独自の観点からファッションという被写体を切り撮るフォトグラファー「Ku Xiong Tai(クー・シィォン・タイ)」。アーティストとして、自らが撮影した作品を用いたコーラージュも展開しています。そんな彼は、実は今までメディアで登場したことがありません。今回は新潟市のセレクトショップ「ASOBINoBA(アソビノバ)」をお借りして、謎多きフォトグラファーにインタビューしてきました。
Ku Xiong Tai
1998年長岡市生まれ。日本と台湾のハーフ。2019年より東京を拠点に海外進出を目指すフォトグラファー兼コラージュアーティスト。音楽制作やサーキットバイクなど趣味の幅も広い。
――今日はよろしくお願いします。どのようなジャンルの写真を撮っているんですか?
Kuさん:スタイリストやメイク、モデルと一緒に、ひとつのチームでポートレートを撮影しています。どの作品もファッションを被写体としているから、ジャンルでいうとファッションフォトグラファーになるのかな。
――学生時代からファッションに興味があったんですか?
Kuさん:本気で洋服を買ったり、調べたりしたのは高校2年生から。そのぐらいの年齢になるとファッション雑誌を読みはじめるじゃないですか。それでいろいろ知って、ファッションを仕事にしたいと思ったから、高校を卒業してからは専門学校(NITF国際トータルファッション専門学校)に進みました。今思うと当時の格好は恥ずかしいな(笑)
――当時はどんな格好をしていたんですか?
Kuさん:スケーターっぽいけど、ストリートによったスタイル。それがベストだと思っていて。恥ずかしい(笑)
――今の格好からは想像ができないですね(笑)。写真を撮るようになったのも、ファッションに興味を持ってからですか?
Kuさん:そうですね。ファッションと同じで高校2年生のとき。衝動に駆られて一眼レフを購入しました。でもファッションスナップを撮っていたのではなくて、バンド活動もしていたからライブの写真を撮ってみたり、アーティスト写真を頼まれてみたり、音楽に関係する撮影を。ただ、人物を撮るキッカケになったのは確かです。
――それでは写真についてのお話を。作品を撮りはじめたときと今では、スタイルは違っていますか?
Kuさん:作品を撮りはじめた当初は、今でいうインスタグラマーが好む、映える写真を撮っていました。フィルム調で海とか青っぽい空間の写真を。でも、ある時を境にこのスタイルが自分の中でとても気持ち悪くなってきたんです。だから、昔の写真は黒歴史みたいに思っています(笑)
――今の作品はファッションが被写体でモノトーンが多いから、かなりスタイルが違っていたんですね。
Kuさん:そうですね。優しい色合いが段々と白、黒、グレーからなるモノトーンの世界観へ変化して。同じように自身のファッションも、ストリートにモードなどの要素が加わっていきました。だから自分の作品には、ダークの要素があるんだと思います。
――撮影時に必ず行っているルーティンなどはありますか?
Kuさん:ルーティンっていうほどじゃないけど、撮影する前にどんな写真を撮るのかをしっかりイメージして、構図などをすべて決めてから挑んでいます。あとはフィルムカメラを使うことぐらいですかね。
――フィルムカメラで撮影しているんですか。それで独特の色合いが。
Kuさん:フィルムカメラだと味がある色合いになるとかよく聞くけど、そういうのを求めてはいなくて。一眼レフだと何枚でも撮影できるけど、フィルムカメラは1枚に重みがある。しっかりと瞬間を切り撮るスタイルが自分の性に合っているんです。だから画質が悪くても、キレイじゃなくても、自分が撮りたかった構図の写真になっていればOK。
――独自の感性ですね。だからザラついた写真もあるんですね。
Kuさん:写真自体がザラついているものもあるし、作品によっては写真をプリントしてからスキャナーで読み取って、さらに画像にしているのもあります。わざと二度手間をすることで、独自の風合いを作っているんです。ボケているというか、ザラザラしているというか。
――わざと画質を下げているってことですよね?
Kuさん:そうなりますね。画面に映っている写真を、もう一度カメラで撮影することもあります。破壊と再生で作品を作るのがフォトグラファー「Ku Xiong Tai」のスタイルです。
――それでは最後に、これからチャレンジしていきたいことを教えてください。
Kuさん:2019年から、海外進出を目指して活動の拠点を東京に移しました。だからこれからは海外に行って、新鮮な空気感のなかでファッションの撮影をしていきたいです。あとは、ひとつのものに縛られないで自分が撮影した作品を落とし込んだコラージュ作品ももっと発信していきたいと考えています。
破壊と再生というスタイルで作品を展開するKu Xiong Taiさん。どんなキッカケでフォトグラファーという仕事に進んだのかをうかがうと「職業というよりも、アーティストになりたかった」という答えが。自分の表現を形にするには、写真が性に合っていていたから。これからも彼の作品から目が離せません。と、今日はここまで。明日はThings特別篇として、Ku Xiong Tai作品レポートをお届けします。お楽しみに。
(取材日:2020年4月13日)
Ku Xiong Tai