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常連客を大切に、変わらぬ味を守り続ける「サッポロラーメン 稲よし」。

新潟市東区の山の下市場近くに、昔ながらの商店街が建ち並んでいます。そこで40年以上営業を続けている老舗ラーメン店が、「サッポロラーメン 稲よし」。懐かしさを感じる優しい口当たりの味噌ラーメンが人気で、常連客が足しげく通うお店です。今回は店主の新保さんに、お店の歴史や老舗として営業するこだわりについてお話を聞いてきました。

 

 

サッポロラーメン 稲よし

新保 賢子 Masako Shinbo

東京都生まれ。小学生のとき家族で新潟に移住。高校卒業後は上京してデパートの化粧品売り場で働く。退職して新潟に帰ってから縫製工場に勤め、父親が引退したのを機に母親を手伝うかたちで「サッポロラーメン 稲よし」に就業。現在は店主として後を継いでいる。

 

今の店舗に移転したことで、女性のお客さんが増えた。

——もともと「稲よし」は新保さんのご両親がやっていたお店なんですよね。新保さんはこのあたりの生まれなんですか?

新保さん:いえ、私は東京で生まれたんです。両親がふたりとも阿賀町の出身だったので、私が小学3年生のときに家族で新潟に戻ってきたんですよ。

 

——ご両親はもともとラーメン屋さんを?

新保さん:新潟に帰ってきてから、おじさんがラーメン店を開店することになったので、そのお店を手伝い始めたのが最初です。当時は札幌ラーメンのチェーン店「どさん子」が流行っていて、札幌味噌ラーメンのお店がたくさんあったんですよね。

 

——じゃあ、ご両親はそのときに味噌ラーメンの作り方を覚えたんですね。

新保さん:そうなんです。1年くらい経ってからおじさんの店から独立して、沼垂で「稲よし」を開店しました。その頃はラーメンだけじゃなくて、カツ丼とかカツカレーとかもある食堂みたいなお店だったんです。ただ年配の方が多い地域だったので、出前の注文ばっかりだったんですよね。それで10年くらい営業した後、山の下に移転してきたんです。それで40年近く営業してきたんですけど、建物の老朽化もあって、今の場所へまた移転したんですよ。

 

 

——こちらに移転してみて変わったことってありますか?

新保さん:女性のお客様が増えたかな。前の店は古かったし、狭いところにおじさんのお客様ばっかりだったから、女性は入りにくかったと思うけど(笑)。今は入りやすくなったと思うんですよ。

 

引退した父の代わりに母ひとりになった「稲よし」を手伝い始める。

——新保さんはいつから「稲よし」の厨房に立っているんですか?

新保さん:10年前くらいからかな。父がリウマチで腕が効かなくなって引退したので、母を手伝って一緒に店をやり始めたんです。

 

 

——その前はラーメンを作る経験ってあったんですか?

新保さん:なかったんです。最初は東京のデパートで化粧品を売ってましたから(笑)

 

——東京に行かれたのは、何か理由が?

新保さん:うーん……どうしてでしょうねぇ……。こっちにいるときはとにかく自由がほしかったんですよね。でも離れてみると実家が一番だと思うようになって、新潟に戻ってきたんです。実家に戻ってからは「稲よし」の手伝いをするまで、縫製工場で働いていました。

 

——じゃあ「稲よし」を手伝うようになって、お母さんからラーメン作りを教わったんですね。

新保さん:そうです。母は今でもたまに店に来ますよ。母の馴染みの常連さんもいますからね。餃子を作るのは今でも母の担当なんです。

 

——ちなみにお母さんっておいくつですか?

新保さん:86歳ですけど、耳が遠い以外はしっかりしていますよ。

 

常連のお客さんを意識した、味を変えない努力。

——「稲よし」を継いでから、新保さんはどんなことを心がけていますか?

新保さん:とにかく味を変えない。これに尽きますね。そのためには、麺屋とか肉屋とか昔から付き合いのある業者さんは、向こうがやめない限りお付き合いを変えません。足すことはあっても減らすことはしないんです。常連さんから「代が変わってまずくなった」って言われるのが一番困るからね。

 

——じゃあ昔からまったく味を変えていない?

新保さん:味の濃さだけは時代に合わせて変えてありますね。父がやっていた頃は、味の濃い味噌ラーメンが受けていたから、とにかくしょっぱいんですよ(笑)。今はもう少しマイルドな味にしてありますし、お客様の好みには対応するようにしています。

 

——常連さんって味にうるさいんじゃないですか?

新保さん:そうですね。慣れてくるほど注文が多くなりますね(笑)。「しょっぱく」とか「麺固く」とか「卵入れて」とか……。私もしょっちゅう来てくださる常連さんの好みは覚えるようにしているんですよ。でもたまに「いつもの」っていわれて「あれー、何だったっけな?」ってなることもあるんです(笑)

 

——(笑)。看板メニューの「みそラーメン」はどんなラーメンですか?

新保さん:オリジナルブレンドの白味噌をベースにした、ほんのりと甘さを感じるまろやかさが特徴のスープの味噌ラーメンです。キャベツやモヤシ、ひき肉もたくさん入っているので、野菜のうま味を感じられてボリュームもあると思います。

 

——懐かしさを感じる優しい味わいですね。他にもおすすめのラーメンはありますか?

新保さん:「カレーラーメン」とか「タンメン」とかも人気ですね。「カレーラーメン」は濃厚なカレースープが特徴で、中辛なんだけど大人でも辛くてヒーヒーいっている人はいます。そうかと思うと子どもがペロッと食べてたりして(笑)。「タンメン」は塩味であっさりしてるし野菜もたっぷりだから、女性に人気がありますね。

 

長く続いてきた店を、これからも続けていきたい。

——お店をやっていてうれしいのってどんなときですか?

新保さん:常連さんが食べに来てくれたときですかね。逆にしばらく見かけないと「病気にでもかかったんじゃないか」とか「何か起こったんじゃないか」とか心配になるんですよ。常連さんがお店に入れなくなるのは困るから、広告はあんまり出さないようにしているんです。沼垂に店があった当時にまだ子どもだった人が、今は常連として来てくれたりしています。その方ももう60歳くらいになっているんですよ。そう考えると長く続いてきたお店なんですね。

 

——これからも常連さんを大切に、長くお店を続けていってほしいです。

新保さん:そうですね。通ってくれる常連さんのためにも続けていきたいですね。それには、先々お店を継いでくれるような後継者にめぐり会えるといいんですけどね。

 

 

両親が半世紀以上作り続けてきた老舗の味を守り、常連のお客さんを大切に営業している「サッポロラーメン 稲よし」の新保さん。どこか懐かしくてほっとする味の味噌ラーメンを、これからも長く提供し続けてください。

 

 

サッポロラーメン 稲よし

新潟県新潟市東区古川町9-20

025-271-7081

10:30-14:00

木曜休

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