チーズを食べたことがない人はいないと思いますが、ではどのくらいの人がチーズについて語れるでしょうか。世の中には驚くほど多くの種類のチーズがあります。新潟市の本町市場近くにあるチーズ専門店「J&Y CHEESESHOP(ジェイアンドワイ チーズショップ)」には、ヨーロッパを中心とした30種類ものチーズが揃っています。今回はオーナーの土田さんにチーズの魅力についてたっぷり語っていただきました。
J&Y CHEESESHOP
土田 健輔 Kensuke Tsuchida
1982年新潟市秋葉区生まれ。タイヤメーカーの営業を経て家業に従事。輸入食材事業の構想を練り始め、2018年に輸入チーズ専門店「J&Y CHEESESHOP」をオープン。ジャンル問わずお酒が好き。そのため体調管理のためにランニングをはじめるも、お店をオープンしてからは時間がなくあまり走れていない…。
——今日はよろしくお願いします。店頭にいろんなチーズが並んでますね。輸入品が多いんですか?
土田さん:フランス、イタリア、スペインといったヨーロッパのチーズをセレクトしています。チーズは30種類前後、その他にもハム、サラミを12種類ほど扱っています。新潟県内では珍しいチーズの専門店なんじゃないでしょうか。チーズは大きく6つのタイプに分かれていて、できるだけまんべんなく取り揃えるようにしてるんです。
——6つのタイプってどういうものですか?
土田さん:まずは「フレッシュタイプ」。モッツェレラやカッテージチーズみたいな熟成させないチーズで、くせがなく軽い酸味や爽やかな風味が特徴です。次に「ハード・セミハードタイプ」。プレスして水分を少なくした硬めのチーズで、くせがなく食べやすいのでチーズ初心者におすすめです。ゴーダ、チェダーなどがこのタイプですね。続いて「ウォッシュタイプ」。お酒や塩水で洗いながらチーズ表面の菌で熟成させるチーズで、マイルドな味わいですけど、独特の強い香りがあります。エポワス、ラングルなどがあります。
——食べやすいものからくせの強いものまで色々あるんですね。発酵のさせ方も様々なんですか?
土田さん:そうですね。他にもカビを使った熟成があります。「白カビタイプ」は中のチーズがとろりと柔らかくて、クリーミーな味わいです。カマンベールが有名ですね。「青カビタイプ」は「ブルーチーズ」とも呼ばれて、強烈な風味と濃厚な味わいで通好みのチーズと言えますね。ゴルゴンゾーラがこのタイプです。最後に「シェーブルタイプ」。ヤギの乳で作られた柔らかくて個性の強い味のチーズです。セル・シュール・シェールという木炭をまぶしたものもあります。チーズ原料の乳もウシ、ヒツジ、ヤギで味が全く変わってきますので、色々楽しめますよ。
——ちょっと気になってたんですけど、出入口が2ヶ所あるんですね?どうしてなんですか?
土田さん:うちの店はチーズを販売しているショップスペースの他に、チーズや料理といっしょにワインを楽しんでもらえるイートインスペースがあるんです。最初は販売スペースと飲食スペースをきっちり分けようと思っていたので出入口も2つ作ったんです。でも結局分けるのはやめたので、その名残として出入口が2ヶ所あるんです。
——なるほど。イートインスペースではどんなものが食べられるんですか?
土田さん:例えば「チーズ盛り合わせ」。これは日によって内容が変わって、3種類のチーズの味を楽しんでいただけます。ちなみに今日のチーズは、フルム・ダンベール、ラングル、ブリア・サヴァランです。フルム・ダンベールはフランスのブルーチーズで、クリーミーでほのかな甘味が特徴です。オレンジ色のがフランス産ウォッシュタイプのラングル。ほどよい酸味と口に広がる余韻が楽しめます。ブリア・サヴァランはフランスの白カビタイプチーズ。とにかくクリーミーで、ほどよい酸味と爽やかさが味わえます。「盛り合わせ」で食べて気に入ったチーズを帰りに買って帰るお客さんもいますよ。
——気になるチーズを試食する意味でもいいですね。他に土田さんのオススメはありますか?
