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胎内の「黒田屋菓子舗」の看板商品、「CHRO」について聞いてみた。

胎内市の本町通りにある「黒田屋菓子舗」。4代続くこのお店では、和菓子から洋菓子までいろんなお菓子を買うことができます。看板商品の「CHRO(クロ)シリーズ」は、地元・胎内の米粉でつくられたクッキーシュー。今回はオーナーの小池さんにお店のことや、「CHROシリーズ」をつくったきっかけなど、いろいろとお話を聞いてきました。

 

黒田屋菓子舗

小池 隆士 Takashi Koike

1966年胎内市出身。東京の専門学校で洋菓子を学び、そのまま東京の洋菓子店で3年働く。その後、実家を継ぐために新潟市内の和菓子店で働き、家業である「黒田屋菓子舗」を引き継ぐ。キャンプやウィンタースポーツが好きなアウトドア派。

 

お菓子にまっすぐ向き合った、小池さんのこれまで。

――今日はよろしくお願いします。まずは、小池さんのこれまでを教えてください。

小池さん:「黒田屋菓子舗」は、うちの家業なんです。僕で4代目になりますね。高校生のとき、自然と「お菓子づくりをやってみようかな」っていう気持ちが湧いてきて、卒業後は東京の専門学校に進学して洋菓子を学びました。学校を出た後、東京の洋菓子店で3年働きましたね。

 

――家業とはいえ、製菓以外の仕事をやってみたいとは思いませんでしたか?

小池さん:もちろん、思いましたよ。でも「この道に進もう」と決めたなら、まずは一生懸命やらないとって。「転石苔むさず」じゃないけど、中途半端にはしたくなかったから。まずは続けてみて、そこから考えようと思ったんです。いざ実務に携わると、とても奥が深くて難しくて、未だに満足したことはないんです。

 

――お菓子づくりに打ち込んでいったんですね。東京で働いた後は、新潟市内の和菓子屋さんに入られたと聞きました。

小池さん:実家を継ぐために入りました。 もともと「黒田屋」は饅頭屋だったんです。父の代から洋菓子もつくりはじめたんですけど、和菓子もつくれないといけなかったので、つくり方を学ぶために働くことにしました。

 

 

――洋菓子から和菓子への転換は、なかなか難しかったのではないでしょうか。

小池さん:最初は苦労しましたね。でもやっていくうちに、だんだん洋菓子との共通点が見かるようになりました。例えば、洋菓子の「マジパン」と和菓子の「練り切り」はすごく似ていて。目指すかたちもきれいで、美味しくて、つくり手の思いがこもっていて。それは和菓子も洋菓子も一緒なんです。

 

――お菓子づくりそのものに、まっすぐに向き合ってきた小池さんだからこそ見つけられた観点ですね。さて、こちらではどんなお菓子が食べられるのでしょうか。

小池さん定番の和洋菓子や、胎内の特産物を使ったお菓子を30種類ほどご用意しています。米粉や、「紅はるか」を独自の熟成法で甘みを上げた「はるかなた」という胎内特産のさつまいもなど、胎内にはお菓子と相性のいい特産物がたくさんあるんですよ。

 

――ところで「黒田屋菓子舗」の「黒田」ってどこからきているのでしょうか。……お名前ではないですよね?

小池さん:「黒田」というのは、創業者、つまり僕の曾祖父の出身地なんです。村上市の黒田っていう地名からとって「黒田屋」にしたんです。この名前を使って、僕の代で看板商品をつくったんです。

 

胎内の米粉を使った看板商品、「CHRO」。

──その看板商品についても教えてください。

小池さん:「CHROシリーズ」という米粉のクッキーシューをつくりました。3種類のクッキーシューをご用意しています。ここの店舗をリニューアルするにあたって、新しい看板商品をつくりたいと思って10年前に開発したんですよ。

 

――米粉のクッキーシューって、珍しいですね。

小池さん: 胎内市は日本で最初に米粉専用の製粉所ができた場所で、米粉発祥の地と言われているんですよ。ここでつくられる米粉はとても細かくて、扱いやすいんです。

 

 

――小麦粉でつくられたクッキーシューとは、どんなところが違うのでしょうか。

小池さん:米粉は小麦粉より油の吸収率が低いので、クッキーの部分がサクッと仕上がります。一方で、カスタードクリームをつくると、モチモチな食感に仕上がるんですよ。私のオススメはノーマルな「米粉のクッキーシュー」です。ぜひ食べてみてください。

 

――皮がサクサクで美味しいです!トロっとしたクリームが口いっぱいに広がって、幸せです……。

小池さん:ありがとうございます。そう言ってもらえるのがいちばん嬉しいですね。それまで米粉を使ったシュークリームはつくったことがなかったので、試行錯誤を繰り返しました。仕込んで焼いて、「違うな」って心が折れて(笑)、また仕込んで……。思い通りにできたときはものすごく嬉しかったです、その場で乾杯したくなったくらい(笑)

 

 

――ところで「CHRO」という名前にしたのには、何か理由があったのでしょうか。

小池さん:「黒田屋」の「黒」から名前をつけました。正しい表記は「KURO」ですが、クッキーシューの丸さを表現したくて「CHRO」にしたんです。パッケージのキャラクターの「CHROちゃん」も、丸みを意識してつくりました。

 

どんな世代にも愛されるお店を、これからも。

――小池さんが「黒田屋菓子舗」に入られてから30年ほどが経ちました。お菓子をつくるなかで大切にしていることを教えてください。

小池さんお客様への想いを抱いて仕事に向き合うことを大切にしています。さらなる質の高みを常に目指していますが、その反面、「余計なことをしたな」と思うこともある自分の性格が嫌になります(笑)

 

――向上心を忘れない姿勢、とても素敵です。今後、どんなお店にしていきたいですか?

小池さん:幅広い世代に愛されるお店になっていきたいですね。小さい子からお年寄りまで食べてもらえるお菓子をつくっていきたいです。そのためにも時代の変化とともに変わるお菓子への要求に、正しく応えていかなければと思っています。

 

 

――と、言いますと?

小池さん:僕らが小さい頃のお年寄の方と比べて、今のおじいちゃんやおばあちゃんは、若い頃から洋菓子に親しみがあったからか、抵抗がない気がしていて。ただやみくもに柔らかくしたり、甘さを抑えるのではなくて、全体のバランスを考えた製品を提供できるようにしていきたいです。

 

――なるほど。時代の変化に合ったお菓子をつくり続けているんですね。今後の小池さんの目標を教えてください。

小池さん:お店を通して地域に貢献していきたいですね。町内や商店街の他のお店と一緒に、胎内を盛り上げていける何かができればいいなと思っています。以前の商店街みたいに、ワクワクするような通りにしていきたいですね。

 

 

 

黒田屋菓子舗

新潟県胎内市本町8-6

0254-43-2334

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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