旬の鮭を最上の食べ方で。「千年鮭きっかわ 井筒屋」で味わう村上の伝統。
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2019.12.21
村上にありそうでなかった鮭料理専門店は、銘店「きっかわ」の直営。
冬の鮭シーズン真っ只中。200年以上前に世界で初めて鮭の回帰性を発見して自然孵化増殖に成功し、「鮭のまち」として知られる村上市では、様々なお店で旬の鮭を味わうことができます。中でも「千年鮭きっかわ 井筒屋」さんは、そんな村上にありそうでなかった鮭料理の専門店として2017年春にオープン。全国的にも知られる同地の銘店「千年鮭 きっかわ」直営の飲食店として、同社謹製の鮭料理の数々を、かつて旅籠だったという歴史的建築の中でじっくりと味わうことができます。お店のコンセプトやおススメの食べ方などについて、同店の大滝さんにお話を訊きました。

千年鮭きっかわ 井筒屋
大滝 加納子 Kanako Ohtaki
1979年村上市・朝日地区生まれ。千年鮭きっかわ 井筒屋にはオープニングスタッフから入り、現在主任。学生時代、夏休みに井筒屋の母店「きっかわ」で贈答用の箱折りのアルバイトをした思い出も。普段は子育ての合間を縫って、録り貯めているテレビドラマを一気に鑑賞するのが大切な息抜きの時間。「最近は長男(小3)もいっしょに観てくれるようになった」とか。

旅籠を飲食店として活用。鮭料理を通年で提供。
――本日はよろしくお願いします。まずこの建物、すごく雰囲気がありますね。
大滝さん:よろしくお願いします。ここ村上市小町はもともと旅籠(宿屋)のまちで、この井筒屋も江戸期から旅籠を営んでいました。かの松尾芭蕉も、弟子の曾良とともに「おくのほそ道」の道中で二泊したそうです。現在の建物は約130年前、明治初期に建てられたもので、国の有形文化財にも指定されています。
――それがなぜ現在、鮭料理専門店に?
大滝さん:最近まで実際に宿として営業されていたのですが、閉めることになった際、オーナーさんが弊社きっかわの社長(※観光カリスマとしても有名な吉川真嗣さん)に話したところ、「これ以上村上で閉める店を増やしたくない」という思いから、急きょ借り受けてオープンさせることになったんです。

――なるほど。村上は鮭のまちとして有名ですが、意外にも鮭料理の専門店は初めてだそうですね。
大滝さん:鮭は冬のこの時期しか獲れないこともあり、通年でそれのみ出していくのはなかなか難しいからかもしれません。弊店では、鮭加工品の製造・販売を本業とする「きっかわ」謹製の品々を、こだわりのご飯とともに提供しています。

「捨てるところがない」。鮭の各部位をじっくりと味わう。
――お店のコンセプトは?
大滝さん:美味しい鮭を落ち着いた雰囲気でじっくりと味わっていただく、これに尽きますね。村上で、鮭は「捨てるところがない」と言われるほどあらゆる部位が様々な方法で料理として提供されています。弊店でも、代表的な「塩引き」、「酒びたし」をはじめ、家庭的な「焼漬」、「かぶと煮」から、なかなか味わえない「どんびこ(心臓)」、「めふん(背腸の塩辛)」まで、様々な料理を味わうことができます。
――鮭だけで、すごい種類の料理があるんですね。
大滝さん:村上で脈々と受け継がれてきた鮭文化の成せる技かもしれませんね。「きっかわ」ではひとつひとつの品を、昔ながらの製法を大切にしながら丁寧に作っています。例えば弊店でもお出ししている甘酒は江戸時代から製法を変えず自然な甘みを最大限に活かしたつくりで、米麹の温度管理も今でも人間がやっているほどです。

焼きたて、お茶漬け、親子丼・・・白飯との組み合わせは自由自在。
――具体的なメニューにはどんなものが?
大滝さん:メインは「塩引き」をはじめとする鮭料理が7~21品ついたお食事のセットですね。塩引きは2切ついていて、その場で炭火で焼きます。また芭蕉の出生地・伊賀焼きの土鍋で炊いた岩船産コシヒカリが、2杯お召し上がりいただけます。なので、1杯目はぜひ焼きたての塩引きを炊きたての白飯で存分に味わってほしいですね。個人的にも、この食べ方が一番好きです(笑)。塩引きは焼いた後しばらくするとどうしても固くなってしまうので、最も美味しい状態で時間のロスなく食べられるのは弊店ならではかもしれません。

――美味そう・・・。では、2杯目は?
大滝さん:2杯目はお茶漬けで召し上がっていただくのがおススメです。
――お茶漬け、ですか?
大滝さん:こちらも、とっても美味しいですよ。だしは地元・村上茶の番茶に、生揚醤油と鰹節を合わせたもので、お店オリジナルの塩引きの食べ方の提案です。土鍋炊きのご飯ならではのおこげの香ばしさも相まって、とっても好評をいただいています。

――なるほど。他の料理に箸を伸ばすのを忘れそうですね。
大滝さん:もちろん、他の料理も美味しいものばかりですよ。個人的なおススメは、はらこ(※村上では「いくら」のことを「はらこ」と呼ぶ)の味噌漬けですね。はらこといえば醤油漬けが一般的ですが、味噌漬けもまた白いご飯にピッタリです。塩引きといっしょに、鮭の「親子丼」として召し上がっていただいても…。また、鮭料理の多くがそうですが、日本酒との相性も抜群ですよ。
――あぁ…仕事中なのが残念です(笑)。

食事そのものを楽しむライフスタイルを提案。今後は新企画も構想中
――お店で食べたものを、買って帰ることもできるんですよね?
大滝さん:もちろんです。鮭の加工品だけでなく、甘酒やお米、土鍋まで取り揃えていますよ(笑)。我々が考える鮭の最高の食べ方を、ご自宅で再現することも可能です。食事って本来は、手間ひまかけてじっくり味わうものなんですよね。料理だけでなく、時間も味わうというか。お店では、そういったライフスタイルの提案もしているつもりです。
――なるほど。そういえば、以前は鮭を使ったフレンチのメニューも提供していましたよね?
大滝さん:そうですね。「鮭フレンチの宴」と銘打って、鮭を使った創作フレンチのフルコースを提供するイベントを定期的にやっていました。こちらもとても好評だったのですが、発展的終了となりました。
――次は何かやるのですか?
大滝さん:社長が現在構想を練っている最中です。何か全く新しいものになるかもしれませんが、現在はどうなるかまだ分かりません(笑)。乞うご期待ください!
――楽しみですね。本日はどうもありがとうございました。

■(価格)
鮭料理
七品 1950円
十品 2900円
十三品 3900円
十八品 4900円
二十一品 5900円
極上はらこ丼 3241円
鮭珍味五品盛り 1000円
麹あまざけ 401円
麹プディング 420円
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