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子どもたちの第三の居場所をつくる、フリーランス保育士「なっちゃん」。

「急な予定で子どもの預け先がない」「数時間だけ誰かに子どもを見てほしい」……。そんなときに駆けつけてくれる頼もしい味方が、フリーランス保育士の「なっちゃん」。なっちゃんは、親とも先生とも違う、近所のお姉さんのように子どもたちに寄り添う支援を行っています。多忙な現代の親にとっての救世主ともいえる「なっちゃん」に、子ども園との違いやフリーランスになった経緯などを詳しく聞いてきました。

 

フリーランス保育士

中村 夏実 Natsumi Nakamura

1994年生まれ、新潟市東区出身。短期大学を卒業後、新潟市内の子ども園で8年間勤務。2018年に映画上映イベントの託児スペースを任される。2019年にチャイルドマインダーの資格を取得し、2024年にフリーランス保育士として本格的に活動開始。趣味はラジオを聴くことで、「コテンラジオ」にハマり中。

映画上映イベントの託児スペースでの経験が、新しい第一歩のきっかけに。

――フリーランスの保育士さんにはじめてお会いするのですが、ベビーシッターのようなイメージで合っていますか?

中村さん:イメージは近いです。違いとしては、ベビーシッターには法律で定められている資格がありません。保育士は国家資格が必要で、0歳児から保育に携わることが可能です。また、私は幼稚園教諭の資格もあるため満3歳児以上の子どもに対する保育・学びのサポートもできます。幅広い年齢の子に対応できるのが、私個人の特徴ですね。

 

 

――中村さんは、どのようなきっかけでフリーランスになったのでしょうか?

中村さん:2018年にゲストハウスで行なわれた映画上映イベントで、託児スペースを任されたことがきっかけでした。子ども園とは違った子どもたちの様子に興味を持って、園以外で親子のサポートをしたいと考えるようになったんです。

 

――そのときの子どもたちは、どんな様子だったのですか?

中村さん:すごく楽しそうに見えました。託児スペースに来た子たちは年齢がバラバラで、通っている園も住んでいるところも違いました。園だとみんなで足並みを揃えないといけないけど、その場では子どもたちが各々やりたいことをサポートできて、のびのびと過ごしている子どもたちの姿が印象的でした。

 

 

――子どもたち一人ひとりにゆっくり時間を使えたのがよかったのでしょうか?

中村さん:そうですね。それぞれの個性や発達段階に注視できる時間がとれていたのだと思います。もちろん、園で育まれる協調性や集団のなかでしか得られない達成感などはたくさんありますが、私自身そのときに感じたのは、子どもたちの自由を尊重した関わり方がしたいということでした。その関わり方を実現するには、何が必要かを調べるようになったんです。

 

一時期は、外に出られないくらい落ち込んだことも。

――フリーランス保育士として独立するまでに、特に大変だったことを教えてください。

中村さん:燃え尽き症候群というか、ぼーっと天井を眺めるだけで一日を終えてしまう状態になったことですね。

 

――え……何があったんですか?

中村さん:勤めていた園を退職したあと「チャイルドマインダー」という資格を取って、これまでとは違う目線で保育をしたいと思っていたときでした。働き方を模索するなかで、山形県の子ども園で土地柄を活かした保育をしていることを知ったんです。そこでは山の中だけで遊ぶ日を設けていたり、園庭で育てた野菜を給食に使用したりしていて、素敵な園だなと思って連絡をしました。今までインターンの受け入れはしていなかったそうですが、一週間働かせていただけることになったんです。

 

 

――すごい、行動力がありますね。

中村さん:「理想の園を見つけた!」と、張りきっていました(笑)。インターンの後、選考に参加して2次面接までは順調に通ったんです。でも、そこで落ちてしまったんです。私はその園でなら理想の保育ができると意気込んでいたので、一気にエネルギーを失ってしまって……。何も手につかなくなりました。

 

――そうだったのですね……。どのように復活されたのでしょうか?

中村さん:とにかく社会復帰しようと思って、保育士とはまったく関係ないバイトをはじめました。でも街に出ると子どもたちが気になるんです。バスに乗り合わせた子どもたちは可愛いし、スーパーで赤ちゃんを抱っこして片手で上の子と手をつなぎながらカートを押しているお母さんをみると、手伝いたい……!みたいな。

 

――保育の現場に戻りたい、と感じられたのですね。

中村さん:だから、パートでまた別の園に入りつつ、個人で活動できる基盤をつくりたくて起業塾に通いました。そうしたら、自分の中でぐるぐる考えるだけじゃなく、アドバイスや他者のエッセンスを取り入れて、自分の特性や性格、思考のクセに向き合えて自分らしさを取り戻せました。

 

先生でも家族でもない、近所のお姉さん。

――保育士さんがフリーランスで働く上で、大変なことってなんでしょうか?

中村さん:現状では急ぎの依頼をもらったときに100%お応えができない点ですね。ひとりで動いているので、例えば1時間の枠が空いていたとしても、急なご依頼の希望地が遠方だと間に合わない場合があります。

 

――何か対策を考えていますか?

中村さん:本当にまだまだ先の話にはなりますが、チームをつくりたいと思っています。保育士の資格を持っていたり、経験があったり、フルタイムは難しくても短時間なら動けるママさんっていらっしゃると思うんです。そういう方たちで広いエリアをカバーしてお客様の依頼に応えられる体制を整えたいですね。ただ、リピーターさんが7割いらっしゃって、今は「なっちゃん」だから依頼してくれている状態なので、私の保育への想いや姿勢に共感してくれる人が仲間になってほしいなと思っています。

 

――どのような想いで活動していらっしゃるのかお聞かせください。

中村さん:大事にしているのは「個人を尊重する」ことです。たとえば、依頼主の方を○○ちゃんのママ、○○ちゃんのパパ、とは呼ばずに名前でお呼びするようにしています。子どもたちだけではなく、ご両親や祖父母の方に対しても個人としての関わりを大切にしています。

 

 

――ほかに気をつけていることや、こだわりはありますか?

中村さん:先生っぽくならないようにしていることですね。先生でも家族でもない、近所に住んでいるお姉さんのイメージなんです。

 

――なぜ、先生ではなくお姉さんなのでしょうか?

中村さん:子どもたちに、家と学校以外の「居場所」を増やしてほしいからです。学校であった嫌な出来事を家で話せないときってありませんでしたか? 親に言ってもわかってくれないとか、恥ずかしいとか。私自身、そういうときが結構ありました。その頃、新体操のクラブチームに入っていて、そこは別の学校の友だちばかりでしたし年齢差もあって、家で話せないことも気軽に話せたんですよね。だから、家族や先生には言えないけど、「なっちゃん」になら言えるかも、みたいな。近すぎず、離れすぎない近所のお姉さんポジションでいたいなと思っています。

 

 

――最後になりますが、「なっちゃん」に依頼するにはどうすればいいですか?

中村さん:まずは公式LINEかInstagramのDMにご連絡ください。ご依頼は1時間単位でお受けできますし、新規で利用される方のためにご家族同席のお試しプランもご用意しています。「こんなケースでも頼める?」などのご相談やお見積りだけでもお問い合わせ可能なので、ぜひ気軽にご連絡ください。

 

 

 

子どもと大人の通訳士なっちゃん

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