土田さん:「ホットサンド」がオススメです。中に使っているチーズはスイスのグリュイエールというハードタイプのチーズなんですけど、加熱するとトロトロしていて伸びもよくて、フォンデュとかには欠かせないチーズなんです。クリーミーでナッツみたいなコクもあって、私が食べてきたチーズの中ではパンとの相性がベストマッチのチーズです。栄養面でのバランスも考え、チーズに足りない栄養素の炭水化物、食物繊維、ビタミンCをパンとレタスで補ってるんです。
——土田さんはなぜチーズの専門店をはじめようと思ったんですか?
土田さん:私は大学を出てからタイヤメーカーで6年間営業をやっていたんです。そこは家業の取引先でもあったので、修行という意味もあったんですね。その後、実家の経営する会社で働いていました。でもそのうち元々好きだった輸入食材を扱った事業をやってみたいと思うようになったんです。その構想を練る中で色々調べたり勉強していくうちに、チーズの奥深さや素晴らしさを知っていったんですよ。「チーズ検定」まで受けたくらいです(笑)。だからチーズの素晴らしさを多くの人に知ってほしいという思いもあって、2018年11月11日の「チーズの日」に「J&Y CHEESESHOP」をオープンしました。
——「チーズの日」っていうのがあるんですね…。ところで店名の「J&Y」ってどんな意味があるんですか?
土田さん:叔母夫婦のイニシャルを店名にしたんです。叔母のゆうこはアメリカ人のジムと飛行機の中で出会って、お互いに惹かれ合って結婚しました。異国の相手と出会って惹かれあった叔母夫婦のように、この店でチーズや生ハムっていう異国の食材と出会ってときめきを感じてほしい、という思いを込めたんです。
——土田さんはチーズのどんなところに魅力を感じたんですか?
土田さん:美味しさはもちろんですけど、栄養素を多く含んでいる優れた健康食品だっていうことですね。炭水化物、食物繊維、ビタミンC以外の栄養素が全て含まれていて、中でもたんぱく質やカルシウムを豊富に含んでいるんです。カルシウムを摂るときはチーズの方が牛乳の10倍以上吸収率が高いといわれています。肌にいいビタミンも多く含まれているので、健康にも美容にも優れた食品なんですよ。
——そんな魅力を備えたチーズはどんな風に食べるのがオススメですか?
土田さん:チーズはそのまま食べても美味しいですし、カチョカヴァロみたいに熱を加えるとさらに美味しく楽しめるチーズもあります。チーズはフランスの食文化だったりするので、ジャムやフルーツのように甘いものと組み合わせても合いますね。それから、小麦やジャガイモとの相性も抜群ですよ。
——いろいろな食べ方ができるのもチーズの魅力ですよね。海外のチーズっていうところにはこだわっているんですか?
土田さん:海外のチーズにはいろいろな種類があって、見たことも食べたこともないようなチーズもまだまだあるんです。そういうチーズって五感で楽しむことができるんですよ。目で見て、鼻や口で香りや味を楽しんで、みんなで語り合うことで耳や口で楽しんで。あと、外国の食文化に触れることは、グローバルなセンスにもつながって、子どもの食育にもなるんじゃないかって思ってます。「インスタ映え」って言葉が使われるようになって、見た目の美しさが重要視されることが多くなりがちですが、味や本質のよさにもこだわってほしいですね。
——ありがとうございました。これからもチーズの魅力を伝えていってください。
土田さん:はい。これからもチーズや海外食材の魅力を伝えていきたいですね。そのためにもいろいろなメディアに出たり、イベントに積極的に出店したりしてPRしたいと思っています。うちの店では「チーズとワインの会」という予約制のイベントを偶数月に開催してるんですよ。
チーズの奥深さを知って、その魅力を多くの人に伝えようと土田さんがオープンしたチーズ専門店「J&Y CHEESESHOP」。豊富な種類のヨーロッパチーズが買えるだけではなく、明るく落ち着きのある店内で、チーズやチーズを使った料理と共にワインを楽しむこともできます。食べてみて気に入ったチーズは、買って帰って自宅でじっくり楽しむ、そんなイートインスペースの利用もおすすめ。みなさんもぜひ奥深いチーズの魅力に触れてみてはいかがでしょうか?
J&Y CHEESESHOP
〒951-8067 新潟県新潟市中央区本町通235
025-378-0058
11:30-21:00
不定休