季節の美味しいものを使ったアニバーサリーケーキを作る「Eri Mizusaki」。
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2022.10.17
スイーツアーティストの「Eri Mizusaki」こと水崎絵理さん。新潟地粉を使った焼菓子のお店「nid」に所属し、予約制でアニバーサリーケーキを作られています。今回はケーキ作りへのこだわりや、水崎さんがお仕事をする上で大切にされていることについてお話を聞いてきました。


スイーツアーティスト
水崎 絵理 Eri Mizusaki
1981年新潟市生まれ。東京で製菓の専門学校を卒業後、関東のいろいろなケーキ屋さんで経験を積む。2020年に「nid」がオープンするタイミングで「焼き菓子製造・接客」担当として入る。昨年4月からはアニバーサリーケーキを担当。自然の中でぼーっとすることが好き。
四季を感じられるアニバーサリーケーキ。
――水崎さんは「nid」さんに入られる以前から製菓のお仕事をされていたんですよね。お菓子作りは昔から好きだったんですか?
水崎さん:小さい頃から「ケーキ屋さんになる!」って絵を描いたりしていましたね。そのために商業高校に行って、東京にある製菓の専門学校に行きました。卒業してからも関東のケーキ屋さんでずっと修業をしていました。
――どれくらいの期間、修業されていたんですか?
水崎さん:20代のあいだずっとですね。それから出産を機に職場を離れて、自宅でやろうと思って開業したんです。だけどコロナ禍になったのと家庭環境が変わったこともあって活動を休止して、「どうしようかな」って思ったときに「nid」の求人を知りました。「焼き菓子製造・接客」の担当として入らせてもらいました。
――それからケーキを担当されるようになったのはどんなきっかけで?
水崎さん:個人で活動していたときに、バースデーケーキを作っていた期間が3年くらいあったんですよ。「nid」に入ってからもお客様から「ケーキは作らないんですか」ってお声をいただいたので、オーナーに相談して、去年の4月から作らせていただけることになりました。

――水崎さんが作るケーキって一目見ただけですごくときめくというか、素敵ですよね。デザインで意識されていることはありますか?
水崎さん:「こんな感じでやりたい」っていう直感ですね。自分がやりたいように表現してみたら共感してくださるお客様が多くって、それが自信につながりました。自分がときめくものを作って伝えていけば、伝わる人には伝わるんだなって。
――その月に出すケーキは旬のものを使うようにされているんでしょうか。
水崎さん:そうですね。アニバーサリーケーキって、だいたいイチゴが乗っているイメージじゃないですか。でもイチゴっていちばんおいしい時期に食べたほうがいいし、手に入りにくいっていうのもあって……。そのときの旬のものを使ったほうが四季を感じられて「生きてるな~」って感じがしませんか?(笑)
――分かります(笑)
水崎さん:今も仕込みで栗の渋皮煮を作っているんですけど、そういう工程も好きなんですよね。
――味の面でもこだわっていることがあれば教えてください。
水崎さん:「てんさい糖」っていう、お野菜を使って作られているお砂糖を使っているので、甘さが控えめなんです。注文された方が「いつもはケーキを食べてくれない旦那さんが食べてくれた、一緒に同じものを食べられて嬉しかった」って言ってくださったこともあります。甘すぎないように作って、使っているフルーツのよさが生きるようにしています。
――普段ケーキを食べない方でも楽しめるって、嬉しいですね。
水崎さん:あと私自身、のどごしのいいケーキが好きなので、「柔らかいケーキだね」「すごく食べやすいからカロリーゼロだね」とも言われますね(笑)

