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毎月、アメリカでこだわりのアイテムを買い付ける古着屋「mushroom」。

古着は着るだけじゃない。価値のある物でもあるんだ。

毎月アメリカへと渡り、こだわりのアイテムを買い付けている古着屋さんが万代にあります。その名は「mushroom(マッシュルーム)」。デッドストックのデニムから炭鉱跡地で発掘された希少なギャランティチケットまで、ビンテージ好きなら震えが止まらないアイテムの数々。今回はオーナーの土田さんに古着屋をはじめたキッカケなど、お話を聞いて来ました。

 

mushroom

土田 鏡 Akira Tsushida

1977年新潟市生まれ。3姉妹の父。2002年に古町で「mushroom」をオープン。2006年に現在の万代へ移転リニューアル。以後、年12回の渡米を繰り返し、常にワクワクするようなビンテージアイテムを買い付けているオーナー兼バイヤー。

 

アメリカで買い付けたアイテムが揃う「mushroom」。

――今日はよろしくお願いします。まずは、どんな古着屋さんか教えてください。

土田さん:「mushroom」は「Lee」や「LEVI’S」を中心としたアメリカの古着を取り扱っています。毎月アメリカに買い付けに行って、自分が選んだこだわりのアイテムをセレクトしています。ビンテージの希少性の高いアイテムがお店の付加価値だと思っています。

 

――じゃあ、年12回もアメリカへ?

土田さん:そうですね。2002年に古町でオープンして、2006年に移転して現在の万代へ場所を移しました。移転してからは毎月アメリカへ行っているから、毎月行くようになってかれこれ10年以上になりますね。

 

――めちゃくちゃマイルが貯まりそうですね(笑)。アメリカの中で買い付けに行く場所って決まっているんですか?

土田さん:ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、ヒューストン、コロラド、ニューヨーク、ミネアポリスですね。その月によってほぼ半分の地域を6泊8日くらいで周ります。アメリカ国内だけで10フライトもするので、移動ばかりになりますね。

 

セレクトの基準は「価値のある物」「持っていたい物」。

――どうやって買い付けを行うんですか?

土田さん:各地にディーラーがいるから、自宅やカフェ、倉庫とかで用意してもらった古着を見せてもらいます。時代が進むにつれて古着の量が減っているから、もちろん希少なアイテムもなかなか出回らなくなっていて。そんななかでも自分が欲しいと思うアイテムを、ディーラーたちはセレクトしてくれているからとても助かっています。

 

――物量が減っているんですね。セレクトするときの基準ってありますか?

土田さん:古着はあくまで洋服だから着るのが当たり前だけど、セレクトする時はあくまで「物」として見極めています。持っていたい物、つまり価値のある物をセレクトするのがバイヤーとしての仕事です。

 

――なるほど、着なくても持っていたい「物」。男ならではの感覚ですよね。

土田さん:それはありますね。あと物って、どうしてもお金と直結してしまうんです。プレミア価格じゃないけれど、10,000円で買った物に100,000円の価値があるとしたら持っているだけで嬉しいじゃないですか。そんな物を売っていきたいです。

 

きっかけはコンビニで出会った古着カルチャー。

――土田さんは、どんなキッカケで古着に興味を持たれたんですか?

土田さん:確か中学3年生のとき。昔から洋服に興味はあったけど、ファッション雑誌の存在は知りませんでした。コンビニにふらっと立ち寄って、たまたま「Boon」というファッション雑誌を手に取ったんです。有名人かモデルが表紙で、ファッション雑誌という認識はなかったけど、中を見てみたら古着から流行りのファッションまでたくさんの情報があって。それがはじめて古着に触れた瞬間でしたね。

 

――「Boon」って懐かしいですね。それから古着を見始めたんですか?

土田さん:「LEVI’S」の501がチャックではなくてボタンフライだということに衝撃を受けて、Gパンってカッコイイなって純粋に思いました。でも、その時は古着にどぷりハマりませんでしたね。今でもそうだけど、古着は物として好きな存在ですね。

 

 

――え? どっぷりハマっていなかったんですか? それなのにどうして古着屋を?

土田さん:大学時代は東京で過ごしていました。たまに新潟に帰省していて。そのときに見つけた古着屋に感化されたんです。行く度に「ここで働きたいです」と気持ちを伝えていたら面接をさせてもらえることになって、大学を卒業してから新潟に戻ってそのお店に就職しました。それからは自営業の家庭に育ったこともあって、何が自分でできる仕事なんだろうって考えて2002年に弟を誘って独立しました。自営業と古着がいいタイミングでリンクしたんですよね。

 

辞めるキッカケがないのが古着という存在。

――古着屋さんをしていて、どんな瞬間にワクワクしますか?

土田さん:2019年9月にアメリカの炭鉱跡地で「LEVI’S」の「FOR OVER 17YEARS」ギャランティチケットが発掘されました。今までギャランティチケットの最初期は「20 YEARS」だとされていたのに、語り継がれていた説が崩れた瞬間。ディーラーは「LEVI’S」にアーカイブとして買い取りのオファーを出したけど断られて、なんと僕にその話が舞い込んできました。実物はコレです。

 

 

土田さん:炭鉱からデニム生地が発掘されることがあっても、こんな紙みたいな素材が残っていたなんて。しかも歴史が覆るようなアイテム。古着屋をやっていて最もテンションが上がった瞬間です。

 

――そんな歴史を覆すアイテムが目の前に…怖くて触れません(笑)

土田さん:僕自身は古着をほとんど着ません。でも物として大好きで、趣味を仕事にした感覚があります。正直、好きから嫌いに変わってしまうかもって心配だったけど、趣味としても仕事としても、こんなアイテムに出会うチャンスがあると思うと古着の世界から抜け出せませんね。

 

――どうして土田さんは古着を着ないんですか?

土田さん:お店をはじめた当初、買い付けのやり方も分からず、少ない情報を頼りにアメリカへ渡っていました。とにかく壮絶で切羽詰まっていて。だから自分が着たい古着を買う余裕もないし、そんな古着を買うならアイテムを揃えなきゃいけない状況。それがあって今でも自分で着ることは0%なんです。

 

――最後に、土田さんにとって古着とはどんな存在ですか?

土田さん:飽き性な自分が飽きない物、それが古着です。古着の確保が難しくなっているこの時代、その現実はアメリカに毎月行っているからこそタイムリーに感じています。そんな直に感じた古着の現実も、考え方や売り方次第ではまだまだ未来があると思っています。古着屋だからこそできる新しい古着の提案もしていきたいと思います。

 

 

「アメリカでは2000年代の洋服ですら古着、ビンテージとして扱われはじめている。90年代ですら古いカテゴリーに入ってきている」と土田さん。確かに2000年代初頭は20年も昔。古着からは、希少性や価値を感じ取ったり、昔の製法を学んだりするだけでなく、時代の流れも感じられてしまうんだと、なんだか感慨深い取材でした。

 

 

mushroom

新潟県新潟市中央区八千代2-3-8 八千代エイトビル

025-249-2282

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