おしゃれな店が並ぶ上古町商店街。その中にあるチョコレート専門店「久遠チョコレート新潟」は、障がい者がショコラティエとして作ったチョコレートを販売しているお店です。一昨日の「こかげカフェ L’ombrage」の記事でもちらりとご紹介しましたが、今回は障がい者と働くことのやり甲斐や難しさを、店長の円山さんに語っていただきました。
久遠チョコレート
円山千秋 Chiaki Maruyama
建築関係の仕事を経て、父親が理事長を勤めていた「NPO法人 あおぞら」が経営する「久遠チョコレート新潟」の店長に。
全国の福祉事業所が一般市場でチョコレートを作って活躍し、障がい者がショコラティエとして輝ける社会を作る取り組み「全国夢のチョコレートプロジェクト」をご存じでしょうか。「久遠チョコレート」のブランド名を使って各地でチョコレート専門店を展開し、障がい者を含むスタッフによってお店を運営するというプロジェクトです。障がい者らによって製造販売されます。「チョコレートで魔法をかける」を合言葉に、多くの参加者によって日本中で展開されています(2019.4現在全国20店舗)。
新潟では、新潟市にある福祉サービス事業所「NPO法人あおぞら」がそのプロジェクトに手を挙げ、2016年の冬に「久遠チョコレート新潟」として上古町商店街にお店をオープンしました。当初は上古町でチョコレートを売るということについて、「場所柄、チョコレートは売れないのでは?」という意見もあったそうですが、最終的には当時の理事長の許可が無事に下りて開店。今ではスイーツやチョコレート好きに馴染みの深い人気店となりました。
「久遠チョコレート新潟」には、障がいを持つメンバーが働くにメンバー(障がい者)にあたっての基準が設けられています。「一人で通勤することができる、清潔を保てる、身支度ができる」というものです。それは一見、かんたんなことのように感じられますが、気持ちの浮き沈みが大きいため急に欠勤したり、出勤してもなかなか働けない状態だったり、仕事がスケジュール通りに進まないことも多いそうです。円山さんにとって、そうした事態を防ぐためのメンバー(障がい者)のメンタル面のフォローもとても大切な仕事です。また、いつもと同じ作業であっても毎回説明が必要で、途中で何度もチェックしなければならないことも少なくありません。「時々チェックの段階で思いがけないミスを見つけたりすると。最初の頃は困ってしまいましたが、最近はほほえましくて吹き出してしまうことも多く、私自身気持ちに余裕も出て来ましたね」楽しそうに微笑む円山さん。その笑顔に、一緒に働くメンバーのみんなもきっと助けられているのでしょう。
一方で、成長を見届ける喜びもあります。あるメンバーに箱詰め作業を担当してもらう際、最初は箱が切れてしまうこともありましたが、やっていくうちにレベルアップし、今では誰よりもきれいに詰めることができるようになったそうです。メンバーと喜びを共有する円山さんの笑顔が目に浮かびます。
「久遠チョコレート新潟」の取り組みは、ただ美味しいチョコレートを提供するだけではありません。福祉の現状を考え、仕事を持つ障がい者の賃金向上に貢献することもその目的のひとつ。しかし、当然お店の利益が上がらなければ給料を上げることもできません。そのため、商品を仕入れて売る仕組みに頼らず、自分たちで作れるチョコレートのバリエーションをどんどん増やして店を活性化し、利益率を上げる必要があるのです。「今後はもっと、ウェディングや挨拶用のギフトなどの対応を頑張っていこうと思います」と円山さん。また、現在扱っている「村上茶」や「雪室珈琲」のように、新潟ならではの材料を使ったチョコレート商品を増やし、話題作りもしていきたいと話してくれました。
久遠テリーヌ 3枚set ¥650(税別) 6枚set ¥1220(税別)
久遠フルーツ 1,080円(税別)
シングルオリジンチョコレート 680円(税別)
久遠チョコレート新潟
新潟市中央区古町通3番町557-3
025-201-8302
10:30-18:00 火曜休