お菓子作りで人の役に立つために、まずは自分のことを大切にする。
――水崎さんはどんなときに「お菓子作りが好きだな~」って思いますか?
水崎さん:お菓子って完璧なものなんですよね。お料理を作るときは後でお水を足したりお塩を足したりできるんですけど、お菓子作りってグラム単位の調理じゃないですか。正確に計量して、温度とかも気にしながら順番に混ぜ合わせて、最終的に自分が食べたかった味になってくれたってときの「あ~よかった」っていうときですよね。
――確かに、お菓子作りってひとつ失敗したら取り返しがつかなくなっちゃいますもんね。
水崎さん:それだけに、出来上がったケーキってめっちゃかわいいんですよ。いのちが宿るっていうんですかね。毎回写真を撮るんですけど「きれいだね~」「かわいいわ~」って言いながら撮っています(笑)
――愛着が湧きますよね。自分の子どもみたいな感じですか?
水崎さん:子どもっていうより……分身みたいな感じですね。それを食べてもらえると、かたちはなくなっちゃうけどその方の記憶に浸透していくっていう、そこがまたいいなって。「儚い美しさだな」って、作るたびにときめいています。

――水崎さんがお仕事をする上で大切にされていることはありますか?
水崎さん:職人気質なんですよね。職人って目の前のことに夢中になっちゃうじゃないですか。そうなりすぎずに「ゆるふわでいこう」って思っています。ちゃんと思いを込めるところは込めるんですけど。人間的に豊かでありたいというか。
――そう思われるようになったのには、何かきっかけがあったんでしょうか。
水崎さん:若いからっていうのもあったんですけど、修業していたときはお菓子にしか集中できなくって、日々の生活が疎かだったんですよね。休みの日はほぼ寝ているから友達とも遊べないし、親も心配する。コミュニケーションが取れないっていうか、その余裕がなかったんです。
――ふむふむ。
水崎さん:「またそうなると嫌だな」っていうのがあるから、お菓子作りのときはお菓子作りに集中する、でも自分の日常生活が疎かになるまでしないって決めています。お菓子作りで人の役に立っていても、家庭がボロボロとか、自分のことが二の次なのはなんか違うし、そんな人生は喜べないと思うんですね。仕事も自分もどっちも大事なんですけど、まずは自分が豊かであることを大事にしています。

独立と新しいお菓子の開拓がこれからの目標。
――実は独立に向けて準備中だとお聞きしましたが……。
水崎さん:おかげさまでありがたいことに、毎月たくさんのお客様からケーキのご予約をいただけるようになりました。1日に製作できる数が限られてしまうので、お断りさせていただくこともあるんです。そういったお客様にも定期的にケーキをご提供できる場があればいいなと思って。近いうちに自分のお店を持てたらいいなと考えています。「nid」もすごく大切な場所なので、姉妹店みたいなお菓子のやりとりとかもできたらいいですね。

――お菓子作りの面で今後チャレンジしていきたいことはありますか?
水崎さん:最近はスパイスとか、お料理の素材とお菓子の融合に興味が出てきたんです。お菓子の分野にいると、お菓子だけの狭い組み合わせになりがちなんですけど、こちらで働かせてもらうようになってから、隣に「ピアット ジョルニ」さんがある影響で、世界が広がった感じがします。「こんな組み合わせあるんだ」って。
――例えばどんな組み合わせが?
水崎さん:最近だと、さつまいものモンブランの試作品を「ジョルニ」のシェフに食べていただいたんです。そのときに「サツマイモとコリアンダーの組み合わせって好きなんだよね」ってぼそっと言っていて、「さすが!」って(笑)。そういう発見は面白いし、ときめきますよ。
――お菓子で表現できることがどんどん増えていきそうですね。
水崎さん:あとは、米粉のお菓子に取り組んでいきたいです。ずっと米粉菓子に苦手意識があって避けていたんですけど、「美味しい」と思える米粉のお菓子に出会えて。来月勉強する機会をいただけたので、しっかり材料と向き合っていきたいです。米粉100%は難しくても、新潟米粉をブレンドして、自分が美味しいと思えるお菓子を作れたら最高ですね。

Eri Mizusaki
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