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景色もご馳走。「台所 micchi」でお腹も心も、満たされるひとときを。

妙高と聞くと、スキーをイメージされる方も多いと思いますが、冬だけではなく夏も、観光や遊びにぴったりな場所がたくさんあります。そんな妙高に、今年「台所 micchi」という新しいお店がオープンしました。豊かな自然を眺めながら、美味しいお菓子や料理を楽しむことができます。このお店のオーナーの竹田さんに、お店をはじめたきかっけや、お店のこと、竹田さんの思いなど、いろいろ聞いてきました。

 

 

台所micchi

竹田 ゆきな Yukina Takeda

1996年妙高市(妙高高原)出身。幼少期の「おままごと」をきっかけに、料理に興味を持ちはじめる。キャリアウーマンに憧れ大学に進学するも、飲食店でのアルバイトを通じて、食べること、料理をすることへの楽しさに再び気づく。その後は様々な職種で働きながら、食べ歩きや調理の経験を積む。飲食店で働いたあと、地元である妙高で「台所 micchi」をオープンし、日々奮闘中。

小さい頃から、料理が好きだった。

――竹田さんが、料理に興味を持ったきっかけを教えてください。

竹田さん:小さい頃、母の実家で営んでいた旅館の台所が、いちばん好きな遊び場だったんです。一丁前にエプロンをつけて、踏み台に登って、大人と同じ作業台で料理の真似ごとをしていました。私はこっちの「おままごと」のほうが、遊びでやるものより楽しかったんです。誕生日プレゼントに、子ども用の切れない包丁じゃなくて、大人用の包丁をねだったこともありましたね。

 

――大人の真似をする「おままごと」がきっかけだったんですね。

竹田さん:石川の大学に入ってから、友達に勉強を教えてもらう代わりに料理を振る舞っていたんです。そのとき料理にすごくハマりましたね。大学時代は飲食店でアルバイトをしていて、調理もさせてもらえていました。

 

 

――その後も、飲食店で働かれていたのでしょうか?

竹田さん:いえ、卒業後は石川でサービス業をはじめ、いろんな職業を経験しました。その頃ちょうどコロナが流行って、妙高に戻ってきたんです。そこで、ウィンタースポーツ用品をオンラインで販売する会社を立ち上げました。でも、モヤモヤすることがあって、やめちゃったんです。

 

――どんなモヤモヤがあったのでしょうか。

竹田さん:オンラインで販売しているので、私が寝ている間に商品が売れることがあるんですよ。お客さんがどうして買ってくれたのかわからなくて、モヤモヤしましたね。そのとき対面してものを売ることのありがたさに気づいて、やっぱり飲食に関わりたいなと思うようになったんです。

 

――ふむふむ。

竹田さん:当時はまだコロナ禍で、自分の時間を持つことができたんです。「今ならまだ間に合う!」と思って再び石川の飲食店で働くことにしたんです。調理師免許をもっていなくて、経験も浅かったんですが、なんとか私の思いを伝えて、調理や接客をさせてもらいました。その後、調理師免許も取得しました。

 

 

――ずっと気になっていたのですが、竹田さんが石川にこだわっているのって、何か理由があるのでしょうか?

竹田さん:ただ単純に、石川が好きなんです。高校生のとき、大学のオープンキャンパスで石川に行って、そのとき見た町並みに一目惚れしちゃったんです(笑)。それ以来、ずっと石川が好きで、妙高に帰ってくるつもりはなかったんです。

 

――それがどうして、妙高にお店を出すことになったのでしょう。

竹田さん:妙高によく帰ってくるようになったんです。日々の生活で辛さを感じたときに、妙高の豊かな自然を見て、救われていたんです。そのときに「こんなにいい場所で生まれ育ったんだ」って気づいて、お店をここではじめようと決めました。私なりに妙高の魅力を伝えて、ちょっとでも恩返しができたらなって。

 

