がほしい」「子どもにも安心して使わせることができる自然素材の絨毯がほしい」という声も多く聞かれたんです。そこで世界各国の展示会を見て回ったんですけど、なかなか探しているような絨毯には巡り会えなかったので、自分たちで作ることになったんですよ。
——「ハグみじゅうたん」には、どんな特徴があるんですか?
中野さん:上質なウールを使って日本の暮らしに合うようデザインされたもので、「造り」にこだわり「健康」「環境」に配慮した、「ボー・デコール」のコンセプトに沿って作られている絨毯なんです。
——へぇ〜、それは日本国内で作られているんでしょうか。
中野さん:南アジアの様々な工房で作られています。最初は私たちが求めるクオリティや日本の文化をなかなか理解してもらえず、指示とは違ったものができてくるようなこともあって、担当スタッフは大変苦労したそうです。一年に何度も現地へ足を運んでは指導や検査を繰り返して、ようやく日本の暮らしでも安心して使える品質になりました。
——絨毯の他にも力を入れている商品はありますか?
中野さん:国産材を使ったカウンターやテーブルにも力を入れています。海外産の木材を使った家具が圧倒的に多いなかで、「ボー・デコール」では7年前から国産材を使った家具に取り組んできました。
——かなり前から取り組んできたんですね。
中野さん:私たちは木を使った製品を扱っているのにもかかわらず、木が育つ工程については何も知らなかったんですよ。そこで農林公社さんに相談をして、杉林を育てる体験をさせていただいているんです。実際に木が育つ過程を見ることができて、木に対しての愛情が以前にも増して強くなりましたね。商品に使われている木についての説明にも、自然と熱が入るようになりました。
——中野さんが思うインテリアの魅力を教えてください。
中野さん:インテリアには暮らしを豊かに変える力があると思います。私は30歳を迎えた記念に手織り絨毯を買ったんです。それを敷いてみたところ、今まで生活してきた部屋がかっこよくお洒落に変わったんです。置いてあった安いカラーボックスやプラスチック製のゴミ箱がかっこ悪く見えちゃって、木やリネンを使った家具に買い替えました。
——その気持ち、なんとなくわかる気がします(笑)
中野さん:よく行く店や目がいく家具も変わったし、人間関係まで大きく変わって、最終的にはマンションに引っ越しました(笑)
——生活どころか人間関係まで変化しちゃうんですね(笑)。インテリアのなかでも、中野さんが個人的に好きなものをお聞きしていいですか?
中野さん:イスは奥深いと思いますね。体格や座る頻度、用途などに合わせて、その方に最適なイスをお薦めするようにしているんです。私たちのご提案を参考にしていただいた上で、ご自分にあったものを選んでいただきたいので、ブランドやメーカーではなく、そのイスの特徴をお伝えするように心がけています。
——ブランドにこだわらず、自分に合ったものを選んでほしいということですね。最後に今後やってみたいことがあったら教えてください。
中野さん:まずはオンラインショップを使って、より多くの方々に「ボー・デコール」の商品の魅力を伝えていきたいですね。家具やインテリアの良さを写真と文章だけで伝えるのはとても難しいですけど、工夫するやりがいを感じています。
——確かに実際に触れることができない分、魅力を伝えるのは難しそうですね。他にもやってみたいことはありますか?
中野さん:国産材のなかでも新潟県産の木材を使った、オリジナル家具にも挑戦していきたいですね。それから個人だけじゃなく、企業に向けて自然素材の家具や絨毯、カーテンのご提案をしていきたいです。よく行くレストランやお店が心地よいもので溢れたら嬉しいですもんね。
インテリアショップ ボー・デコール
新潟市秋葉区新津4462-3
0250-21-3939
10:30-18:00
水曜休