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佐渡の人気ラーメン店が新潟市に初上陸。「麺処WAKA」の挑戦。

昨年、JR新潟駅前に「麺処  WAKA」という名の新しいラーメン店がオープンしました。外観はとてもスタイリッシュで、看板に描かれたダンディなおじさまのイラストからは、ちょっととんがった印象を受けます。実はこのお店、佐渡で人気のラーメン店「麺処 若(わか)」の2号店なんです。オーナーの若林さんに、新潟本土進出の理由やラーメンへの思いを聞いてきました。

 

 

麺処WAKA

若林 守 Mamoru Wakabayashi

1978年佐渡市生まれ。東京のコンピュータ専門学校卒業後、IT企業やイタリアンレストランを経て「麺処 井の庄(いのしょう)」でラーメン職人として修業。2013年に地元の佐渡市で「麺処 若」をオープンし、2022年にはJR新潟駅前で「麺処 WAKA」をオープン。趣味はバイクで愛車はビューエル。

 

イッちゃってるラーメンの世界に惹かれる。

——今日は佐渡のラーメン店が新潟市に進出してきた理由を聞きに来ました。

若林さん:そうですか(笑)。僕は思いつきで行動に移しちゃうことがあるんですよね……。

 

——例えばどんなことですか?

若林さん:若いとき、東京にあるコンピュータ専門学校を卒業して、IT企業で携帯電話の着メロを作る仕事をしていたんです。でも急に料理を作る仕事をやってみたくなって、イタリアンレストランに転職したんですよ。それが料理の仕事をはじめたきっかけなんです。

 

——ずいぶん思い切った転職ですね。ちなみに料理経験はあったんでしょうか?

若林さん:まったくなかったので最初は大変でしたね(笑)。思っていたよりも体育会系の世界だったので、叱られまくりでした。でもいちばん大変だったのは、生活環境が一変したことだったんです。

 

——どういうことですか?

若林さん:それまでは一般企業のサラリーマンだったので、土日祝日がお休みの生活を送っていたんですけど、飲食業ってお休みが平日になるじゃないですか。おまけに昼だけじゃなくて夜も当たり前に働く仕事だったので、慣れるまではキツかったですね。

 

——確かにそうですね。イタリアンからラーメンにシフトしたのはどうしてだったんですか?

若林さん:元々ラーメンが好きだったので、いろいろなお店を食べ歩いていたんです。そんなときに「麺処 井の庄」で食べた「辛辛魚(からからうお)」っていうラーメンに衝撃を受けたんです。

 

——どんな衝撃だったんでしょう?

若林さん:あんなにコクがあってインパクトの強いラーメンを食べたことがなかったんですよ。それまで食べてきたラーメンとは、まったく別次元のものに感じましたね。その帰りにフリーペーパーの地元求人誌を見ていたら、「麺処 井の庄」が求人広告を出していたのですぐに申し込みました(笑)。採用されてからしばらくは、イタリアンレストランとラーメン店を掛け持ちして働いていたんですよ。

 

——でも最終的にはラーメンを選んだんですね。

若林さん:そうですね。僕自身が感じたのは、ラーメンの世界っていうのは職人もお客様もマニアックで熱量の強い人が多いということでした。僕もそっち側の人間だったので、マニアックなラーメンの世界に惹かれちゃったんですね。

 

 

——どんなところにマニアックな熱量を感じました?

若林さん:修業をはじめてすぐ目にしたのは、でっかい寸胴に蓋が閉まらないくらいの材料を入れて、スープを炊いている光景でした。それを見て、これは普通の人間がやることじゃないと思いましたね(笑)

 

——ビジネスを通り越して、マニアの領域にいっちゃってると感じたわけですね。そんなラーメン店での修業はいかがでした?

若林さん:当時は「独立して自分の店を持つことが夢」っていう、ギラギラしたメンバーが集まっていたので、とても刺激を受けましたね。お店の飲み会があれば、ラーメン談義や接客論を巡って必ず喧嘩になっちゃうんです。それほど血気盛んなメンバーでした(笑)

 

——なかなか熱いですね(笑)

若林さん:その頃は曜日別の限定ラーメンを、スタッフそれぞれが曜日ごとに担当させてもらっていたんです。みんな自分の曜日の限定ラーメンをいちばんに売り上げたいと頑張っていました。僕は他のスタッフがどんなふうにラーメンを作っているのか知りたかったので、勤務時間じゃないのに店に行って見学したりしていました。

 

東京で修業したラーメンを、佐渡に広めたい。

——「麺処 井の庄」さんでの修業を経て、佐渡で「麺処 若」をオープンされましたが、東京でお店をやろうとは思わなかったんでしょうか。

若林さん:僕が学んだ美味しいラーメンを、生まれ故郷の佐渡に住む人たちに食べてほしかったんですよね。その頃の佐渡には、豚骨魚介のダブルスープラーメンやつけ麺があまりなかったんです。

 