手に届くもので、美味しい料理を。

――店内からは山や田んぼが見えて、妙高の自然を思いっきり感じることができますね。

竹田さん:ここは親戚の持ち家だったんです。たまたま見に行ったときに、ここでお店をやっているイメージがすごく湧いてきたんです。入口の扉やタンスは、もとからこの家にあったものを使っていて、大きな窓を壁につけて、外をよく眺められるようにしました。ここから見える景色もご馳走だと、私は思っているんです。

 

――景色もご馳走、ですか。

竹田さん: せっかくここまで足を運んで来てくれたなら、料理を待っている間に景色を楽しんでほしいんです。窓から見える自然を眺めて、目から満たされてほしいなと思っていて。この思いは店名にも通じるものがあるんです。

 

――どんな思いか、教えてください。

竹田さん:「台所micchi」の「micchi」は母のあだ名からつけたんです。母の名前である「みちる」と「満ちる」をかけて、ここに来てくれたお客さんが料理や会話、景色を通して心が満たされてほしいという思いを込めています。

 

 

――こちらではどんな料理が楽しめるのでしょうか。

竹田さん:ランチプレートやケーキ、焼き菓子をお楽しみいただけます。洋風ではあるけどジャンルレスな料理をつくっています。今までの経験を活かしたものや、私がつくりたいもの、お家の料理の参考になるような家庭的なものが多いですね。

 

――竹田さんが料理をするなかで大切にしていることはなんですか?

竹田さん:自分が楽しく調理ができることと、食べて美味しいと思う料理をつくることですね。自分の「楽しい!」という気持ちは最高の調味料だと思うので。あとは、自分の手の届く範囲の食材で、美味しい料理をつくることも心がけています。だから、ここのメニューは仕入れ次第でかわるんですよ。

 

 

――デザートは種類が結構あって、迷っちゃいますね。

竹田さん:そうですね。毎週来てくださる方や、複数人で来てくださる方にも楽しんでもらえるように、常時4種類ご用意しています。その日分のお菓子が終わっちゃっても、新しいデザートをつくったりして、臨機応変に対応していますね。

 

――ドリンクは、どんなものがあるのでしょうか?

竹田さん:コーヒーや紅茶、ノンアルコールのシロップを使った飲み物があります。どれも私が美味しいと思ったもので、コーヒーは石川のロースターさんから、紅茶は高知から取り寄せたものをご用意しています。あとは、日本酒やワインなど、お酒も楽しんでもらえますよ。

 

誰かの「やってみたい」の、背中を押したい。

――「台所micchi」のオープンから半年ほどが経ちました。

竹田さん:この建物を見たとき、お店のイメージが湧いたとはいえ、「こんなに広くて大丈夫かな」って不安はあったんです。でも半年経ってディスプレイが増えて、お客さんに来てもらえていることで、この場所にお店が馴染んで行っていると思えるんです。まだ半年ですけど、お店を開けてよかったなと思っています。

 

――竹田さんの今後の目標を教えてください。

竹田さん:これからやってみたいことはいっぱいあるんです。でもまず、1年目は日々の営業に集中して、2年目からいろいろやっていきたいです。ここは音の響きがとてもいいので、小さな演奏会とか。 あと、自分の好きなことで周りと関わりを持てて、やりがいを感じてもらえる場所にしたいと思っていて。

 

――やりがいを感じてもらえる場所。もっと詳しく聞きたいです。

竹田さん:仕事や家庭のこともあって、自分のやりたいことをできる余裕がない方が多い気がしているんです、特に女性は。働きながら、自分の好きなことで社会と関われたら、その方のやりがいにつながるんじゃないかなって。そのきっかけになれるように、今ここではハンドメイド作家さんの作品を委託販売しているんです。

 

 

――ここに来るお客さんの目に留まれば、やりがいにつながるきっかけになると。

竹田さん:委託販売の他にも、今後は、編み物や絵などのワークショップもやってみたいですね。同じ女性として、やりたいことを応援できたら嬉しいですね。来てくださる方の心が満たされる、豊かな時間を過ごしてもらえるように、これからも続けていこうと思います。

 

 

台所micchi

新潟県妙高市杉野沢2054-2

金: 14:00-18:00

土日月: 11:00-18:00

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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