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岩室温泉と共に歩んできた老舗菓子店「角屋悦堂」。

昔から岩室観光の一端を支えてきた、あの交差点の角のお菓子屋さん。

岩室温泉は300年も前から湯治場として賑わい、たくさんの湯治客に親しまれてきました。そんな岩室温泉街の街角に、趣のあるお菓子屋さんがあります。暖簾には大きく「角金鍔(かくきんつば)」の文字。上品な甘みの金鍔をはじめとしたお菓子の数々で、岩室観光の一端を支えてきたのが「角屋悦堂(かどやえつどう)」です。今回は女将さんの佐藤千恵子さんにこだわりのお菓子や岩室観光についてお話を聞いてきました。

 

 

角屋悦堂

佐藤 千恵子 Chieko Sato

1970年五泉市(旧村松町)生まれ。五泉市の結婚式場に勤めていた頃、社長の紹介で「角屋悦堂」の社長と結婚。女将さんとして店を切り盛りしている。また、岩室温泉を盛り上げるための活動にも積極的に参加。趣味は園芸。お酒の強さは芸者さんも一目置くほど。

 

岩室芸者が「お客さんへのお土産に」と買ってくれたお菓子。

——「角屋悦堂」さんはとても歴史がありそうですが、いつ頃からあったお店なんですか?

佐藤さん:江戸時代後期に塩、煙草、簑、笠を売っているよろず屋をやっていたそうです。そのうちに岩室温泉が湯治場として栄えて旅館が増えていったので、湯治や旅行のお客様に向けて団子や饅頭を作って売るようになったんです。「角屋悦堂」という菓子店として登録したのは昭和7年のことだったそうです。ちなみに店名の「悦」はおじいさんの名前の悦夫から取ったんですよ。

 

——温泉のお土産といえばお饅頭ですもんね。

佐藤さん:昔は岩室芸者も100人ほどいたんです。その芸者さんたちがお客様へのお土産にお菓子をあげたり、お客様にうちのお菓子を奨めてくれてたんですよ。だから旅館へお菓子の配達をすることもありましたね。今もうちのお菓子をいろんな旅館で売ってもらってるんです。

 

——岩室温泉と共にやってきたって感じですね。女将さんは地元のご出身なんですか?

佐藤さん:私は旧村松町の出身です。今の五泉市ですね。地元の結婚式場で働いていた時に、そこの社長の紹介で主人と出会ったんです。お嫁に来たばかりの時は、お菓子のことなんてまったくわからなかったから、最初は覚えることが多くて大変でした。お菓子屋は朝が早いから、以前はおばあちゃんと一緒に朝5時からおこわを炊いてました。

 

日持ちせず季節限定のお菓子も多いが、添加物は使わない。

——お菓子作りのこだわりを教えてください。

佐藤さん:お客様から安心して召し上がっていただけるように、国産の材料を使ってます。保存料とか着色料とかの添加物はほとんど使ってません。保存料を使っていない分、日持ちしないのが難しいところですけど、材料にはこだわり続けたいと思ってるんです。だから生菓子はすべて朝作ったものをお店に並べてます。

 

——なるほど。有名なのは「金鍔」ですよね。

佐藤さん:はい。昭和50年頃から続いている人気商品です。おじいちゃんが旅行で神戸に行った時に食べて美味しかったので、自分で商品開発をしてみて作ったそうです。もともとは刀の鍔みたいに丸い形をしていたんですが、それだと焼くのに手間がかかるので焼きやすい四角形になったんです。うちで作っているのは小豆、青えんどう、白いんげんの3種類があります。でも、暑い時期は長く持たないので、7〜8月は製造をしてないんです。

 

 

——えっ、楽しみに取材に来たのに…(笑)。残念です。じゃあ、もうひとつの人気商品「水ようかん」を紹介してください。

佐藤さん:こちらも期間限定で11月中旬〜3月下旬までの商品となっています(笑)。それ以外の季節に作ると、食感がうまく出せないんです。以前、どうしても食べたいっていうお客様の要望にお応えして、4月に作ってみたことがあったんですけど、やっぱり食感がまったく違ったものになっちゃったんです。寒い季節に暖房の効いた部屋でアイスクリームを食べると美味しいじゃないですか。そんなふうに楽しんでもらったり、お酒の〆に食べてもらうと美味しいんです。

 

——なるほど。ちなみに今食べられるおすすめは何があるんでしょうか?

佐藤さん:「おこわ団子」です。農家のおばあちゃんが作ってきた西蒲区に伝わるお菓子で、うちの大ばあちゃんが農家に足を運んで作り方を教えてもらってきたんです。あんこの入った団子に、残ったご飯をつけて食べたのが始まりだそうです。お米も笹も新潟県産のものを使っています。

 

自然や温泉が多く、料理も美味しい西蒲区を盛り上げて行きたい。

——女将さんは普段の接客などで心掛けていることってありますか?

佐藤さん:お客様との対話を大切にするよう心掛けてます。今の時代、お菓子はどこでも買えるものだから、またこの店に来たいって思ってもらえるようにしてますね。おかげさまで馴染みのお客様も多いんです。旅行で来られたお客様には観光スポットや旅館の紹介もするようにしています。

 

——では、女将さんのおすすめする岩室周辺の観光スポット、教えてください。

佐藤さん:上堰潟公園は、春には菜の花や桜、秋にはコスモスが楽しめておすすめです。弥彦神社も空気や水が綺麗で、足を踏み入れただけで神聖な気持ちになれますね。ロープウエーで弥彦山山頂にも登れるから子どもにも喜んでもらえるんじゃないかな。西蒲区は海も山もあって自然に恵まれてるし、お米やお酒も美味しいし、日帰り温泉も多いじゃないですか。のんびり過ごすにはいいところだと思います。

 

——岩室温泉に対する思いも聞かせてください。

佐藤さん:昔は燕三条あたりの企業が景気よくって、接待なんかに岩室温泉を使ってくれてたんですよ。お土産にお菓子もたくさん買ってくれたんです。ところが今はもう、そういう時代ではないですからねぇ。でも、なんとか岩室温泉を盛り上げようと思って、みんなで協力していろんなことをしています。3月にはひな人形を各所に飾って人形めぐりをやってみたり、蛍の時期には「あかりプロジェクト」として地元小中学生にも協力してもらいながら灯籠を作って、温泉街に置いてるんです。これからも多くの人に足を運んでもらえるよう、いろんな活動に参加していきたいと思ってます。

 

 

保存料や着色料を使わないこだわりのお菓子を作り続け、岩室温泉と共に長く歩み続けてきた「角屋悦堂」。以前に比べてお客さんが減って来た岩室温泉をなんとかしようと、女将さんも地域の人たちと協力していろいろな活動を行っています。みなさんも岩室温泉を訪れた時は「角屋悦堂」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。美味しいお菓子と女将さんの笑顔が待っていると思いますよ。

 

 

 

角屋悦堂

〒953-0104 新潟県新潟市西蒲区岩室温泉616

0256-82-2004

8:00-19:30

第4木曜休

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