弥彦の古民家に移転オープンした、三条の人気チーズケーキ店「gouter」。
食べる
2024.12.27
三条の人気チーズケーキ店「gouter(グテ)」が、弥彦山の麓にある古民家で移転オープン。いったい、どういういきさつがあったのでしょう。うっすらと雪化粧をした弥彦の地を訪れ、オーナーの金子さんからお話を聞いてきました。


gouter
金子 陽子 Yoko Kaneko
三条市生まれ。東京の短大を卒業し、都内の出版社で編集アシスタントを経験する。20代後半で新潟県に帰ってからは都内と横浜市のティールーム、30代前半で新潟県に戻り三条市のカフェで経験を積み、2016年に三条市内でチーズケーキ専門店「gouter」をオープン、2024年に弥彦へ移転オープンする。マティスなどのアートが好きで、美術館めぐりが趣味。
チーズケーキ専門店「gouter」がオープンするまで。
——想像していたより奥まったところにあったので、ちょっと道に迷ってしまいました(笑)
金子さん:すみません。1日に何人かは「道に迷った」という方がいらっしゃるんです。道案内をするにしても、目印になるものが集落のゴミ捨て場くらいしかないものですから……。
——私も今までいろいろな古民家を見てきましたけど、こちらは土壁になっていて「農家の古民家」って感じですね。
金子さん:こちらでお店をやることになったのはいいものの、広過ぎて持て余し気味なんです(笑)。だからチーズケーキ以外に、私の好きな雑貨も販売しています。

——金子さんは雑貨が好きなんですね。
金子さん:若い頃は雑貨のスタイリストに憧れていたんです。お気に入りのスタイリストの方にファンレターを送ったりしていました(笑)。その方の下でアシスタントをやりたかったんですけど、どうしたらいいのかわからなかったので出版社に勤めたんです。
——出版社ではどんな仕事をしていたんですか?
金子さん:編集部のアシスタントをやっていました。料理雑誌を担当していたので、料理家の先生のところへ行って撮影をする助手をしていたんです。でも20代の後半になって仕事に違和感を覚えるようになりはじめたので、気持ちの踏ん切りをつけるために海外に行くことにしたんです。
——どこに行ったんですか?
金子さん:フランスとベルギーで4ヵ月間暮らしました。生活資金の問題で短めの滞在になってしまったので、今度はもっと長く暮らすためにお金を貯めようと思って、新潟市のティールームで働きはじめたんです。体力的にはきつい仕事でしたけど、ここで学んだことは今でも役に立っていますね。
——チーズケーキづくりもそこで覚えたんでしょうか?
金子さん:その後、三条のカフェで働いているときに覚えたんです。チーズケーキをつくっていた前任者が産休に入ったので、私が引き継ぐことになりました。最初は前任者のレジピ通りにつくっていたんですけど、そのうち自分で買ってきたレシピ本に載っているチーズケーキを片っ端からつくったりして勉強したんです。

——「gouter」をオープンしたのはどうしてなんですか?
金子さん:もっとお客様を身近に感じたいと思うようになり、自分で店をはじめようと思うようになりました。雑貨店とチーズケーキ専門店で迷いましたけど、チーズケーキを選んだんです。
——そうだったんですね。
金子さん:そこからはどんどん話が進んで物件も紹介してもらったんですけど、ふたり目の子どもが生まれたこともあって一度は諦めようと思ったんです。でも、再び同じ物件の紹介が巡ってきたので、これはチーズケーキ店をやる運命なんだなと思って「gouter」をオープンしました。

三条から弥彦の古民家に、移転オープン。
——店名の「gouter」というのは、どんな意味の言葉なんですか?
金子さん:フランス語で「おやつ」という意味の言葉なんです。うちのチーズケーキで、おやつタイムのほっとするひとときを味わってほしいと思ってつけました。
——では、チーズケーキのこだわりを教えてください。
金子さん:シンプルな材料を使って、すべて手作業でつくっています。だから、どれだけ新鮮な材料を使って、丁寧につくるかで味や食感、膨らみ方がまるで変わってしまうんです。

——シンプルだからこそ難しいんでしょうね。
金子さん:慌ててつくってしまうとケーキの表情に出てしまうし、温度差でできあがりが変わってしまうので、ブレずにつくり続けるのは難しいんですよ。
——なるほど。ところで、このたび三条から弥彦へ移転したのはどうしてなんでしょう?
金子さん:三条の店は10坪くらいであまり広くなかったんです。だんだん工房が手狭になってきたこともあって、もっと広い店舗に移りたいと思っていたんですよ。そんなときに、こちらの大家さんからお声がけいただいたんです。
——まさに「渡りに舟」ですね。
金子さん:こちらの古民家がとても気に入ったんですけど、でも葛藤もありました。三条の街なかから弥彦山の麓へ移転するということで、今までのお客様が来にくくなってしまうとか、空間が広過ぎて手に余っちゃうとか……。ただ、他にもここで店をやりたいという候補者がいたので、取られたくない気持ちが勝って移転することになったんです(笑)

——こちらで店をはじめてみて、いかがですか?
金子さん:まわりの方々からは「イメージにぴったりの建物」と言っていただけたので、ちょっと安心しています。三条の店でも雑貨を置いていたんですけど見てもらえなかったので、スペースが広がった分、雑貨もゆっくり見ていただけたらと思っています。
——雑貨の並べ方や、小物やインテリアがお洒落ですよね。
金子さん:若い頃に雑貨スタイリストに憧れて、出版社で編集アシスタントをやってきたことが役に立っていると思います。ひとつひとつはバラバラの経験に思われそうですけど、今になってみると点と点がつながって線になっているように感じますね(笑)
——なるほど〜(笑)。これからは、どんなふうに営業していこうと思っていますか?
金子さん:広いスペースを生かして、イベントを開催していきたいと思っています。直近ではお花屋さんの販売会を予定しているんです。現状でカフェ営業をすることはハードルが高いので、まずはイートインスペースを考えたいですね。

gouter
西蒲原郡弥彦村麓6014
0256-78-8935
10:00-16:00
不定休
Advertisement
関連記事
食べる
誰もが美味しく飲めるコーヒーを提供したい「CAFE YADORIGI」。
2020.03.17
食べる
店舗販売も移動販売もできる、ハイブリッドな「旅空Cafe-YAHIKO-」。
2022.10.28
食べる
旬の山の幸が楽しめるアットホームなカフェ「あかたにヒュッゲ」。
2022.04.22
食べる
いろいろなバリエーションのチャーハンが楽しめる「チャーハン亭佐咲」。
2020.04.05
食べる
だしの魅力を体感できる「ON THE UMAMI TSUBAME SANJO PORT」。
2022.12.30
食べる
ギャラリー兼カフェでゆったりした時間を楽しむ「茶房・創作屋 雨霽」
2022.08.31
新しい記事
カルチャー
芸術に関わりたい人を支える、
加茂市の「アトリエ現場」
2025.12.17
食べる
季節感を大切にしたお菓子づくり。
上古町の老舗「美豆伎庵 金巻屋」
2025.12.16
その他
「整体コラボスペース リソラボ」で
やりたいことを、思いっきり。
2025.12.15
Things写真館
[Things写真館]Photo Studio またね photographer 吉田尚人 #03
PR | 2025.12.15
カルチャー
オリジナルZINEが活動の原動力。
移動本屋「いと本」
2025.12.14
カフェ
海沿いの小さな田舎町で
暮らしと人々をつなぐカフェ「絲と糸」
2025.12.13


