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僕らの工場。#30 高品質できめ細やかなものづくり「越後ふとん」。

  • 僕らの工場。 | 2022.03.27

明治元年創業の寝具専業メーカー「越後ふとん株式会社」。日本製の高品質な寝具づくりをしながら、今は新しい市場に向けた人材の育成にも力を入れています。今回は、工場で羽毛チームのサブリーダーを任されている佐藤さんに、モノづくりに対する向き合い方などいろいろお聞きしてきました。

 

越後ふとん株式会社

佐藤 幸子 Sachiko Sato

1964年新発田市生まれ。羽毛チームのサブリーダー。身体を動かすことが好きで、趣味は定年後も続けられるようにとゴルフを始める。

 

実家の縫製工場で20年働き、培った技術。

――まず、佐藤さんが入社された当時のことを教えてください。

佐藤さん:元々は実家が家業として新発田市で縫製工場をやっていて、そこで20年近く働いていました。でもそれが下火になってきたときに、親が「まだ転職できるうちに他の仕事を探した方がいい」って言ってくれたんです。でも縫製の仕事一筋で20年も働いてきていたので、そのときは「いったい何をやったらいいんだろう」って悩みました。

 

――転職活動をすることになるわけですね。

佐藤さん:まずは派遣会社に登録しました。そしたらちょうど縫製の経験がある人を探している会社を紹介されて、それが今の会社でした。見学をしに行って、その次の日からさっそく勤めることになりました(笑)。最初の2年半くらいは派遣でお世話になったんですけど、当時の主任さんから社員にならないかと声をかけていただいて、私もそろそろ慣れてきたし、仕事も自分に合っていたので頑張ってみようと思って社員にしてもらったんです。それが今から約14年前になります。

 

――工場ではどんなお仕事を担当されていたんですか?

佐藤さん:エステル掛けふとんに機械でキルトをかけるんですけど、布団は生地が大きくて機械にセットするのにひとりではできないので、その助手をしました。ひとつの仕事ができるようになると、次のステップに進むようなかたちで、そこからいろいろと経験していきました。

 

 

――縫製工場にいたときとは違うと感じたことはありますか?

佐藤さん:もともとは制服やブランドの洋服を縫っていたんですけど、洋服はひと目は何センチにそろえるとか、ひと針ひと針がすごい細かかったんです。でも布団は大きいから目数も多かったりとか大きさによっても全然違うんだなと思いました。ミシンとか機械も大きいし、出来上がりももちろん大きいですしね。

 

――新しいことを始める不安はなかったですか?

佐藤さん:新しいことを始めるっていうことに対しては不安でした。でも今までの経験が活かせることもあるなと思っていましたし、基本はミシンなので、それに関しては使い慣れていたので、そういう面に関しては不安はなかったです。

 

――布団を作るのにはどのくらいの工程があるんですか?

佐藤さん:敷布団一枚作るにしても、最初は中の綿を出すところから始まり、その綿を生地に挟んでミシンでキルトをかけて周りを「ヘムがけ(ふち取り)」というステッチをミシンで縫って1枚の布団が出来上がります。

 

たくさん練習をして、数をこなした分だけ上達する。

――苦労した部分はどんなところですか?

佐藤さん:羽毛布団は4隅のカーブを同じようにかけないといけないんです。機械が補助はしてくれるんですけどやっぱり手加減も重要になってくるんですね。ミシンは5台あったんですけど全部違うので、それぞれの手加減で仕上りが変わってしまうんです。でも長くやっていて熟練している人は4隅が綺麗に同じカーブでかけることができていたんです。このカーブを同じように作れるようになるまでには結構かかりました。

 

 

――4隅で同じカーブを作らないと製品として販売できないんですか?

佐藤さん:半径9cm11cmの長さの曲線(アール)ぐらいが許容範囲になるので、その中であれば商品として販売はできるんですけど、その中でも綺麗にできる人っていうのは本当に綺麗にそろえて縫っていました。右カーブと左カーブでも全然感覚が違うようになるので難しいんですよ。

 

――じゃあ、けっこう練習したわけですね。

佐藤さん:練習はたくさんやらせてもらえる環境でした。先輩社員の方が見てくれて、「このくらいできれば次に進んでもいいんじゃないか」って判断してくれるんです。やっぱり数をこなすとだんだん上手になっていきます。

 

――この仕事の面白さっていうのはどういうところですか?

