古来より日本では暑い夏を少しでも快適に過ごすため、「涼」を求める工夫をこらしてきました。スイカやかき氷を食べたり、軒下に風鈴を吊るして音色を楽しんだり……。水のなかを泳ぐ金魚やメダカを眺めるのもそのひとつです。今回は新潟市の角田海水浴場近くにあるメダカ屋さん「耀(かがやき)!めだかシーサイド」にお邪魔して、オーナーの本間さんからメダカの楽しみ方を教えていただきました。
耀!めだかシーサイド
本間 耀子 Yoko Honma
1969年新潟市西蒲区(旧巻町)生まれ。東京のビジネス専門学校卒業後コンピュータ系企業に就職するが、実家の花屋を手伝うため新潟にUターン。2021年に新潟市西蒲区で「耀! めだかシーサイド」をオープンする。ビールが大好き。
——少し前からここを通るたびに気になっていたんです(笑)。ずいぶんたくさんのメダカがいますね。
本間さん:人気のある改良メダカから、気軽に楽しめるミックスメダカまで幅広くいます。
——お値段も幅広いんですね。本間さんは以前からメダカに興味があったんですか?
本間さん:実は仕事でメダカに関わるまで、ほとんど興味がなかったんです。
——そうなんですか。
本間さん:実家の花屋を手伝っているときに、県外でメダカ屋さんをやっているお客様から「新潟でメダカの販売をしてみない?」と勧められたんです。そこで、その方からメダカを仕入れて販売するようになりました。
——メダカって、飼育するための知識も必要ですよね。
本間さん:そうなんですよ。何もわからないままはじめたので、勧めてくださった方から教えてもらってホームセンターで飼育に必要な道具を揃えました(笑)
——じゃあ、最初は苦労したんじゃないでしょうか?
本間さん:会話のできない相手ですから、毎日よく観察するようにはしているんですけど、それでも死んでしまうことがあるんですよ。そのたびに水温や水質など原因を考えますが、今でも正解はわかりません。
——なかでも、いちばん難しいのはどんなことですか?
本間さん:いいメダカを生みだすための選別が難しいですね。骨が曲がってなくて身体の形が綺麗であること、ヒレの形が綺麗であること、体色が綺麗であることに気をつけながら選別しています。お客様の信頼を失わないためにも、ちゃんとした血統の親同士の交配も心掛けているんです。
——血統以外にも、気をつけていることってあるんでしょうか?
本間さん:元気で健康なメダカをお客様に提供できるよう心掛けています。
——この場所で「耀!めだかシーサイド」をオープンしたのはいつ頃なんですか?
本間さん:2021年の春です。最初はそんなに草がなかったのに、夏になると草ぼうぼうで大変でした。水槽の水換えをするから、捨てた水のおかげでなおさら草が元気に育っちゃうんです(笑)
——水槽の水って、植物にとっては栄養満点なんですね(笑)。水換えはマメにやらなければならないんでしょうか?
本間さん:メダカは丈夫な魚ですので、初心者にも比較的飼いやすいんです。いくつか気をつけてほしいことはありますが、基本的には屋外に放置していて大丈夫です。
——本間さんはメダカのどんなところに魅力を感じていますか?
本間さん:新しいメダカと出会えることが楽しみです。かなりのペースで改良が進んでいるので、次々と新しい品種が生まれるんですよ。特に最近は派手なメダカが増えてきましたね。新しい品種はネットオークションで200万円もの値段がつくことさえあるんです。
——それはすごい。
本間さん:数も少ないしメダカファンも多いので、そうした新種はなかなか手に入らないんです。でも改良のペースが速すぎて次々と新種が生まれるので、値段もどんどん下がっていくんですよ。うちで販売する頃には200万円だったメダカが3,000円になっています(笑)
——そんなに値段が変わっちゃうとは……(笑)。お客さんはメダカファンが多いんでしょうね。
本間さん:もちろんメダカに詳しいお客様も多いんですけど、それ以外のお客様が気軽に買っていくことが増えました。親子で楽しんでいる方もいれば、お孫さんと楽しむおじいちゃん、おばあちゃんもいます。メダカを通して家族とのコミュニケーションが生まれるんです。
——共通した会話のきっかけになりますよね。
本間さん:店内ではじめて会ったお客様同士も、すぐに仲良くなっちゃいます(笑)。私自身、いろいろなお客様とメダカを通じてお話できることが楽しくて仕方ないんです。
——インスタグラムを見ると、いろんなイベントに出店しているようですね。
本間さん:道の駅などの観光施設で開催されています。お店だけじゃなく、個人でメダカの飼育をしている方も出店していますよ。そうしたイベントも増えているので、メダカの盛り上がりを感じています。
——メダカブームが到来するかもしれませんね。
本間さん:うちでメダカを買った主婦のお客様が、可愛くデコったアクアリウムをつくって写真を送ってくれたんです。あんまり可愛いので、それを見たママ友にもメダカアクアリウムが広がっているみたいなんです。そんなふうに楽しんでくれているのが嬉しいですね。
——楽しみ方もいろんな可能性を秘めているんですね。本間さんは今後どんなことに力を入れていきたいですか?
本間さん:自信をもってお勧めできるようなオリジナルメダカを生み出して、皆さまに綺麗なメダカを提供していけるように頑張ります。あと昨年から新潟県内のメダカ屋さん達と「新潟めだか市場」を立ち上げて、オークションサイトを中心にめだかの販売をしているんです。
——そちらの活動にも力を入れていくんですね。
本間さん:みんなと力を合わせて、新潟県産のメダカを全国にアピールしていけたらいいなと思っています。
——では、最後に読んでいる方へのメッセージをお願いします。
本間さん:これからのシーズン、角田浜海水浴場にお越しの際や、シーサイドラインをドライブする際は、ぜひお立ち寄りください。メダカ達と一緒にお待ちしています(笑)
耀!めだかシーサイド
新潟市西蒲区角田浜1235-1 角田浜公民館
090-1035-1492
11:30-17:00
不定休