三角形のように人と人が接する場所。
「喫茶tangent」と「studio sin」

食べる

2026.08.17

text by Ayaka Honma

住宅街の中に、面白い場所ができました。ひとつの建物のなかに「喫茶tangent」と「studio sin」というふたつのお店が入っています。この場所を作ったのは、長年飲食のお仕事に携わられてきた白倉さんご夫婦と、音響一筋30年の本間さん。3人でこの場所を作ることになった経緯や、それぞれのお店のことなど、いろいろお話を聞いてきました。

Interview

白倉 敬介

Keisuke Shirakura(喫茶tangent)

画像右/1972年、新潟市生まれ。10代で上京し、関東では工場勤務からイベントディレクターまで幅広い仕事を経験し、知見を磨く。23歳頃にUターンし、新潟戻った後は洋品店や家具店や飲食店で勤務した後、居酒屋、バー、カフェなどを経営。「ミズベリング」をはじめとする地域イベントの企画・運営にも携わり、現在は「喫茶 tangent」を拠点に、飲食・音楽・マーケットを通じた場づくりを行っている。

白倉 陽子

Yoko Shirakura(喫茶tangent)

画像中央/リラクゼーション関係で長らく働き、サロンを10年ほど経営。その後、市内の飲食店でいくつかの経験を積み、現在に至る。趣味は盆踊りとオカルト。

本間 貴則

Yoshinori Honma(studio sin)

画像左/1975年新潟市出身。新潟市内の音響関係の会社で30年ほど働いた後、「喫茶tangent」と同じ建物内で「studio sin」をはじめる。バイクが大好き。

ひとつの建物に、喫茶店とスタジオ。
3人だからこそ、たどり着いたかたち。

――今日はよろしくお願いします。ここは「喫茶tangent」と「studio sin」が入った建物なんですね。

敬介さん:もともと、知り合いのスタイリストが事務所として使っていた場所なんです。彼女から「ここを手放そうかな」って相談されたとき、すごくもったいないと感じて。こんなに広い建物なら、なにかできるだろうと思って僕が借りることにしたんです。

 

――みなさんは、この場所をつくる前はどんなことをされていたのでしょう。

敬介さん:僕は23歳のときに東京からUターンしてからは、飲食の仕事をメインにしていました。古町で居酒屋さんをやったり、ライブやイベントをつくる仕事なんかもしていましたね。

 

本間さん:私はコンサートやイベントの音響演出をする会社に勤めていました。21歳のときに入社したので、もう30年近く働いていましたね。敬介さんとはサラリーマン時代から仲良くさせてもらっていました。

 

敬介さん:よっちゃん(本間さん)にはイベントの音響をいつも頼んでいたんです。何かイベントを開くってなったら、まず相談するようなパートナー的な存在ですね。

 

陽子さん:私は10年くらいサロンを経営していました。その後は、飲食業に携わりたいと考えて、 本町の「かなで食堂」で働かせてもらったんです。完全無農薬の新鮮な野菜を使ったお惣菜作りなど、貴重な経験をさせていただきました。

 

――今回、同じ建物の中に喫茶店とスタジオを併設したのには、どんな意図が?

敬介さん:もう何十年も飲食の仕事をやっているから、飲食店をやらないっていう選択肢はなかったですね。この場所をどうしようかなって考えていたときに、よっちゃんから「バイク好きが集まれる場所を作りたい」って相談を受けたんです。でも好きなことだけで事業をはじめるのは、とても難しいと感じていました。そんなとき、昔参加したとある東京のイベントを思い出して。

 

――それはどんなイベントだったんでしょう。

敬介さん:カフェと事務所が一体になった空間を一週間運営するというもので。事務所の関係者も、そうじゃない人も、いろんな人が集まる場所だったんです。事務所の人がカフェでお茶を飲みながら仕事の話をして、新しい企画が生まれていくのが面白くて。そんな場所が、このメンバーだったらできるんじゃないかって思ったんです。

 

本間さん:誰かが「こんなイベントをやりたい」って持ってきたものを、ここでそのまま打ち合わせして「スタジオ使ったら思白いんじゃないか」とか「動画ならこんな編集もできるよ」って内容を具体化していって、疲れたら「喫茶tangent」でお茶を飲んで一息ついて。喫茶店とスタジオって、珍しい組み合わせかもしれないですが、私たちにとっては、これが自然なかたちだったなって思うんです。

 

「喫茶tangent」のテーブルや椅子の中には、陽子さんが「いつか使うかも」と集めていたものもあるんだとか。

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「t」ではじまり「t」で終わる、
ちょっと寄り道したくなる喫茶店。

――ここからは、まず「喫茶tangent」のことについて聞かせてください。喫茶店にしようと提案したのは、陽子さんだったそうですね。

陽子さん:昔から「ふたりで喫茶店をしてみたいね」なんて軽く話していたんですよ。私たちもそうですけど、年を重ねるごとに友人にも家族ができて、夜遊びに行くというよりは、お昼にお茶を飲んだり、遊んだりすることが多くなって。そんな場所があったらいいなと思ったんです。「喫茶」って名前にはつけましたけど、このお店の幅が広いから、わざわざ「喫茶」ってつけなくてもよかったかも、なんて思ったりはしています(笑)

 

敬介さん:でも「喫茶」とか「カフェ」って名前がついていても、その大枠は変わらないんじゃないかなって思っていて。うちは喫茶店の割にはメニューも多いし、内容も季節によって変えていく予定なんです。「喫茶」ってついていますけど、僕らの匙加減でお店の見せ方は変えられると思っているから、この言葉があってもいいと思っています。

 

――「喫茶」という言葉があると、口にしやすい気もします。「tangent」って、数学の授業で習ったアレですか…?