——佐渡に新しい風を吹かそうと思ったわけですね。

若林さん:はい、でも新しいことをはじめるときって、最初はなかなか受け入れてもらえないものなんですよね。特に嫌がられたのが食券販売機なんです。オーダーミスがなくなる上にお客様の回転が良くなって売り上げの管理をしやすいことから、最初から食券販売機を導入したんですけど、店員が注文を取りに来るスタイルに慣れている島の人には不評だったんです。なかには帰ってしまうお客様までいました(笑)

 

——そんなに抵抗があるものなんですね。

若林さん:「お高くとまっている店」って思われちゃったのかもしれませんね。同じようにつけ麺も最初は受け入れてもらえなかったんですよ。コシが出るように冷たい水で麺をしめているので、どうしてもつけ汁がだんだん冷めていってしまうんですけど、「つけ汁がぬるい」と怒られることがしょっちゅうありました(笑)

 

——慣れないと、そんなふうに感じるのかもしれませんね。

若林さん:僕はつけ汁の温度が高くないことで、思いっきり食べられるのがつけ麺の魅力だと思っているんですよ。一気に麺をすすることで、よりうま味を味わうことができるんじゃないでしょうか。

 

——確かに温度が高すぎると、香りはともかく味はわかりにくいかも。つけ麺以外のラーメンもあるんですよね?

若林さん:もちろんです。そのなかでも「麺処 井の庄」での経験を生かした「麻辣麺(マーラーメン)」はイチオシですね。豚骨と魚介のダブルスープにラー油の辛味がマッチして、うま味と辛味の相乗効果で箸が止まらなくなる逸品です。標準でも結構辛いので、お好みによって三段階の辛さをご用意しています。

 

——いちばん止まらなくなるタイプのラーメンですね(笑)

若林さん:その「麻辣麺」と「つけ麺」が一緒になった「麻辣つけ麺」もおすすめです。つけ麺用のつけ汁を使っているので、辛味とうま味だけじゃなく、甘みや酸味も味わうことができます。当店自慢の自家製麺をより楽しんでいただけるメニューじゃないでしょうか。

 

 

——麺は自家製なんですね。

若林さん:北海道産の小麦の香りを生かした多加水麺になっています。小麦の香りと、つるりとした食感を楽しむことができるんです。

 

——でも、自家製麺って手間がかかるんじゃないですか?

若林さん:麺よりもスープに時間がかかりますね。豚骨に魚介を加えて7時間かけて炊き込んだスープを、濃度が上がるまで1時間かき混ぜ続け、その後2〜3時間かけて漉すんですよ。

 

——ほとんど1日仕事じゃないですか。

若林さん:朝8時からはじめて夜7時までかかることなんてザラですからね。「麺処 井の庄」でラーメンを作る人間は感覚がおかしいと思ったものですけど、僕も同じようにイッちゃってるのかもしれませんね(笑)

 

新潟で自分の味が受け入れられるのか試したい。

——いよいよ新潟進出の理由をお聞きしたいと思います。2号店を出すにしても、佐渡で出そうとは思わなかったんでしょうか。

若林さん:佐渡で8年間ラーメン店を続けてきて、ようやく皆さまから認知していただけるようになったんですが、地元ということもあって知り合いの助けもあったんですよね。だから知り合いのいない土地で、自分の作るラーメンが通用するのか試してみたくなったんです。

 

——なるほど。

若林さん:佐渡の個人店が新潟に進出することは少ないので、新潟でも佐渡のお店が通用するところを見せたいという気持ちもありました。

 

——そういうことだったんですね。この場所を選んだのは何か意味があったんでしょか?

若林さん:新潟の土地勘がなかったので、僕が知っているのは駅前と万代くらいだったんですよ(笑)

 

——この場所だと、飲んだ後の〆にラーメンを食べに来る人も多いんじゃないですか?

若林さん:ところが閉店時間が20時なので、そういうお客様はほとんどいないんですよ(笑)。もう2時間くらい遅くまで営業していれば飲んだ後のお客様も来るし、もっと儲かるんでしょうけどね。

 

 

——確かに駅前の繁華街にあるわりに、閉店時間が早いですね。

若林さん:僕もいい歳なので、夜遅くまで踏ん張れないんです(笑)。それは冗談ですけど、時間をかけて作っているスープをしっかり味わってほしいという思いがあるので、お酒のついでに寄るお店にはしたくなかったんですよね。

 

——ラーメンへの強い愛情があるんですね。佐渡の「麺処 若」はどなたが営業しているんですか?

若林さん:今は奥さんが切り盛りしてくれています。僕は週に一度、スープを作るために佐渡に帰っているんです。子どももまだ小さいのでたまに会えるのが心の支えになっていますけど、まさか個人事業主なのに単身赴任することになるとは思っていなかったですね(笑)

 

——家族と離れて馴染みのない土地で暮らすのは大変でしょうね。これからも頑張ってください。

若林さん:ありがとうございます。ずっと佐渡にいたら、うちのラーメンを食べてもらう機会すらなかった方々に、今こうして食べていただけていることに大きな価値を感じています。今後はより多くの方々に食べてもらえるよう頑張っていきたいですね。

 

 

 

麺処WAKA

新潟市中央区明石1-7-1

11:00-14:00/17:30-20:30

月曜他不定休

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。

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