JR関屋駅のすぐ目の前、昼どきには行列ができていた名店「関屋 福来亭」。2017年12月に関屋から移転し、新潟市西区にて新しくお店を構えました。移転の理由や、長年通い詰めた常連さんたちの反応など、2代目店主としてお店を切り盛りする山田さんにお話をうかがいました。
関屋 福来亭
山田貴史 Takashi Yamada
1972年生まれ。21歳からラーメン道へと進み、今年でラーメン一筋26年。ラーメン歴と同じくらいにスニーカーコレクター歴も長く、自他ともに認めるコレクター。最近では専門学生になった息子とのスニーカー話が楽しみのひとつ。
――本日は、よろしくお願いします。長年の歴史など、いろいろと教えてください。
山田さん:こちらこそよろしくお願いします。って、昔から通っているから知っていることも多いんじゃないの?
――メニューは詳しいですよ(笑)。関屋駅前にあった時から通っているので、ここのラーメンで育ったようなもんですよ。
山田さん:高校生くらいから来てくれているもんね(笑)。
――かれこれ10年以上になりますね!いつもお世話になっています!ってことで、「関屋 福来亭」の歴史を聞かせてもらいたいのですが。
山田さん:まず「関屋 福来亭」っていうのは、燕市にあった「福来亭」の姉妹店としてスタートしたんだよ。当時は本店を営む家族の親族が毎日ラーメンを作っていたんだ。
――そうなんですね。そうなると、お父さん(先代)はまったく関係なかったんですか?
山田さん:うちの親父は「関屋 福来亭」で働いていた従業員だったんだ。あるとき、新しい店を出すからとお店を受け継いだらしいよ。
――ちなみにオープン当初から数えると何年になりますか?
山田さん:ん~たぶん、60年以上は経っているんじゃない? 先代が受け継いでから40年くらいで、その前もあるし。
――かなりの老舗じゃないですか。なんかずっと気軽に通っていましたけど(笑)。
山田さん:まぁ昔の店を知っているからわかると思うけど、結構年季が入っていたもんね。
――確かに。でも、あの雰囲気は落ち着くし、すごく好きでしたね。山田さんはどのタイミングでラーメン道へと進んだんですか?
山田さん:21歳のときだから、今から26年前だね。当時は修業の身だから給料も少なくて、お店が終わったらガソリンスタンドでバイトしてたなぁ(笑)。
――2017年に今の場所(新潟市西区)に移転したじゃないですか。何かキッカケがあったんですか?
山田さん:元々は移転するつもりはなかったんだよね。ずっと「関屋 福来亭」のラーメンを作ってきたから。でも実は新しいラーメンを作りたかったり、駐車場が狭かったり、他にもいろんな理由があって2号店を予定していたんだ。そもそも「関屋 福来亭」って名前も自分たちで付けたわけじゃないから新しい店名にしようかとかも考えていたし。
――それで今の場所に出会ったんですか?
山田さん:そうなんだよね。駐車場も店内も広くてさ。
――それなら移転じゃなくてもよかったのでは?
山田さん:実は、この物件を契約してすぐに親父が倒れて…。親父は関屋駅前で、俺は西区で二手に分かれる予定だったのが難しくなったんだよね。それで、もう契約もしたし西区に移転することにしたんだ。
――いろいろと大変だったんですね。
山田さん:そのときも店名を変えるか悩んだんだけど、昔からの常連さんたちにダメだと言われて、ちゃんと「関屋 福来亭」の名前を残していこうと決めたんだよね。関屋にないけど(笑)。
――実際に移転してから、常連さんの反応はどうでしたか?
山田さん:正直、厨房設備が違い過ぎて味が安定しなかったから、常連さんには迷惑をかけたと思うよ。それにメニュー数も少なくなったから、それ目当ての常連さんは離れて行っちゃったかな。でも、新しい常連さんもたくさんできて、新しい「関屋 福来亭」に今ではなれたと思うよ。
――「うま煮ラーメン」「萌やしラーメン」「チャーハン」とかなくなりましたもんね。チャーハン、食べたいです!
燕三条系ラーメンといえば、太麺に背油たっぷりでしっかりとした醤油が効いているのが特徴。しかし「関屋 福来亭」のラーメンは、しっかりとした醤油より、丁寧にとった煮干しダシの方がガツンと効いて、後味スッキリな一杯です。麺は自家製麺を毎日仕込み、1日寝かせてから提供。具材の主役であるチャーシューはスープと相性がとても良く、醤油の味わいと一緒に煮干しダシの風味が鼻を抜けるうまさ。そして名脇役メンマも自家製。塩味の効いた昔ながらのメンマは、芯にシャキシャキ感がありファンが多く、「メンマらーめん」としても提供されています。
昔から変わらぬ味を提供し続けている「関屋 福来亭」。移転を機に、かつて人気だった「うま煮ラーメン」「萌やしラーメン」「チャーハン」などのメニューをやめて、「ラーメン」「メンマラーメン」「チャーシューメン」のみとなりました。以前を知る常連客から昔のメニューの復活を望む声は絶えることがないのだとか。「以前出していたメニューは、できることなら提供したいんだよね。でも、キャパ(席数)が増えて、1人で作っていたら提供が遅くなってしまうから、どうしようか、ずっと悩んでいるんだよね」と山田さんは心の内を語ってくれました。
店内には「福来亭の味を教えます」と書かれた案内がちらほらと。人手が増えればメニューは増やせるそうで、昔からの常連客のためにもどうにか提供できる体制にしたいと、ご本人もまた復活を待ち望んでいました。少しでもラーメンに、福来亭に興味のある方。親子3代にわたって通う常連客のいる老舗のラーメン店で働いてみませんか?そして、僕らにあの人気メニューを食べさせてください(笑)。
関屋 福来亭
新潟県新潟市西区小新1546-2
025-233-5938