陽子さんそうです(笑)。筆記体で書いた時に「t」ではじまって「t」で終わるのが妙にしっくりきて、すごく良くて。数学的な意味もある言葉ですが、他にも「接する」とか「接点」という意味もあるんです。スラングで「脱線」って使われることもあるみたいで、それも含めて、いいなと思いました。

 

――人と人が接する、ふらっと寄り道できる場所、ということですね。

本間さん:喫茶が「tangent」なら、スタジオは「sin」にしようって思いましたし、この建物自体を使うときは「cosine」にすればなんかつながりがあっていいよねってなって。私はこの考えに完全に乗っかりました(笑)

 

――こちらのお店では、喫茶店の定番メニューから、週替わりのランチプレートもあると聞きました。

陽子さん:せっかく喫茶店をするなら、ということでナポリタンみたいな定番メニューは入れています。後は、おばんざいを盛り合わせたプレートもやっていて、これは週ごとに内容が変わっていきますよ。おばんざいは、おつまみとして夜の時間帯にも楽しんでもらえたら嬉しいです。

 

――月曜日だけのメニューもあるのだとか。

陽子さん:「MONDAY GRANDMA」と題して、敬介さんのお母さんが作ったお惣菜をご用意しています。お義母さんは食育の先生や、料理教室の先生をしていたこともある、とてもお料理が上手な方なんです。「MONDAY GRANDMA」は、そんなお義母さんのお料理を味わってもらえる日ですよ。

 

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音響一筋30年の本間さんが作った、
使い勝手のいい、自分の遊び場。

――続いては、「studio sin」のことを聞かせてください。ここは本間さんが「バイク好きが集まれる場所をつくりたい」という思いからはじまった場所でしたね。

本間さん:県内外のいろんな場所で音響の仕事をさせてもらって、すごく楽しかったんですけど、働くうちに休日に何をしたらいいか、分からなくなってしまって。好きなバイクを見ながらコーヒーが飲める場所を自分で作ろうと思ったのがきっかけです。でも、それだけじゃもったいないということで、30年の音響の経験も活かして、スタジオとしても運営していくことにしたんです。

 

――スタジオとしては、どんな使い方ができるのでしょう。

本間さん:モデルさんが衣装を着ての撮影や動画撮影、バンドのライブなど、いろんな使い方をしてもらえると思います。カメラを何台か設置しているので、そのままYouTubeなどの配信もできます。あとは企業のオンライン会議で使っていただいて、休憩時間は「喫茶tangent」の方でお食事していただくような使い方もできると思いますよ。

 

――「スタジオ」と聞くより、もっと自由な場所なんですね。

本間さん:お仕事以外の目的でも、結婚式の二次会や、パブリックビューイングなんかもできますよ。あとは地域のスポーツチームが、試合の映像を見ながら反省会する、なんて使い方もいいかもしれません。「これできますか」と言われたら、大体できそうなくらい使い勝手はいい場所になっていると思います。

 

モニターにイラストやロゴを移して動かしたり、フィルターをかけたり、いろいろできるそうです。

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ここに行けば、楽しいことがある。
そんなふうに思ってもらえる場所に。

――3人でお店をはじめてみて、いかがですか?

敬介さん:まだここではじめたばかりではありますが、ご近所のみなさんにとても良くしていただいていて。自治会の方から「こんなふうに使ってみたい」っていうお声をいただくこともあるんです。それを聞いていると、これからもっと幅広く使ってもらえそうだなって思っています。

 

本間さん:新参者なのに、みなさんすごく優しいんですよ。「次はここで何をやるの」って声を掛けてくれる人や、「住宅街に場所を作ってくれてありがとう」って言ってくださる方もいて。あと、私はずっとサラリーマンだったからか、発信するのが少し苦手で。それを敬介さんと陽子さんが補ってくれているのでそれも本当に感謝しています。

 

――これからどんな場所にしていきたいか、教えてください。

敬介さん:この場所がどんなふうに使ってもらえるか、まだ模索中なところもありますが、これからはトークショーとか、落語のイベントもやってみたいなと思っています。もっといろんな方に使いやすいような場所にしていきたいので、気軽に来ていただけるようなイベントも並行してできたらいいなと思っています。

 

陽子さん:明るい雰囲気のお店にしていきたいです。「来ればちょっと楽しいな」とか「リラックスできて長居しちゃうよね」って思ってもらえる居心地の良さを大事にしながら、少しずつできることを増やしていきたいです。

 

本間さん:スタジオの方も、こだわらずに「あそこに行けば何か楽しそうだ」と思ってもらえる、大人の遊び場になっていけたらと思っています。

 

作家さんやブランドを招いたポップアップイベントも開催予定です。

喫茶tangent/studio sin

新潟市中央区小張木2丁目3-17 逢坂倉庫C

※最新の情報や正確な位置情報等は公式のHPやSNS等からご確認ください。なお掲載から期間が空いた店舗等は移転・閉店の場合があります。また記事は諸事情により予告なく掲載を終了する場合もございます。予めご了承ください。

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