長岡のアクリル加工メーカー「株式会社クワバラ」がはじめた新たな試み。
その他
2022.05.22
長岡市関原町にあるアクリル加工メーカー「株式会社クワバラ」が、去年からふたつの新しい試みをはじめたそうです。アクリル製品のオリジナルブランド「kuwabara」の本格始動と、工場の2階スペースを活用した自然食品のセレクトショップ「Linnell」の運営。今回はものづくり企業の新たな取り組みについて、社長の桑原さんと奥さまにいろいろとお話を聞いてきました。

株式会社クワバラ
桑原 昭治 Shoji Kuwabara
1973年長岡市生まれ。「株式会社クワバラ」代表取締役。デザイン系の専門学校を卒業後、アパレルショップなどで働き、24歳のときに父親が創業した「株式会社クワバラ」へ入社。40歳で代表取締役へ就任。ファッション、映画、音楽が好き。

株式会社クワバラ
桑原 麻実 Asami Kuwabara
1976年新潟市生まれ。結婚を機に長岡市へ転居。平成16年より「株式会社クワバラ」でパート社員として働き、現在は同社の取締役。

機械彫刻とアクリル加工の技術から発展した、オリジナルブランド「kuwabara」。
——まずは「株式会社クワバラ」について教えてください。どんなことをしている会社なんですか?
昭治さん:当社は、主に機械彫刻とアクリル加工をしています。今から60年ほど前、父が東京から長岡に機械彫刻の技術を伝承に来たのが創業のきっかけなんですよ。当時は、高度経済成長期に入る頃で、長岡でも新しい技術を取り入れることに積極的だったんでしょうね。父はそのまま長岡に移り住んで、小さい小屋から事業をスタートしたようです。
——アクリル加工はおおよそ想像ができます。でも、機械彫刻ってどんな技術なんですか?
昭治さん:機械彫刻って、工作機械の非常停止ボタンや入・切スイッチなどの部品に刻印をする技術のことですよ。工場の中にあるものが多いから、皆さんの目に留まることは少ないかな。分かりやすい製品だと、会社や学校の名札に文字を彫る技術のことです。

——自社ブランド「kuwabara」についても教えてください。
昭治さん:アクリルを使った自社製品を、オリジナルブランド「kuwabara」として展開しています。「愛用品をアクリルでどう飾るか」が発想の起点になっていて、商品としては時計や小物類などを飾るショーケースがあります。他にも、ハガキや名刺など日常使いしやすいものをみんなで考えて作っています。
——自社製品を生み出すことになったきっかけはあるんでしょうか。
昭治さん:僕たちの仕事って、「お客さまからの依頼を指示通りに生産すること」なんですよね。それを当たり前にすることって簡単じゃないし、やりがいもあるんですけど、もっと「自分たちの技術でどんなことができるか」を発信したいと思うようになったんです。それで、3年前にアクリルを使ったちょっと面白い製品をいろいろ作って、長岡で展示会をしてみたんです。アクリルができることの可能性と「クワバラ」の技術でどんなことができるかを皆さんに知ってもらいたくて。
——「自分たちの技術を発信したい」と思われたのには、どんな理由があったんですか?
昭治さん:従来通り「注文が来たものを作って、売る」だけでは、これからは厳しいだろうと思ったんです。会社の将来を考えたときに、「自分たちで考えたものを提供する」ことが必要だと判断しました。今までの仕事の姿勢とは違うし、難易度も高くなると思いましたけど、自分たちがやってきたことが世の中の皆さんから「いいね」「必要なものだよね」って思われているとスタッフに知ってもらいたかったんです。

——なるほど。自社ブランドを持ってから、何か変化はありましたか?
昭治さん:会社の雰囲気がすごく明るくなったと思いますね。以前は黙々と仕事をする人が多くて、とても静かな職場だったんです。それが今では皆、笑っておしゃべりしながら仕事をしています。仕事をする時間って人生の大半を占めるから、楽しく働くことが理想だと思っていたので、とても嬉しい変化です。
——「kuwabara」の製品は、どんな方にぴったりだとお考えですか?
昭治さん:「思いを仕立てる」というコンセプトで製品を作っているので、記念のもの、大切にしているものを飾りたいと思っている方のご要望をお受けできると思います。多少値段は高くなりますが、オーダーメイドのアクリルケースを作ることもできます。企業さんからは、自分たちの得意分野である製品を展示したいときにご依頼いただくこともあります。個人からの依頼だと、大切にしている楽器のケース、スポーツ選手のユニフォームを展示するためのケース、東京オリンピックのトーチのケースなどを作ったことがあります。どれも中身が見えないまま置きっ放しになってしまう、という場合が多いと思いますけど、展示用のケースに入れれば目に入るところに飾っておくことができますよ。

陰と陽のような関係でもある、「kuwabara」と自然食品のセレクトショップ「Linnell」。
——工場の2階にある「kuwabara」のショールームについても教えてください。
昭治さん:去年の3月に「kuwabara」の製品を展示販売しようとショールームを作りました。当初は週に3日間オープンしていたんですが、工場の稼働と並行してショールームを運営するのは大変な面があったので、今は毎週金曜日だけ営業しています。
——向かいには自然食品のセレクトショップもあるんですね。
麻実さん:「Linnell」という名前で、「kuwabara」と同時期にオープンしたお店です。お菓子や調味料、ハーブティーなど身体が喜ぶ食品を中心に、自分で味わってみて「美味しい」と思うものを選んでいます。選ぶ基準は、誰が見ても分かる原材料で作られているものです。私の母がいつも食品に含まれる表示を見て食べものを選んでくれる人だったんです。小さい頃のおやつはジャガイモとお塩だけのポテトチップスといったものを手作りしてくれました。それで私も身体によいものに関心を持つようになったんですよ。

——いわゆるオーガニック食品ということでしょうか?
麻実さん:「オーガニックや無添加だからいいもの」というわけじゃないと思っているんです。だから、扱っている食品のすべてがオーガニックか無添加というわけではないです。作り手に思いがあったり、身体に優しい配慮がされたりしているものが元気になれるものだと思っています。

——アクリルのオリジナルブランド「kuwabara」と自然食品のお店「Linnell」、ふたつのお店はどんな関係があるんでしょう?
昭治さん:一見バラバラのように思われてしまうかもしれませんけど、僕の中ではつながっているんです。「kuwabara」と「Linnell」は対比しているもの、陰と陽のような関係だと思っています。アクリル製品の「kuwabara」は機械的なもので、ちょっと渋い感じがするし、食品を扱う「Linnell」は、身体が喜んで元気になるという意味で明るい感じがします。だから、「kuwabara」は夕日が差し込む西側、「Linnell」は朝の光が入る東側にショップを設けているんです。いろいろな物事には光と影のような両面があるし、どちらも必要だという意図を表現しているつもりです。
——最後に、読者の皆さんにメッセージがあればお願いします。
麻実さん:施設内の2階にあるショップなので、たぶん気軽に入れない雰囲気があると思うんです(笑)。でも「どなたでも気軽に来ていただきたい」と思っていますので、どうぞフラッとお越しください。

株式会社クワバラ
長岡市関原南1丁目4346番地
TEL.0258-46-6013
info@kuwabara-kk.com
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