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コーヒーを愛する気持ちは誰にも負けない。「ホシノテラス」の星野さん。

コーヒーの素晴らしさをより多くのヒトに伝えたい。その思いと活動とは。

店を持たず、どこにも属さず、フリーランスの立場で「コーヒー」を生業としている人がいます。「HOSHINO TERRACE(ホシノテラス)」の星野さん。家業である米農家としての仕事のかたわら、コーヒーの素晴らしさを伝えるため、さまざまなイベントに参加したり、カフェオーナーを夢見る若者をバックアップしたりと、コーヒーに関わる多くの活動を行っています。なぜコーヒーに魅了されたのか、どんな想いで仕事をしているのか、たっぷりとコーヒー愛を語っていただきました。

 

HOSHINO TERRACE

星野元樹 Genki Hoshino

1983年生まれ。アメリカ発祥のカフェ「Tully’s Coffee(タリーズコーヒー)」、新潟のコーヒー卸問屋「鈴木コーヒー」などでの経験を経て、コーヒーの素晴らしさを広めるフリーランスに転身。2人の子どももコーヒー好きという、コーヒー一家の主。

 

「HOSHINO TERRACE」って?星野元樹とは何者?

――まずお聞きしたいのが、「HOSHINO TERRACE」とは何なのか、です。お店ではないんですよね?

星野さん:お店ではないのですが、場所であり、活動名でもあり。ちょっとわかりにくいですよね(笑)。

 

――はい(笑)。実際にはどういった活動をされているのですか?

星野さん:人にどうコーヒーを飲んでもらうか、コーヒーに触れてもらうかを念頭に、それを伝えるための活動をフリーランスでやっています。具体的には学校やカルチャースクールでセミナーを開催したり、イベントや依頼されたお店などでコーヒーをサーブしたり。これからカフェをはじめたいという方のフォローというかコンサルもしますし、コーヒー器具の開発を企業と一緒に行ったりもしています。とにかくコーヒーに関わること、知ってもらう活動はなんでもしていますね。

 

――活動の幅がめちゃくちゃ広そうですね。ちなみに「場所である」といっていましたが、どういった意味ですか?

星野さん:「HOSHINO TERRACE」の基地は自宅なんですよ。ここからコーヒーを発信したり、知り合った人だけを集めてちょっとしたイベントを開催したりもしています。なのでいちおう「場所」でもあるんです。たまにコーヒーが飲めると思って場所を聞かれることもありますが、カフェではないので(笑)。

 

 

――そうなんですね。SNSで拝見しましたが、農業もされているんですよね?

星野さん:そうなんです。家業として米農家を営んでいます。米って生きるために必要じゃないですか? でも、コーヒーってなくても生きていけるけど、あったら嬉しいですよね。だから「稲作で命を届けて、コーヒーで豊かさを感じてもらいたい」と思って、二つの仕事を平行してやっています。それって「HOSHINO TERRACE」にしかできないんじゃないのかなって。

 

コーヒー愛に溢れたきっかけ。これまでの経歴とは。

――ちなみに星野さんって、いつからコーヒーに目覚めたんですか?

星野さん:どっぷりコーヒーに漬かっていたわけではないんですけど、専門学校を卒業してからは飲食関係の仕事をしていたんですよ。その当時、友人と一緒に「いつかカフェをやりたいね」みたいな感じではありましたけど。

 

――漠然と「カフェしたいな~」みたいな感じだったんですね。

星野さん:そうですね。あるとき、大きな怪我をしてしまって入院したんです。何回か入退院を繰り返して…そのときに何気なく読んでいた雑誌で“バリスタ”という職業を知ったんです。コーヒーを淹れて、アートをして、お客さんをもてなしてと、めちゃくちゃエンターテイメントを感じ、バリスタになりたいと思ったのがきっかけですね。

 

――なんかドラマティックですね。

星野さん:でも退院後、どこのカフェで働くか決まっていないときに、またまた何気なく一冊の本を呼んでいたんです。

 

――もしかして、また本から出会いが生まれたんじゃ?