佐藤さん:やっぱり仕上りが綺麗にできたときに得られる達成感ですね。上手な人が作業しているのを見ていると一見すごく簡単そうなんですけど、実際に自分がやってみると本当に難しかったですね。でも私も実家の縫製工場でミシンを20年近く使ってきたっていうのもあったので、「たぶん、続けていればできるようになるな」っていう気持ちはありました。だから前向きに挑戦し続けられました。

 

お客様の要望を商品開発に反映できる自社工場が強み。

――「越後ふとん」ならではの強みっていうのはどんなところですか?

佐藤さん:手作りで自社工場もあるので、お客様の要望を商品に反映しやすいっていうところです。営業さんや商品開発の人が実際に聞いてきたお客様の声を、今度は現場に伝えてじゃあ作ってみようかってなるんです。基本的にはなんでも対応できちゃうんですね。

 

――じゃあ商品開発の部署が別にあるような感じですか?

佐藤さん:同じ工場で作ることになるので、既存ラインとは日程を変えて作っています。なので実際に現場で作業する人も既存ラインを任されている人と同じです。通常ラインがある中で、「この日は半日試作品を作る時間にあてましょう」みたいな感じで、時間を作りながら開発しています。

 

――既存ラインの作業に加えて商品開発ですか。現場はとても忙しくなりそうですね。

佐藤さん:新しいものを作るっていうのは手間も時間もかかります。トライ&エラーを繰り返してやっと新商品ができるので根気も必要です。でも私はやらないうちから「できない」って言うのは嫌なので、「とりあえずやってみよう」って精神でやっています。できなかったらできなかったときにまた考えればいいだけですし。できないっていうのは簡単なんですけど、「まずやってみよう」っていう姿勢が大事だと思っています。

 

 

――すごい。佐藤さんのその強い気持ちのベースはいつからあるんですか?

佐藤さん:昔から負けず嫌いな性格もあるんですけど、一番最初に入ったときに主任だった方が「とりあえずやってみようよ」って前向きに部下をまとめてくださる人だったんですね。その人の影響がおおきかったと思いますね。すごくみんなからも信頼されていて上手にまとめてくださるんです。

 

――その方のスピリットを受け継いでいるわけですね。

佐藤さん:今は自分がだんだん上の立場になってきているんですが、やっぱりその方はすごかったなって改めて感じさせられますね。立場が近くなったからこそ分かるすごさみたいなのを感じています。そういうふうになりたいなと思っていますけど、なかなか難しいです(笑)

 

――新商品はどのくらいの頻度で企画開発されるんですか?

佐藤さん:毎年のように新しいアイデアを製品化していますね。商品企画担当の方で、現場にも頻繁に顔を出してくださる方もいます。そうすると一緒に作っている感がでますよね。

 

――商品開発で心に残っているエピソードなどありますか?

佐藤さん:最近だとベッド用の羽毛布団を作ったことですね。普通の布団にステッチを二本入れて、ベッドの縁からちょうど垂れ下がるように作るんです。それを商品企画として提案してくださった方のこだわりがすごくて印象に残っています。その方はステッチの幅を6mmでも8mmでもなく、7mmにしたいってことだったんです。3種類全部やってみたんですけど、やっぱり6mmでも8mmでもなく7mmがいいってことだったんですね。この商品は最終的に製品化もされて今販売され始めています。私としても1mmの差を出すっていうのは縫製工場のときの技術が活かすことができたし、こういう細かい要望に対応できて良かったと思っています。

 

 

――そのこだわりを現場と一緒になって作りあげるのはすごいですね。

佐藤さん:そうですね。企画した方がまず現場に入って、出来上がったものに対してすぐ指示を出してくださったのでスムーズに作業を行うことができました。そうすると現場側も一緒に商品開発に携われているような感覚になってモチベーションも続きます。こだわりをもって働いている人も自分たちが長く働いてきた自信もあるし、そういう人たちが切磋琢磨して良い商品が出来ていると思います。

 

――今後の目標は?

佐藤さん:中堅と言われるポジションではあるけど、あと2年で退職なんですよ。あと2年でできることってなんだろうって考えると、今ある技術を新しく入ってきた人たちに伝えられれば良いなと思っています。「できないって言う前にまずやろう」っていう気持ちの部分ももちろん伝えていきたいと思っています。

 

 

越後ふとん株式会社

0254-20-7955

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