この数年「腸活」という言葉をよく耳にするようになりました。調べてみると手軽にできることも多く、腸活がちょっとしたマイブームになっています。そこで「新潟で腸活につながる発酵食について発信している人はいないかな」とたどり着いたのが、東区の自宅でパン作りと麹を使ったお料理を教えている「おうち発酵教室mamano(ままの)」さん。今回は3兄弟を子育て中の川嶋さんに、いろいろとお話を聞いてきました。
おうち発酵教室mamano
川嶋 絢 Aya Kawashima
1988年新潟市生まれ。大学を卒業後、新潟県庁へ入庁。管理栄養士の資格を生かし保健所勤務や食育活動などを行う。結婚を機に退職しご主人の転勤に伴い東京都へ転居。自宅で幼児食教室をはじめる。2021年に新潟に戻り「おうち発酵教室mamano」をスタート。管理栄養士、上級麹士、幼児食インストラクターの資格を持つ。
——川嶋さんは、いつからご自宅で料理教室をはじめたられたんですか?
川嶋さん:主人の仕事の都合で東京にいた頃なので、6年前ですかね。まだ次男が小さかったので、子どもを抱えながらできることはないだろうかと自宅で幼児食教室をはじめました。
——スタートは幼児食教室だったんですね。
川嶋さん:当時は次男の偏食が激しくて悩んでいました。子どもの偏食は根本的な解決が難しいので、とにかく楽しくご飯を食べることが大事なんですよね。それでお友達みんなと集まって、料理をして一緒に食べようよっていう幼児食教室を開いたんです。そのとき趣味で簡単なパンを作っていたので、幼児食教室でパン作りを教えてみました。そしたらだんだんパンの講座が人気になって、「パン教室」にシフトしていったんですよ。
——それから装い新たに新潟で「mamano」さんをはじめられたと。
川嶋さん:新潟に戻ってきたのは3年前ですね。三男の妊娠をきっかけに帰ってきました。新潟でも最初はパン教室を開いていたんですけど、パンと一緒に提供する、私が作るランチが好評で。ランチのレシピを聞かれることも多かったし、「パンじゃなくてランチを作ってみた」っていう生徒さんが増えてきたんですよ。
——パン教室で手作りの「ご馳走」が出てくるなんて、最高ですね。
川嶋さん:ご馳走というほどたいそうなランチではないんですよ(笑)。私、塩麹や醤油麹が好きなので、普段の家庭料理にもよく麹を使うんです。だからそういった調味料を使ってレッスンのときのランチを作っていたんですね。生徒さんにも「これは塩麹を使っているんだよ」「醤油麹の作り方はね」なんてお話しする機会が増えて、だったら「麹の調味料を使ったお料理レッスンもやってみよう」と思ったんです。
——パン教室からはじまって、お料理も教えるようになったんですね。
川嶋さん:お料理を教えるようになったのは、1年ちょっと前からです。「上級麹士」という資格も取得して、自宅で麹を作れるようにもなりました。
——麹を……自宅で……。いったいどうやって作るんですか?
川嶋さん:お米を蒸して、菌付けをして、3日間温かいところに置いて育てます。麹の作り方を福岡まで習いに行きました。
——そうとう麹にハマったんですね。何かきっかけはあったんですか?
川嶋さん:東京で暮らしていた頃、とあるカフェで塩麹や醤油麹を作るワークショップに参加したんです。子育てしながらの料理って大変じゃないですか。でも塩麹や醤油麹を使うと、簡単ですごく美味しいご飯ができあがるんです。手の込んだ味がするっていうか。それが気に入って普段の料理に麹を取り入れるようになりました。
——そのワークショップで調味料の作り方を知ったんですね。
川嶋さん:そのワークショップがよかったんですね。細かいレシピや分量はなくて、「だいたい半分くらい入れて」「醤油ひたひたで」っていうふうにすごくアバウトで(笑)。「ちゃんとできあがるの?」って心配でしたけど、完成した塩麹も醤油麹もすごく美味しかったんです。その気軽さにも惹かれました。
——それくらいラフな方が、忙しいお母さんには合いそうですね。
川嶋さん:計りも使わず目分量で美味しくできましたからね。でもあまりにもザックリしていて「これで大丈夫?」って不安に思ったから、私は生徒さんにしっかり理論も伝えるようにしています。
——今日は調味料をいくつもご用意いただきました。ありがとうございます。
川嶋さん:基本の塩麹に醤油麹、それから玉ねぎ麹、コンソメ麹を用意しました。それらをベースにさらにアレンジを加えた焼肉のたれにマヨネーズ、コチュジャン、ネギ塩麹もありますよ。あとは甘酒も。黒麹を使った黒甘酒もあるので、よかったら試してみてください。
——すごい! こんなにたくさんあるなんてびっくりです。
川嶋さん:レッスンでは麹を使った調味料の作り方、それからその調味料を使ったレシピをお伝えしています。もちろんパン作りのコースもあるし、ランチがセットになっているコース、いないコースとメニューはいくつかあります。
——麹はやっぱり腸活に役立つんでしょうか?
川嶋さん:私は便秘気味だったのがすっかり解消しました。でも麹は即効性があるものではなく、ちょっとずつ長く摂り続けることで効果を発揮する食材なんです。毎日の暮らしに上手に取り入れるといいですよ。
——川嶋さんのように育児と仕事を両立しながら、自宅で働くっていうスタイルはいいですよね。今のように働こうという考えは、以前からお持ちだったんですか?
川嶋さん:「食に携わる仕事をしたい」って気持ちはずっとありました。結婚をして、管理栄養士としての仕事を辞めてからは何をしようか悩んでいて。結果的には今の働き方はすごくよかったと思います。でも必要に迫られていたというか、「これしかなかった」というのが本音です。
——お子さんは3人とも男の子だそうで。すごく賑やかでしょうね。
川嶋さん:毎日賑やかだから、不思議なことに必要な話だけ耳に入れるという技が身につきました(笑)。東京でこの仕事をはじめたのは、次男が6ヶ月の頃なんです。「産後ハイ」だったんですかね。とにかくパワーがあったんですよ。今になると、なんであのとき踏み出せたのか謎ですけど、主人も友達も「いいじゃん! やっちゃえ」って感じで。だからこの仕事に飛び込めたんだと思います。
——これからやってみたいと思っていることはありますか?
川嶋さん:今はどうしても時間に制約があるんですが、もう何年かしたら自分のお店を持ちたいなって思いはあります。いつになるか分かりませんけど、定食屋さんでもカフェでも、外に向けて発信できることをはじめたいですね。
おうち発酵教室mamano