星野さん:そうなんですよ(笑)。「Tully’s Coffee Japan」の創設者である松田公太さんが出した「すべては一杯のコーヒーから」という本に感銘を受けて、働くなら「タリーズコーヒー」にしようと決めたんです。

 

 

――星野さんのコーヒー歴史は本とタリーズからはじまったんですね。

星野さん:はい。無事に「タリーズコーヒー」で働きはじめることができて、6年くらいバリスタとしてコーヒーを提供したり、コーヒーの淹れ方や楽しみ方を教える「コーヒースクール」というセミナーを開催したり、コーヒーにどっぷり漬かりはじめました。

 

――タリーズの後は、どうされたんですか?

星野さん:コーヒーの卸問屋「鈴木コーヒー」が運営するカフェで働いたり、新潟伊勢丹で毎年開催されている「ショコラモード」でコーヒーサーブのお手伝いをしたり、三条にある「みんくる」というカフェを知人と一緒にやったりと、2年間くらい毎日働き続けていました(笑)。

 

――え、休みなしですか?かなりハードですね。

星野さん:そうですね(笑)。でも、コーヒーに関わるのが楽しくてしょうがなくって、今思うと一瞬で時間が過ぎていったように思えますね。

 

「HOSHINO TERRACE」としてのはじまりとこれから。

――どういったきっかけで「HOSHINO TERRACE」としての活動はスタートしたのですか?

星野さん:「鈴木コーヒー」でお世話になっていたのですが、やっぱり自分で何かをしたくなったんですよね。コーヒーに関わる仕事をしていたので、無理に辞める必要はなかったのですが、社長とのちょっとした会話でハッとした部分があって。

 

――その会話、気になりますね。

星野さん:社長の社用車が新しくなったんですよ。そのときに「いいなぁ~」みたいなことをボソッといったら、「簡単だぞ。好きな社用車に乗りたいなら社長になればいいんだ」と社長に言われたんです。なんかしっくりときて、コーヒーも含めて自分がしたいことをするなら、やっぱり自分で何かをしようと思ったんですよね。

 

――さらっとした一言ですけど、いろいろな意味が詰まっていたんでしょうね。

星野さん:それで2018年の春に退社しました。それからコーヒーの原点である、コーヒー農園を自分の目で見たいと思ったんです。

 

――農園まで行ったんですか?海外ですよね?

星野さん:行っちゃいました(笑)。たまたまバーターとして一緒についていける機会があり、コスタリカのサンガブリエル農園へ行きました。本当に素晴らしい体験でしたね!

 

 

――もうコーヒーへの探求心が止まりませんね!実際に農園はどうでしたか?

星野さん:やっぱり現地で、自分の目で見ると感動しますね。どのような場所で栽培されて、どういった人たちが育てて収穫しているのか。本物のコーヒーの木も見ることができてこの経験をいかに人に伝えていけるか、どう伝えていくかを考えなきゃいけないなと思いました。

 

――これからの「HOSHINO TERRACE」をどう考えていますか?

星野さん:やっぱり米農家とコーヒーのフリーランスとして、どうお互いの良さを提供できるかですね。二毛作じゃないですけど、4~6月、9~10月は米農家、それ以外はコーヒー業、というような新しいスタイルもこれからの若者に見せていきたいですね。あとは家族が手助けをしてくれているので、一緒にコーヒーと触れ合ったり、米の収穫をしたり、とにかくコーヒーをやって、農業もやって、その楽しさを伝えていきたいですね。I LOVE COFFEE & KOMEですね(笑)。

 

 

コーヒーの楽しさ、豊かさを伝えるコト。お米のありがたさ、おいしさを伝えるコト。このふたつを上手に両立し、新しいカタチでそれぞれの素晴らしさを伝える「HOSHINO TERRACE」の星野さん。その活動を支え一緒に楽しんでいるにこやかな家族との会話は、とても素敵な光景でした。とにかく楽しそうにコーヒーについて語る星野さん。本当にコーヒーが好きなんだなぁと感じ、なんかコーヒー飲みたいなと思ってしまう取材の帰路でした。

 

HOSHINO TERRACE

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