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編み物作家「安澤 美和」 子どもへの愛情をニット作品を通して表現する。

新潟市内で編み物作家として活動する安澤美和さん。子ども服ブランド「lossitocina」の展開や編み物教室の講師など、編み物の魅力を伝える活動をしています。ブランド立ち上げのことや、編み物の魅力についてお話を聞いてきました。

 

編み物作家

安澤 美和 Miwa Anzawa

1996年 新潟市南区生まれ。編み物で作る子ども服ブランド「lossitocina」代表。エンジョイ・ライフ・クラブ長潟にて編み物教室の先生としても活動している。

 

自分の子どもに、自分で作った服を着せてあげたい。

――安澤さんは小さい頃から編み物が得意だったんでしょうか。

安澤さん:私の叔母が編み物がすごく上手で、小さい頃はよく教えてもらいました。そのときはまだマフラーを編んだり、Tシャツをさいてコースターを作ったりするぐらいだったんですけどね。ずっと洋服が好きだったので高校卒業後は洋裁の専門学校に入って、それからも編み物は特に好きだったので、卒業制作では手編みの部分がある作品を作ったりしていました。

 

――卒業後はどうされたんですか?

安澤さん:専門学校を出て、すぐに子どもを授かりました。服を作りたい気持ちを抱えながら子育て中心の生活がはじまったんですけど、「家でできて自分がやりたいと思えることって何だろう」って改めて考えるきっかけになりました。子育て中心の生活の中、行き着いた答えが「自分の子どもに自分が作った服を着せたい」というとこだったんですね。

 

――そこで子ども服のブランドを立ち上げることにされたんですね。

安澤さん:とにかく編みたいっていう気持ちが強くなっていって、周りからも「作って欲しい」「売ってみたら?」と言ってもらえて。そんな流れで近所のマルシェに参加することにしたんです。マルシェに出店するにはブランド名があった方がいいかなと思って、それで「lossitocina」を作りました。

 

子どもに送る愛情を、ニットを贈るかたちで表現したい。

――ブランド名には何か思いが込められているんですか?

安澤さん:母親が子育てをする中でオキシトシンという愛情ホルモンが多く分泌されているっていうのを、テレビか何かでたまたま見たんです。私も産後は驚くほど我が子しか見えなくなっていたので、それを実感していました。そこで子どもに愛情を送るっていうことを、ニットを贈るかたちで表現したいって思いました。だから「オキシトシン」というブランド名にしようと思ったんですけど、オキシトシンて響きがなんかあんま好きじゃないなと思って(笑)。編み物ってアメリカ式とフランス式があるんですけど、私はフランス式で編んでるっていうこともあって、オキシトシンのフランス語訳を調べたら「lossitocina」だったんです。響きがカッコよかったからそれに決めました(笑)

 

――素敵な由来だと思います。マルシェでブランドデビューしてみていかがでしたか?

安澤さん:まだコロナ前だったこともあって友達もたくさん来てくれましたね。マルシェに参加してみて、「もっと編み物に携わっていきたい」「モノづくりの世界で生きていきたい」っていう思いがより強くなりました。

 

 

――モチベーションが上がったんですね。

安澤さん:その後は子どもが保育園に入ったタイミングで、お直し屋さんでパートとして働くことになりました。「lossitocina」の作品を編みながら、まずは並行してパートで働こうって思っていたんです。そんなことをしていたら、ある日友達が「編み物教室の先生をやってみない?」って声をかけてくれました。サブスク型のカルチャースクールを運営している「エンジョイ・ライフ・クラブ長潟」というところで、委託というかたちで編み物教室をやらせてもらえることになりました。あれよあれよという間に編み物教室の先生になることができて、ありがたいことに毎回来てくれる生徒さんたちも増えていきました。

 

人から人へ伝承されてきた編み物技術。伝承する役割の一部になりたい。

――小さい頃から好きだった編み物をお仕事にできてよかったですね。

安澤さん:旦那とか友達にも「おばあちゃんになってからでいいから、いつか編み物を人に教えたい」っていうのは常々話していました。編み物って洋裁の世界みたいに「〇〇年のSSコレクション」みたいな歴史がちゃんと残っているわけではなくて、「〇〇地方のこういう編み方」みたいな感じで伝承されてきているものなんですよ。私もその技術を伝承する女性の一部になりたいんですよね。自分の編んだものが巡り巡って誰かの手に届いたら素敵だなって思います。

 

 

――編み物教室ではどんなことを心掛けていますか?

安澤さん:「こういう持ち方で」「こういう編み方で」「こういうつなぎ方で」みたいな形式にはあまりこだわらずに、とにかく楽しく編んで完成させる。そして自分が満足できればいいですし、まずは楽しむっていうことがいちばんだと思います。なので針の持ち方とかも皆さんそれぞれですし、色とかも極力自分が好きな色を選べるように用意しています。生徒さんがやりたいことができるようにサポートしたいなって思っています。

 

 

――自分が作りたいものを自由に作れるっていう感じですか?

安澤さん:例えば「帽子が作りたい」って言われたら、「こんなデザインどうですか」っていうふうに提案します。ちゃんと自分がいいって思えるものを提供すべきだと思うので、そこはこだわってやっています。その生徒さんがどんなものが好きか考えたり、「この模様ならそろそろできるかな」とか、生徒さんの技量にも合わせて考えながら提案しています。

 

――素材の選び方とかも素人さんだと難しそうですよね。

安澤さん:糸の選び方や風合いもかなり大事になってきますね。糸選びには私も最初はかなり失敗しました。糸玉で見る表情と、作品になったときの表情ってぜんぜん違うので、すごく経験が必要なところだなって感じます。

 

 

――安澤さんの今後の目標は?

安澤さん:今は「子ども服をもっとちゃんと編みたいな」っていう思いがあります。ブランドの活動にもっと力を入れたいですね。ただ編み物自体、子どもが生まれたからやろうって思えたことだし、子どもが生まれていなかったらきっとはじめていないことなので、子育ての時間も大切にしながら、どちらもしっかり両立していきたいです。このまま自分のペースで経験を重ねて、孫と一緒に編み物を楽しめる素敵なおばあちゃんになりたいなって思います。最終目標は可愛いおばあちゃんですね(笑)

 

――教室の生徒さんもどんどん増えるといいですね。

安澤さん:今は編み物ブームもきていると思うので、自分より若い人たちにももっと来てもらいたいです。ネットで調べて簡単にはじめられますし。私の教室に一度来ていただいてDMで質問をくれてもいいですし、編み物をする人たちがもっともっと増えたらいいなぁと思います。

 

 

安澤 美和 (lossitocina)

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