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僕らの工場。#38 老舗醸造蔵「株式会社峰村商店」の味噌スイーツ。

明治38年に味噌醸造業を創業した「株式会社峰村商店」が、今、味噌キャラメルチーズケーキ、味噌バウムクーヘン、味噌プリンなど、味噌と乳製品の相性に着目したブランド「味噌と乳」を展開しています。今回はその開発や販売に携わっている小林さんに、スイーツができるまでやこだわりについていろいろお話をお聞きしてきました。

 

株式会社峰村商店

小林 潤 Jun Kobayashi

1980年新潟市東区生まれ。ダイレクトマーケティング部部長。高校卒業後、東京のデザイン専門学校へ進学。その後はアパレル関係に就職し、2017年に峰村商店へ入社。趣味は登山。

 

味噌と乳製品の相性のよさを感じていた。

――まずは小林さんが入社された頃のお話から聞かせてください。

小林さん:入社したのは5年前になります。入社当初は現場にも入ってお客さんの反応を見ながら勉強させてもらいました。今は販売だったりマーケティングに関わる部分をすべて担当していて、販売計画、広告関係、通信販売など含めていろいろ対応させてもらっています。

 

――スイーツを販売し始めるにあたって、何かきっかけはあったんですか?

小林さん:味噌と乳製品の相性のよさは前から感じていましたし、コロナ禍の前からも味噌のソフトクリームというのは販売していて、結構な人気商品だったんです。味噌と乳製品って聞くとちょっとどうなんだろうって思う人もいるかもしれないですけど、味噌バターラーメンだとか意外とかけ合わさってるものってあるんですよ。なので味噌を使ってスイーツの展開ができたら面白そうだなっていう感じで、最初は結構軽い思いつきからスタートしています。

 

――新しいチャレンジには、やはり新型コロナの影響も?

小林さん:2020年以降はコロナ禍で観光客が減ったのもあり、店頭販売の売り上げ減少しました。なんとかしなきゃいけないっていう思いはあって、スイーツという新しい分野に本格的にチャレンジしようと、商品開発を進めました。

 

 

――今まで作ったスイーツにはどんなものがありますか?

小林さん:味噌キャラメルチーズケーキ、味噌バウムクーヘン、味噌プリンなんかがあります。チーズケーキはそれまでも市場規模的に伸びていましたし、そこで味噌とつなぎ合わせることができればいいんじゃないかと考えて開発しました。絶対美味しくなるだろうなっていう自信もありましたね。

 

半年以上の試行錯誤を重ねて出来上がった「味噌チーズケーキ」

――開発で苦労した点はどんなところでしたか?

小林さん:レシピの開発にはかなり苦労しました。形状、柔らかさ、味などすべてバランスを加味しながら決めていくのは大変でしたね。味噌の味が強すぎてもだめだし、逆に薄すぎると味噌と合わせる意味がないし普通のチーズケーキと変わらないってなってしまいますよね。その辺の微妙な配合は難しかったです。開発期間も半年以上はかかっていますね。いろんな社員が携わって、ようやく作り上げることができました。

 

 

――どんなところにこだわりましたか?

小林さん:ただ味噌を入れるだけではなくて、少し焦がしたキャラメルソースを入れたり、味噌と合わさったときにより美味しくなる工夫をして、「また食べたい」とリピートしたくなるような味を意識しました。

 

――味噌にもこだわりがあったりしますか?

小林さん:チーズケーキに使った味噌は新潟で作られている越後味噌といわれるもので、大豆とお米をバランスよく混ぜたものになります。半煮半蒸(半分煮て、蒸して半分蒸す)製法で作られています。味の評価もお客様から一番人気のもので、「子どもでも飲みやすいお味噌汁ができる」っていう声をいただいていた味噌なんです。お米の割合が通常より多めで甘さが際立っているので、比較的スイーツにも使いやすい味噌ではあるのかなと思います。

 

 

――半煮半蒸という製法があるんですね。

小林さん:全部煮てしまうと大豆の旨みが逃げたりするので半分は蒸したものを加えています。半煮半蒸の製法は栄養価も逃げないんです。味噌の種類は全部で8種類くらいあるんですけど、製法の違いや原料の配合や産地(大豆・お米の)が変わってきます。配合の量や熟成の期間を変えればまた味も変わってきますね。

 

長年味噌作りに携わってきた職人も驚く味ができあがった

――お客さんの反応はどうでしたか?

小林さん:最初は味噌のチーズケーキって聞くとびっくりされるんですけど、実際に食べてもらうと美味しさに気づいてくれる方が多いですね。リピーターも増えてきていて「この美味しさにハマりました」という嬉しい声もいただくようになりました。じわじわと少しずつ伸びていっている感じがありますね。

 

 

――どんな味なのか想像するのが難しいですね。

小林さん:キャラメルのような味わいがあって、味噌がうまく全体に馴染んでいる感じですね。塩味があるので乳製品と混ぜるとキャラメルっぽい味になるんです。長年味噌を作ってきた職人も、味噌がこんなふうに化けるんだっていうのには驚いていましたね。

 

――どこで食べられますか?

小林さん:今は直売店と通信販売のみでの展開になります。冷凍の扱いになるので、東京なんかでも販売したいって言ってくださるお店はあるんですけどなかなか実現が難しくなっています。

 

 

――今後の目標やPRがあれば教えてください。

小林さん:スイーツに力を入れて少しずつ伸びてきているので、こういったところを入口にして、味噌にもっと興味を持ってもらえるきっかけができればいいなと思っています。味噌の消費量って日本全体で見ても年々減少傾向にあるんですよ。工場見学やお味噌づくり体験なども来年以降は再開していきたいと思っていますし、味噌を身近に感じていただきたいですね。例えばお子さんたちに味噌仕込み体験に参加してもらうことでまた味噌を使った料理の見方なんかも変わってきたりするのかなと思いますし。HPやSNSで情報を更新していくので、ぜひチェックしてみてください。

 

 

株式会社峰村商店

TEL : 025-247-9321

時間:9:00-17:00

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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